あらすじ
「民藝」という言葉が生まれて百年、日本を代表する批評家がその本質に挑む本格評伝
民衆の日常で使われていた雑器を「民藝」と名付け、その美の中に「救い」を見出した柳宗悦。なぜ柳は民藝に究極の美を見いだしたのか、なぜ美は人を癒やし、救いへと導くのか。文学・哲学・宗教など様々な分野の人物と交流のあった柳の生涯と彼の代表作を時系列で追いながら、近年知られるような美術評論家としてではなく、宗教哲学者としての柳宗悦の全体像を描く。
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Posted by ブクログ
NHKラジオで放送された内容をもとにした本で、柳宗悦の著作を年代順に紹介しつつ、著者自身の解釈が展開されています。
柳といえば、民芸運動の指導者としてその名をひろく知られていますが、若いころの彼は白樺派のメンバーとして評論活動をおこない、詩人のウィリアム・ブレイクに傾倒していました。そこに見られる彼の宗教に対する関心は、晩年における一遍や妙好人の発見へとつながっています。こうした柳の宗教にかんする思想は、浄土教の思想にかんする多くの著作がある阿満利麿もとりあげていました。一方本書は、かならずしも浄土教だけに限定されることなく、信仰そのもののありかたにかんする柳の独創性に光をあてているところに特色があるように感じました。
とくに本書の前半では、著者自身の立場からの考察が目を引きます。柳の著作を手がかりにした著者のエッセイといえるようなところもすくなくありませんが、こうした思索を触発するところに柳の思想の豊かさを見いだすことができるのかもしれません。