あらすじ
古式ゆかしい華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から家を盛り立てる駒となるよう厳しく育てられてきた。見合いのために訪れた高級料亭の一室で美桜は貞操の危機に見舞われ、そこに現れた尊に救われる。しかし、彼は表の顔こそ誰もが知るIT企業の社長だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織の若頭だった! 「住む世界が違うとか、そんなの関係ない」尊の不器用な優しさに触れ、惹かれていく美桜はそう決意して、彼と政略結婚することにしたけれど……? ※電子版は単行本をもとに編集しています
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Posted by ブクログ
華道の名家に生まれ、家のために生きることを求められてきた美桜。見合いの席で危機に陥った彼女を救ったのは、若きIT社長でありながら裏では極道組織の若頭という顔を持つ尊だった。住む世界が違う二人は政略結婚という形で結ばれるが、そこにあったのは単なる利害関係だけではなく。
実は二人には幼い頃の接点があり、尊にとっては美桜がずっと忘れられない初恋の相手。けれどその事実を、美桜は最初まったく覚えていない。
それでも彼女は、立場も事情も何も知らないまま尊に惹かれていく。この“思い出に縛られていない純粋な恋心”がとても良かったです。
一方で尊は、すべてを覚えていながら言わない。若頭という立場上、自分の気持ちを抑え、あくまで守るための政略結婚だと線を引こうとする姿が切ない。手放すつもりで始めたはずなのに、想いは消えるどころか強くなる。その葛藤が物語に深みを与えていました。
前半は立場ゆえに愛情を抑えていた尊ですが、極道を離れてからは一転。自分の気持ちを隠さず伝えるようになり、スパダリ全開の溺愛へと変化していくのが印象的でした。囲い込むような執着から、選び合う愛へと変わっていく過程が胸に響きます。
美桜もまた、離れるくらいなら子どもを…とまで思い詰めるほど強く想っていて、ただ守られるヒロインではないところも良かったです。
エピローグで明かされる幼少期のエピソード、そして番外編の夫婦としての甘い時間まで含めて、重さの先にきちんと幸福がある物語でした。