あらすじ
終戦の5日前に合併成立! すべては、町に、人に、元気を取り戻すために。城南信用金庫の小原鐵五郎――その生涯と抱き続けた想いに迫る長編小説。昭和20年(1945)8月10日、終戦間際に15の組合が合併して城南信用金庫が誕生したのは、戦後の復興を見越したものであった。専務となった小原鐵五郎は、地元の中小企業を育成発展させるため、町の人びとの生活を豊かにするため、そして、地域社会の繁栄を後押しするために奮闘する。業界全体を発展させたことで「信用金庫の神様」とも言われた男が貫いた、その精神は……。累計35万部突破の企業小説シリーズ、最新作!
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Posted by ブクログ
気骨のある経営者がかつていたのだなというのが読後の率直な感想だ。
この小説は、敗戦濃厚の中、城南信用金庫を立ち上げ、中小企業や大衆への融資を通じて戦後復興を支えた小原鐵五郎の物語である。一億総中流と言われた時代、市井の人々の生活をささえたのは信金であり、そのルーツは二宮金次郎にあるというのは知らなかった。「貸すも親切、貸さぬも親切」とか「不動産や投機には融資するな」とか「効率は大口融資偏重を生む」とか今聞いても耳が痛くなるような指摘がある。不動産は完全に金融ゲームになっているし一億総投資社会なんて小原さんがかつて危惧したことそのままな気がする。金融機関も官僚も政治家もいつから大衆を忘れたのだろうか。
この本を読んで改めて思うのは権力の私物化の怖さだ。なぜかは知らないが志がかつてあったであろう権力者はその私物化によって道を絶たれることが少なくない。真鍋という小原さんの後継者は舛添要一や猪瀬直樹を彷彿とさせるし、権力を得たことで身を滅ぼす経営者や政治家の枚挙にいとまがない。偉くなる予定もないけど、身を正しておかないとと思うし、純粋になぜ権力者が私物化に走るのか探りたくなる。