あらすじ
K-POPの世界的な人気獲得に刺激を受けて、グローバルな展開を志向する日本のアイドルも増えている。アイドルが文化として日常に根づき、「推し活」が活況を呈するいまを読み解くために、オーディション番組の変遷をたどり、日本独自のアイドルシーンの本質に迫るのが本書である。
まず、『スター誕生!』から『夕やけニャンニャン』『ASAYAN』までの代表的なオーディション番組をたどり、K-POPのサバイバル・オーディションとファン実践を取り上げて、オーディションの歴史の基礎知識をレクチャーする。
そのうえで、『イカ天』や旧ジャニーズのオーディション番組、アメリカ・イギリス・中国のオーディションのケーススタディーを通じて、各時代・各地域を彩ってきたアイドルとオーディションの関係性を整理し、理解を深めていく。
アイドル・オーディションに潜む選別の暴力性、ジェンダーをめぐる不均衡、ファンによる消費の実態を明らかにしてアイドル文化のありように迫り、「集団から個へ」という日本社会の変化も浮き彫りにする初の「オーディション・スタディーズ」。
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Posted by ブクログ
スター誕生!からハロプロ(ASAYAN)、おニャン子クラブ、そして最近のBritain's Got Talentや中国超級女声(Super Girl)などの素人オーディションからドキュメンタリーとしてのオーディションに移りつつある系譜をひたすら辿った文化分析。森昌子以降の客観的なプロダクション選抜過程を見せた(ふりをした)スター誕生!から、おニャン子クラブ、ASAYAN、NiZIUが語られる。出来レースで「推し」を楽しむおニャン子クラブは、アイドルをカスタマイズ可能な思い入れできる部品として扱ったアイドルグループであった。ASAYAN(浅草ヤング洋品店)は選抜プロセスに客観性はなくとも経過が楽しく、ドキュメンタリーとして楽しむオーディションであった。観客参加型オーディションを志向したNiZIUは現在のオーディションの主流となっているように見える。
一方でアイドルではなくバンドを選ぶ「イカすバンド天国(イカ天)」はBEGINやたまを生んだが、なんと1989-1990しか続かなかったというのは意外であった。1990年は、ザ・ベストテンや夜のヒットスタジオといったメディア主導の音楽プロモーション番組が終わった年であり、テレビ番組が、メディア間の軋轢により魅力を失い音楽プロモーションの主要ツールとしての役割を終えた時期と重なる。
推し活はコロナ以降日本のエンターテイメント消費形態として広く認知されてきたが、その端緒は1971年のスター誕生!に遡るというのも興味深い観察であった。