【感想・ネタバレ】花や散るらんのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 前作「いのちなりけり」を読んで、ふたたびこのふたりに会いたくなって買った本。
 いろいろあってやっと本当の夫婦になれた雨宮蔵人と咲弥。ふたりのあいだに娘もいるようで、無骨な蔵人の子煩悩振りも微笑ましい。と思っていたところが、事件に巻き込まれ、この娘に物語の鍵があり……。
 このシリーズの好きなところは、愛情を軸に物語が動いていくところだ。それは男の女への情であり、友情であり、主君への忠誠である。
 雨宮蔵人の咲弥への溺愛っぷり。そして右京(清巌)がいまだ咲弥への想いを秘めながら身を挺して守る姿。悪役であったはずの神尾与右衛門や吉良上野介でさえ、その最後の散りざまに泣けてくる。自らの信念を貫けない立場の女性たちも、その矜持を失わず懸命に生きる。それぞれの生き方、散りかたに胸を打たれる。
 定説である忠臣蔵に、雨宮蔵人や咲弥、娘の香也、そして尾形光琳、荷田春満、柳沢吉保の側室町子などがを絡めた手法が鮮やか。単なる仇討ちとはせず、命の尊さを説く。「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」といった時代小説の常識とは、まったく違った切り口だからこそ、現代人の私たちが心情を沿わせることができる。
 それでいてエンターテインメント性もあり、柳沢邸の家事、咲弥の奪還劇や討ち入り場面など、スピード感のある読み応え。
 確かに出てくる人数が多く、初め把握は難しいが、読み終われば「いのちなりけり」と同等の満足感がある。とてもいい読後感だった。

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2014年02月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解説島内景二
葉室に言わせれば、歴史には勝者も敗者もない。善人も悪人もいない。自分らしく切ることができたか、どうか、自分の心に恥じない死に方ができたか、それが問題なのだ。
人間の心に抱かれた思想も、心に咲いた美しい花も、どちらもが永遠であり、時代を超えて、葉群の影に凛として咲き続ける。それが、葉室麟の信念である。

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2024年06月02日

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ネタバレ

「いのちなりけり」の続編。前作で水戸黄門と揉めた主人公が、今度は吉良上野介とやりあう。なんだかもう有名時代劇の舞台に次々とチャチャ入れてるような感じである。そのうち大岡越前とか遠山の金さんとか井伊直助とか仕事人とか八重の桜とかあらゆるもんに絡んできそうな勢いである…ないだろうけど。

実は俺、所謂世間に知られている筋書きの忠臣蔵って好きじゃない。時代がそうだろうし設定がそうだろうからしゃーないのだけど、吉良も浅野も大石も「陰険な事で争って爽快だ痛快だお涙ちょうだいだってのはないやろ」って醒めてみてしまうのである。

忠臣蔵を題材に取った名作時代小説があまたあるにも関わらずどうにも苦手意識が先に立ち食わず嫌いしてしまっているのもそのせいで、今回は葉室作品だからと手に取った珍しいケース

知らない作家さんだったら、良くできた小説だなと讃賞するんだろうけど、葉室さんだと分かって読むとちょっとアラも目立ってしまう。日本史に疎いと人物関係が複雑すぎてその説明がダルかったり、剣劇シーンが意外とあっさりでモノ足りなかったり、赤穂浪士たちの影の薄さが気になったり…

それでも思ったのは、人間やっぱり単純に生きるのがエエわ。しがらみにまとわれたらまとわれるほど、本人がなんぼ頑張って工夫して上手い事やったつもりでも、傍から見ると実にくだらない生き方になるって事。

吉良が最後に笑顔を見せるのだけど、その笑顔がそれを表してると思う。

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2014年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

蜩ノ記を読み葉室麟さんに興味を持った所題名に惹かれて読んでみた作品。
知識がなく大奥部分の人物像もすんなり入ってこずなかなか手こずり、それでもなんとか読み終えました。
途中からやっと吉良という名前や赤穂浪士という言葉でやっと忠臣蔵なんだと理解。
そこからはなんかスっと頭に入ってきてドラマかなんかで忠臣蔵は見ていたが、所々補完していく感覚で読んで良かったと思えました。
主人公の強さと後半へのワクワク感も個人的には好きでした。

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2021年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

忠臣蔵の話の陰に朝廷や幕府の陰謀があった、というのは説得力があっておもしろいと思った。
内蔵助の死ぬのが怖いけど、誰もが避けられないのだから、それなら生きたいように生きるしかない、という言葉が印象的だった。

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2019年04月19日

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