あらすじ
作曲家で聖職者だったヴィヴァルディは、膨大な数の自筆楽譜を遺した。兄の魂を守ろうとする弟、欲にまみれた司祭、古書愛好家、ユダヤ人音楽学者、ムッソリーニ、詩人エズラ・パウンド…様々な人間の愛憎、欲望、無知が絡み合い、楽譜は数奇な運命を辿る。優れた小説に与えられるG・コミッソ文学賞受賞。/解説=田村和紀夫
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Posted by ブクログ
~ お借りした単行本の感想(2021年) ~
ヴィヴァルディが亡くなった。残された手稿譜は時の流れに埋もれてしまう。その重要性を知らないものの手にあったり、大切に保管されていたり大事な人の記念の銘を冠されたり。その楽譜が世に出た時、関わった人のみが知る履歴は埋もれてしまったのだろう。不完全ながらも大まかな来歴が見えた時、苦労を重ねた関係者は天国でほっとしているのか、少し悔しく思っているのか……
最後の関係者はジェンティーリ、イタリア人種ではないため教職を追われ、多くのユダヤ人のように逃亡生活に入る。その時目にした新聞には「ヴィヴァルディの楽譜発見」の記事。発見者とされるのは……
それでも ヴィヴァルディの音楽は
美しい 美しい う つ く し い
1740年から1780年、1893年、1922年から1927年を行ったり来たりしながら物語が進むので、わけがわからなくなったりしたけれど、何度読み返しても第十二章の最後の文章には涙が出てしまう
~ 文庫で再読 ~
目次を年の順に書き直したメモを片手にゆっくり読み進む
受けるイメージはそれほど変わらない
同じところで呆れ返り
同じところでほっとして
同じところで涙ぐむ
美しい音楽はそこにあった まだ