あらすじ
新宿区落合の下宿屋《なかもり荘》は少し独特だ。月1万円という破格の下宿代に、要実費ではあるものの、素朴ですこぶる美味しいまかないまで用意されている。さらに風変わりなのは、管理人からのお悩み相談まで付いていること。ささやかなことに疑問を覚えたり、話があちこちに飛んでしまったりする、心優しくも不器用な管理人・凪人の悩みを聞くうちに、下宿人たちもいつしかそれぞれが抱えている問題に向き合っていく。人と人とが落ち合って、同じ空間で同じ日々を過ごす様子を見守るような筆致で綴った、心あたたまる下宿屋連作ミステリ!
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Posted by ブクログ
創元推理文庫なので購入
作者の文庫コードの末尾が4、つまり4冊目ということになるが前の3冊は積読状態のまま最新作を初めて読む
タイトルで嫌な予感はしていた
背表紙の「連作ミステリ」や、帯の「管理人からのお悩み相談」あたりにミステリ要素を期待しながら読んだが
・ミステリ要素が激薄
連作ミステリとは各話各章に謎と解決があって、クライマックスでそれらにまたがる伏線を回収するカタルシスを得るものだと思っていたが、この作品はそうではなく、各話で起こった軽い事件の犯人が最終話に明かされる
・犯人の動機がサイコパス的で物語にそぐわない
それまで散々ほっこり話を読んだところで「あなたしかいない」犯人が明かされ、気の利いたトリックや工作も無い、言わば場当たり的犯行で動機も陳腐
普通の文芸書として管理人と住人たちの人物描写はそのままにハートウォーミングストーリーにした方が良かったのでは?ギタリストおばさんと幼児のシーンは涙を誘われたし
急に1人だけドクズ人間が出てこられても同情の余地もないし、この世界観から完全に浮いていると思う
ギャップを狙ったものではない、よなあ
ミステリとして評価は星2つ
ミステリ要素を抜いた物語として星3つ