【感想・ネタバレ】完訳 カーマ・スートラのレビュー

あらすじ

抱擁、接吻、爪傷、歯咬、愛打……。都市生活者のために、さまざまな愛の技法と駆け引きを分類した古代インドの性愛指南書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

カーマスートラという名前については偏ったイメージを持っていたが、一度読んで内容を理解してみようと思い読んだ。まず、カーマは愛と性欲の満足を指し、スートラは経典を意味する。成立時期は西暦3〜5世紀、グプタ朝が確立し、仏教が衰退しつつヒンドゥー教が発展し、「ラーマーヤナ」や「マハーバラタ」が宮廷詩人によって紡がれた時代である。このカーマスートラが性交はきちんと学ぶべきと説くのは、愛欲によって破滅しないためであり、食事と並ぶ重要事であるためであり、そして良い伴侶に巡り会う教養だからである。すなわち、上流階級の男女に向けた知的な指南書であり、「男女の気持ちが分からないならまずこれ一冊」といった性質を持つ。実際には当時の女性は文字を読めないため直接には伝わらなかったはずだが、妻としてどう振る舞うべきかについての記述も多い。また、恋愛結婚(ガーンダルヴァ婚)についても触れられている。正直、古代インドにおいてここまで率直に性欲を肯定している書物が存在することには驚かされた。同じ時代の多くの宗教が禁欲を尊び、欲望を戒めとして扱っていたにもかかわらず、性欲に向き合い、どう扱うかを教えようとする姿勢は際立って異質である。性の知識を男女双方に与える姿勢には、男尊女卑の古代において女性に対する配慮の深さを感じられる。

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2025年12月03日

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