【感想・ネタバレ】千年投資の公理 ──売られ過ぎの優良企業を買うのレビュー

あらすじ

浮かれすぎたバブル期とは反対に、恐慌期や経済危機の時期には人心が冷え切っているために優れた企業も売られ過ぎになり、あとから見たときに絶好の買い場になっている場合が多い。バフェット流の経済的な「堀」のある企業の見つけ方を初心者にも分かるように、平易なやり方で紹介する。


1000年たっても有効な永遠不滅のバフェット流投資術!

未曽有の金融危機に最適の投資法!
100年に一度の経済危機は100年に一度の買いの大チャンス!

売られ過ぎた超優良銘柄を探せ!
バフェット流の「堀」を持つ優良企業の発掘法

「堀」のある売られ過ぎの優良企業でポートフォリオを埋め尽くそう!

今日の変動の激しい市場で利益を上げるためには、ライバル企業の圧力や追い上げがあっても業績を伸ばし続けている企業に投資するのが必須の条件となる。しかし、現在の好調を何年も先まで維持できるような企業を見つけるには一体、何をすればよいのだろうか。

この答えは、その企業が競争における優位性を確立していること、つまり、ウォーレン・バフェットによって広まった経済的な「堀」を持っているかどうかということである。中世では城の周りの堀が敵の侵入を食い止めたように、経済的な堀はその企業に高い利益率を保証し、競合他社からの攻撃を食い止める役割を果たしている。もし堀のある企業を見つけてその企業の株を適正な価格で買うことができれば、堅実な企業ばかりから成るポートフォリオを作ることができ、株式市場で成功する可能性は飛躍的に高まるだろう。

独立系投資リサーチのトップ企業であるモーニングスターで、株式リサーチ部門のディレクターを務める著者のパット・ドーシーは、本書でウォーレン・バフェットが実践しているこの実績のある手法を分かりやすく紹介し、それを投資にどのように応用すれば、成功確率が高まるかを明らかにしている。

ドーシーは、経済的な堀が素晴らしい長期的な投資先を教えてくれる理由を懇切丁寧に説明したあと、堀をもたらす4つの要素である、1無形資産(特許やのれんなど)を持っている、2コスト的な優位性に優れている、3顧客に他社製品に乗り換えることを躊躇させる、4ネットワーク経済――について検証している。そして、堀についてしっかりと理解できたあとに、次は侵食されていく可能性のある堀の見分け方(優良企業でなくなる可能性を秘めた企業)や、堀の優位性を築くために重要な役割を果たす業界の構造、そして堀を築く(または壊す)ことができる経営陣の有能さ(または無能さ)についても詳しく述べている。

また本書では、株価の評価についてもすぐに役に立つ方法を伝授してくれている。というのも、幅の広い堀を持っている企業を見つけて投資しても、その買値が高すぎれば良い投資にはならないからである。このことについては有名企業を例に挙げて具体的に説明している。

バフェットが提唱した「堀」はけっして新しい概念ではないけれども、本書を読めば、今日の投資家でもこの素晴らしい投資法を自信を持って実践することができるようになる。堀こそが投資分析ツールの欠かせない重要な要素であることが理解できれば、この手法を使って、高いリターンを上げる銘柄だけであなたのポートフォリオを埋め尽くすことができるだろう!

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Posted by ブクログ

バフェットがよく言う『本質的な価値』の具体例含め、賢明な投資家になるためのアプローチが包括的にまとめられています。バフェットが言わんとすることが分かったような気がしました。非常にお勧めの一冊です☆

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2019年04月14日

Posted by ブクログ

考え方自体は分かりやすい。投資という側面から見ているが、持続的に成長する企業(ビジネス)かどうかの判断基準になると思われる。投資方針としては中長期投資やバリュー投資につながりそう。

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2018年09月18日

Posted by ブクログ

元米モーニングスターの株式リサーチ部門のディレクター、
パット・ドーシーが、バフェットが言う「経済的な堀」について
語り尽くした本。

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2018年02月17日

Posted by ブクログ

バフェットの提唱するエコノミックモートの実践書

モート(堀)は、以下の四つ。
・無形資産(特許やのれんなど)を持っている
・コストによる優位性に優れている
・顧客に他社製品に乗り換えることを躊躇させる
・ネットワーク経済を押さえている

モートはライバル企業からの攻撃を防ぐための一つの視点。「騎手ではなく馬に賭けろ」ということらしい。

ただ、堀が多いと言われていたメディア業界は、インターネットでボロボロになっていたり、過度な期待はダメで、長期運用していてもチェックを怠ると痛い目にあう。

米国のモーニングスターのwebサイトや、firstrade証券のアカウントを持っていると、企業評価レポートが見えるのだが、そこにエコノミックモートの指標が載っていて、投資をするときの一つの手掛かりを手に入れられるので、自分で一から分析するよりお手軽。

この手の本を読んでいて思うのは、業績指標で判断出来たり、モートについてもレポートがあったりするので、知識レベルの差で、投資家としての勝ち負けが決まりそう… 皆が同じ情報でお作法なら最近はやりのAI投資にやってもらった方が勝率が上がりそうな気がしてきた。





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2017年12月15日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
成長企業とそうでない企業との違いはどこにあるのか。
高成長を誇った企業がある日を境に突然失速するのはなぜなのか。
良い投資先とそうでない投資先はどこで峻別されるべきなのか。
株式投資家であれば、だれでも常にその答えを求めている。
本書で詳説されている「経済的な堀」の概念はそのような問いかけに明確に答えている。

[ 目次 ]
行動計画
経済的な堀―経済的な堀の定義とそれを使って優れた株を選択するための方法
誤解されている堀―幻の優位性にだまされるな
無形資産―棚から取り出せるものではないが、間違いなく価値がある
乗り換えコスト―しつこい顧客は面倒ではなく黄金だと思え
ネットワーク効果―非常に強力で、一章を割く価値がある
コストの優位性―賢くなるか、地理的に近くなるか、ユニークになれ
規模の優位性―きちんと把握していれば、大きいことは良いことだ
侵食される堀―優位性を失って立ち上がれない
堀を探す―外はジャングルだ
ビッグボス―経営陣の影響は思ったほど大きくない
肝心なこと―比較分析の五つの例
堀の価値はどのくらいか―最高の企業でも買値が高すぎればポートフォリオを傷つける
評価のためのツール―割安株を探す
いつ売るか―賢い売りが高リターンにつながる
投資は数字だけではない

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年08月10日

Posted by ブクログ

企業の競争上の優位性を見極めるため。
これを持続的に守るいくつかの堀。

◯無形資産:価格決定力のあるブランド、ライバルを制限する当局からの許認可、さまざまな分野に分散した特許(コストとリスクも留意)

◯スイッチングコスト:顧客の事業に密接にかかわる、金銭面、再訓練
例)銀行口座

◯ネットワーク効果:ユーザーの数が増えることが製品やサービスの価値を上げるビジネス
例)クレジットカード、マイクロソフトオフィス

◯コストの優位性:①安い製造工程、②有利な場所、③独自の資産、④規模の大きさ
①〜③は従来企業は埋めにくいが新規参入で堀を埋められる

◯規模の優位性:
・固定費の割合が変動費よりも高ければ、規模のメリットは大きく、その業界は統合に向かう傾向がある。
・ニッチ市場

◯侵食される堀:
・技術によって成り立つ企業、集中する顧客、成長により堀のない事業への進出

◯業界によって堀がつくりやすいところとそうでないところがある

◯堀探索プロセス
ステップ1 過去に妥当なROCを上げてきたか:10年くらいの平均ROE等を見る
ステップ2 競争上の優位性が1つ以上あるか:高い乗り換えコスト、ネットワーク経済、低コスト生産、無形資産
ステップ3 競争上の優位性はどれくらい強力か、期間?

◯次のステップ:企業の株価が本質的価値よりも安くなるまで待って買う
・企業の価値=将来その企業が生み出す現金の額
・影響する要素:①どれだけの現金を生み出すか(成長)、②予想キャッシュフローの確実性(リスク)、③事業を維持するために必要な投資額(ROC)、④ライバルを食い止めておける期間(経済的な堀)

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2024年06月11日

Posted by ブクログ

内容はバフェットのエコノミックモートの話。
米国企業の話が大半で10年以上前の話なので少し退屈に感じた。
投資初心者にはもっとわかりやすいバフェット本をオススメする。

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2021年08月07日

Posted by ブクログ

★★★☆☆
優良企業を買う方法
【内容】
成長企業とそうでない企業との違いはどこにあるのか。高成長を誇った企業がある日を境に突然失速するのはなぜなのか。良い投資先とそうでない投資先はどこで峻別されるべきなのか。株式投資家であれば、だれでも常にその答えを求めている。本書で詳説されている「経済的な堀」の概念はそのような問いかけに明確に答えている。

【感想】
なかなかおもしろかった。普段はチャートしかみないのでこういうデータ主義っていうのも面白いように感じる。
ただ、実際問題として過去のROCを入手するのが四季報を買う必要があったりとちょっと壁が高い感じでしょうか。

この分析を利用して、EMシステムズを買ったのですが、どうなることやらー。EMシステムズは病院のレセプトシステム構築のトップランナー。

【引用】
・「ROC(Return On Capital:資本利益率)」は最高の指標。企業が投資家の資金からどれくらいリターンを生み出しているのかを示す。
 ROA(純資産利益率)・・・1ドルの資産あたりどれくらいの収益を生んでいるか。金融以外で7%あればOK。
 ROE(自己資本利益率)・・1ドルの自己資本あたりどれくらいの利益を生んでいるか。常に15%以上が目安。
 ROIC(投資資本利益率)・・本業の効率化を示す。高いほうが好ましい。


・「構造的な優位性」が重要。無形試算、②顧客の乗り換えコスト、③ネットワーク効果、④コストの優位性からなる。
 ①無形資産・・・・・・ブランド・特許・行政の許可
 ②乗り換えコスト・・・顧客がライバル社の製品やサービスに乗り換える大変度。(事業への密接度、金銭面、再訓練がその一例)
 ③ネットワーク効果・・ユーザの数が増えることで製品のサービス価値が上がるもの。(クレカやネットオークションなど)
 ④コストの優位性・・・安いプロセス・有利な場所・独自の資源が生み出す。製造過程の優位性はコピーできるので注意!

・騎手(経営者)ではなく馬(企業)に賭けろ。経営陣よりっも堀が大切。


・堅実なROCをあげていて、構造的な優位性が1つでもあれば、「堀」のある企業である可能性が高い。

・「堀」の探し方
 過去(10年程度)に堅調な「ROC」を示しているか
 →Y:「構造的な優位性」があるか?
  →Y:優位性は強力か?長期的か?
   →長期:幅の広い堀
   →短期:幅の狭い堀
 →N:将来は過去と違う可能性が高いか
  →Y:「構造的な優位性」があるか?
   →N:堀なし
 →N:堀なし

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2014年07月17日

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