【感想・ネタバレ】戦後80年 わたしは、この言葉を忘れないのレビュー

あらすじ

昭和史研究の第一人者が、貴重な証言と埋もれた資料から紡いだ「歴史の真実と教訓」!

2025年は「昭和100年」、「戦後80年」の節目を迎える。しかし、ロシアによるウクライナへの侵略戦争、ハマスに対するイスラエルの虐殺ともいうべき執拗な攻撃、中国と台湾の緊張などを歴史の視点で見ていくと、平和な戦後社会が訪れたとは決して言うことができない。
再び戦争の時代に陥らないために、我々が注意しなければいけないのは「言葉」だ。
近代日本史の戦争の時代には、呪われた「言葉」「用語」が使われた。「非国民」「玉砕」「皇国」「隣組」「本土決戦」「国民は無色」「兵隊さんよありがとう」などである。
戦後、日本社会はこうした用語を社会の公認の語とすることはなかった。その誇りをこれからも守り続けるために、こうした語の暴力性と背景を改めて検証し、心に刻んでおきたい。

狂気の産物ともいえるこれらの戦時用語が「正義の言葉」として使われた結果、無謀な戦争に巻き込まれていった人々の証言とともに、実証主義的姿勢で歴史に向き合う。

◆第1部 国民を呪縛した7つの戦時用語
①非国民
②玉砕
③皇国
④兵隊さんよありがとう
⑤隣組
⑥本土決戦
⑦国民は無色
◆第2部 死んでいった兵士たち、生き残った兵士たち
①戦陣訓
②きけわだつみのこえ
③兵士たちの戦場体験

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Posted by ブクログ

戦後80年の節目に本書を読みました。そこに並ぶ言葉は、人々を縛り、命を奪い、社会を沈黙へと追い込んだ「嫌な言葉」でした。
特に「国民は無色」という表現に震えました。権力が人を“無色”とみなし、思考を奪う危うさ。私たちは一人ひとり声を持ち、それを発することで社会は形づくられるのだと痛感しました。
また「諦観」という言葉が示す、恐怖と無力感に支配された時代の重さ。戦争は戦場だけでなく、人々の心をも支配していたのだと深く考えさせられました。
そして「軍人である前に人間である」という言葉は、今の私にとって「会社員である前に人間であれ」と響きました。立場よりもまず人としての倫理を大切にすべきだと。
言葉は人を殺しも生かしもする。だからこそ敏感でありたい。過去を直視し、同じ過ちを繰り返さぬために考え続けたいと思います。

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2025年10月04日

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