【感想・ネタバレ】悲劇的なデザイン - あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?のレビュー

あらすじ

人が触れるモノやサービスを作る全デザイナー、特に美術教育を受けた者に捧ぐ。
新時代のデザイナーのためのリスクマネジメント・ガイドブック。

今、デザインは社会において大きなインパクトをもった。そして明らかになってきたのは、デザインには物事を革新する良い力だけでなく、人を「殺し(第1章/第2章)」、「怒らせ(第3章)」、「悲しませ(第4章)」、「疎外感を与える(第5章)」力がある。
命を奪いかねないインターフェイス、怒りをあおる失礼なテクノロジー、思いがけず悲しみを呼ぶ仕様、多様性や公平さの欠如により人を排除するプロダクト……。過ちは、どうすれば避けられるのか。本書では、実際に起こったデザインによる悲劇と悪影響を紹介し、そこから大切な教訓を引き出していく。さらにこうした事態を防ぐための具体的な方法、デザインの担う責任が大きい製品開発にかかわる専門家のインタビュー、デザインで社会をより良くする取り組みを始めている例を挙げる。

Airbnb / Airbus A320 / Amazon.ca / Apple Mail / Apple TV /(中略)/ Twitter / UX Booth / UX Magazine / WordPress / Xbox ... など事例多数。

デザインは人を傷つけることがある。物理的に、あるいは精神的に。ところがデザイナーは、自分たちが振るう力やその仕事に責任がともなうことに無自覚な場合が多い。

メディカルスクールでは、まず「とにかく人を傷つけるな」という大原則を教わる。学生たちは、医師には人命を左右する大きな力があるという事実を心に刻みつけるだろう。一方、我々がデザインスクールで最初に教わるのは、物を描く方法であり、学生たちが思い悩むのは、本当の美しさとは何かだ。自分の作品が他人に与える影響を観察したり、そこに人の命を左右する大きな力があることを実感する機会はほとんどない。

人間が心に抱く感情は複雑で多岐にわたる。流行りの「共感に基づいたデザイン」とは正確にはどういう意味で、デザインを通じてどんな感情を引き出したいのだろうか。「目的とする気持ち」「無視する気持ち」を取捨選択してデザイナーが作る体験は、“現実の世界で、現実に生きている人たち”に影響を与える。

自分の仕事が誰かの命を奪ったかもしれないと、みなさんが最後に思ったのはいつだろうか。この本のねらいは、採用したデザインの影響も考えずに、仕事が終わったと思い込むデザイナーの数をゼロにすることにある。実社会でプロジェクトに失敗したら、どんな事態になるのかという視点を与え、ユーザーを守るために応用できるツールやテクニックを伝え、難しい状況でも公正な決断を下せるようにする。

デザイナーはテクノロジーの門番だ。悲劇的なデザインをこの世からなくせるかは、私たちの手にかかっている。優れたデザインのある世界を実現できるかは、すべてあなたの一歩から始まる。

さあ、デザインを使って世界をもっといい場所に変えていこう。


“革命はまだ始まったばかりだ。シャリアートとサヴァール・ソシエによる本書は、デジタル時代における真に「インクルーシブな」デザインを推進する運動の土台となるだろう”
─ジョン・マエダ(Automattic社 コンピュテーショナル・デザイン&インクルージョン部グローバル本部長)

“『悲劇的なデザイン』は、思慮深いデザインが明るい変化をもたらし、より意義のあるプロダクトを生み出すと教えてくれる”
―アンディー・ロウ(Netflix社 モバイルプロダクト・デザインマネージャー)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

デザインってお絵描きすること、と思っていた側だったけど、デザインって世界をより良く作るってことなんだ。

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2025年04月28日

Posted by ブクログ

【佐藤忠】
誤ったデザインや、悪意のあるデザインが、どれだけ人を不幸にさせるか、することができてしまうかを知ることができます。デザイナーじゃない人も読むべき本です。

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2020年04月19日

Posted by ブクログ

中学に入って1番最初の美術の授業が「用と美」だった。あの頃は、全てのものは作り手の考える用と美が宿ってるなんてピュアなこと思ってたけど、この本を読んで色んな制約や怠惰のせいで用も美もないデザインがそこら中にあることを知った。というか、今までは使いにくくても自分のスキルや能力の問題だと思うようにしてた
分かりにくいデザインによる事故だけでなく、ユーザーのマイナスな感情も含めて「悲劇的」といってるのがなるほどなと思った。

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2025年05月12日

Posted by ブクログ

何年か前に読んだけど登録しておらず。仕事でおすすめ本を問われ思い出して書く。
ウェブデザインに小指だけ突っ込む仕事をしているけれど、必要な機能が提供できているか、顧客が求める機能が提供できているか、が優先されがち。見た目の変更をcosmetic changeと呼んでいたりもしていたけど、デザインによって本来備わっている機能がよく伝わるようになるし、顧客の満足度も違うなと感じた。
あたしゃネガティブ思考なので、プラスを伸ばすよりもマイナスを消すことが原動力になりやすく、デザインが良くないと人が死ぬこともある、というメッセージは刺さりやすかった。

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2024年11月02日

Posted by ブクログ

「あるサービスや製品がその形になったのは、"誰かが"その形を選んだからだ。」という言葉の通り、デザインには全て(必ずしも良いとは限らない)理由があり、場合によっては人を死に至らせる。

ラテン語の「デ・シグナーレ(作り出す)」という言葉から生まれたデザインとはものづくり、あるいはプロセスをもっと高いプロセスで考察すること。

デザインによる影響を想定しない人はデザイナーを名乗るべきではない。

上記全ての引用語句はただ単にデザイナーにのみ刺さる言葉ではなく、すべての人に当てはまる教訓だ。わたしたちは人との関係を作り出し、言葉を操り、行動により人生をデザインしている。影響は自分のみにとどまらず、常に他人にも波及する。思慮深く、崩壊しないようにデザインしていくようにしたい。

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2021年10月01日

Posted by ブクログ

悲劇的なデザインって?と思って読んでみました。

はじめに書かれていた具体例としては
コクピットの操作盤が見にくくて
操作ミスから事故を起こしてしまった
というものなど。
つまり、使う人にとってわかりにくく
ヒューマンエラーを呼び起こすのが
「悲劇的」なデザインだと。

また、不親切なデザインとして
使う人をイライラさせるIT関連の事例もたくさん。
アメリカの例ですが
日本でも思い当たる部分が(^◇^)

デザイナー向けの本らしく
いろいろと例を上げてあるし
インタビューも載せてあるし
この知恵を生かしてほしいですね。

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2020年12月31日

Posted by ブクログ

これは見てくれではなくシステムの設計なんかの話。最近いろいろ腹たったりしていたので勉強になる。悪いシステムとデザイナーが絶滅しますように。

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2020年06月15日

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