あらすじ
最適解を出すだけならAIにはもう敵わない時代。私たちが「効率」や「正しさ」で勝負する意味は、どこにあるのだろう?
SNSを開けば、世界中の天才たちの「すごい」が息をするように流れ込んでくる。「それに比べて、自分には何もない……」
「好き」を語る自信も、何かを続ける気力も失っていく……。
本書が提案するのは、そんな“競争”から一度そっと降り、あなたの「自己満足」――つまり、個人的な「こだわり」や「気になる」から始める、新しい価値のつくり方です。
著者は、QuizKnockの運営会社で働きながら活躍する気鋭の哲学者。価値の源泉は無理にひねり出すものではなく、あなたの日常にこそ眠っているという事実を、哲学由来の思考ツール「図と地の思考」で解き明かします。あなたが無意識にとっている「習慣」や、心の奥で抱いている「問い」に光を当てることで、そこにしかない独自性の種を見つけ出すのです。
・なぜ、中途半端な「やりかけ」の仕事が、未来の創造性を育むのか?
・なぜ、「クイズの出題者」の視点が、共感を呼ぶ企画につながるのか?
・なぜ、あなたの「当たり前」の感覚こそが、他人にはない「独自性」の源泉になるのか?
本書を読み終える頃には、あなたは他人の評価軸に頼らずとも、自分の「こだわり」や「気になる」をユニークな企画や発信へと育てる具体的な方法がわかります。競争に疲れた心が軽くなり、自分らしい視点と表現で他者と深くつながる道が見えてくるでしょう。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
全部良すぎる。
自分自身の独自性とは何なのか、それを見つける方法はどこにあるのか、そしてそれらを社会に適用するうえで言語化の重要性がどこにあるのかなど、自分自身のあり方について、個人的なことと社会的なことの狭間でいる人にぜひ読んで欲しい内容だった。
最後あたりにはクイズと批評を例にこの独自性の社会への反映のさせ方について書かれている。自分はクイズをやっていた人間だが、その時に意識していたクイズへ落とし込むという行為そのものへの考え方などが本当に同じで感動した。よんでよかったとおもえる本だったとおもう。
Posted by ブクログ
哲学を大学で研究して、現在は企業で活躍している著者が、独自性のつくり方を説明した本。
〈前提〉
SNSの普及で上がった競争のハードル。
ネットをつかうことで、世界中の優れた才能や成功事例に瞬時にアクセスできる。
つねに自分以上の存在が目に入り、比較の対象が広がる。目標設定や自己評価が難しい時代。
〈本書の目的〉
他者との比較に縛られず、自分自身の成長を評価する考え方を身に付ける。
〈独自性〉
みんなの土俵から降りて、「自分に寄せた文脈をつくってしまうこと」。
誰かを出し抜くのではなく、自分の世界に居座ったまま、「外側にある社会とのつながり」を見出していくこと。
〈独自性を身につける〉
「自分自身の自己満足を見つけること」、それを、他の人に上手にシェアするための表現方法を編み出していくこと。
〈違和感を感じとる〉
あなたが受け取った情報と、あなたの当たり前とは異なる時に生じる感覚のこと。
〈まとめ〉
自己満足を競争や効率化にからめとられない場所を確保しつつ、その自己満足を他の人たちにもシェアすることができれば、素敵な世の中になる。
〈私見〉
独自性と聞くと、特殊なスキルを想定するが、筆者はそうではなく、自分自身が持っているスキルに目を向けるよう訴えている。
インターネットでつながることで、競争が見える化した時代。その中で、他者との比較で消耗するのではなく、自分自身に目を向けて、その良さを言葉にして他者に伝えることで、独自性をつくることを提唱している。