あらすじ
蔣介石は、半植民地化されていた近代中国の国際的地位を飛躍的に押し上げた。中国軍の総司令として抗日戦争に勝利し、外交手腕によって中国が戦後、国連安保理の常任理事国を担う礎を築いた。彼こそ「中華の復興」を実現した人物と言える。しかし、毛沢東と対立した彼は、中華人民共和国では長く「人民の公敵」とされ、台湾では恐怖政治の主導者として記憶されている。親日家として戦後日本の運命を変えた蔣介石の素顔を描いた決定版評伝が、もう一つの近代中国史を明らかにする。
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Posted by ブクログ
日中戦争期に中国国民党を指導し、抗日戦勝利に貢献したものの、戦後、国共内戦に敗れて台湾に逃れた蒋介石についての本格的評伝。
蒋介石の外交戦略が抗日戦の勝利や中国の国際的地位向上につながったといった「功」の側面、一方で、人民のことを顧みることなく独善に陥りがちだったといった「罪」の側面という蒋介石の両面について理解することができた。蒋介石は、中華人民共和国では「人民の公敵」とされ、台湾でも恐怖政治を敷いた独裁者のイメージが強いようであるが、その功績も正当に評価されるべきだと感じた。また、蒋介石を通して、中国近現代史や日中関係史のよい復習・アップデートにもなった。
2番目の妻、陳潔如の存在は本書で初めて知ったが、その数奇な運命に切ない気持ちになった。また、孫文からの冷遇もあり、2人の関係は一筋縄ではいかないものだったという事実も興味深かった。さらに、蒋介石には気象性の躁鬱体質があったりしてメンタルが不安定だったというのも人間としての蒋介石を感じさせられるエピソードだった。
一方、蒋介石が一介の日本の留学生から中国国民党において台頭し、歴史の表舞台に躍り出た経緯(中山艦事件等)については、結構端折られている感もあり、本書を読んでももうひとつよく分からなかった。