あらすじ
戦死やあわれ…遠い国でひょんと死ぬるや….詩「骨のうたう」で,戦後を生きる多くの人の心を捉えた竹内浩三.23歳で戦死した彼は,映画監督を志し,友らとにぎやかに金を使い,失恋に滝つ瀬のごとく涙を流す,弱虫で淋しがりやの青年だった.子供の心のままに,素朴さとユーモアで青春を綴っていた彼は,軍隊でも手紙・日記を書き続けることで辛うじて呼吸した.その言葉を1冊に凝縮した新編集版.
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Posted by ブクログ
今まで戦争について歴史であの時代のことを勉強してきたけど、20代の方の言葉でもそこはどこか遠くの手に届かない世界だった。
この方の言葉は遠い世界ではなくてもっと身近な世界で言葉が生きたまま届いてくる。
Posted by ブクログ
「秋風ガキタ。
オマエ、カラダ大事ニシテクレ。
虫ガ、フルヨウダ。」
戦争を描いた小説がある。映画がある。絵がある。
世の中にいっぱいある。
俯いても、涙を流しても、届かない解らない。
私達はそこで生きたことがないのだから。
だけど、この人の言葉は
私達に生きたまま届いてくる。
彼にとって、書くことは、生きることなのだろう。
Posted by ブクログ
当然のことなのかもしれないが、60年前の若者も今の若者と何ら変わりない。お金が無いけど、欲しいものは沢山あるし、お金があれば気の合う仲間と飲み歩く。戦争なんていう非日常の世界に急に参加させられれば、表面上は勇ましいことが言えても内心はそんなものじゃない。私は、これを読んで彼にとても親近感を覚えた。そんなものである。
Posted by ブクログ
映画監督を志す普通の青年が軍隊に入っても書き続けた詩や日記。
軍隊に入るまでのありふれた学生生活は自堕落で気ままな生活でダメだなぁと思ったり笑えたり、きっと誰にでも身に覚えがあるもの。
軍隊に入ってからは厠で隠れて綴っていたという日記はやりたいこともできない自分の思いと、戦争に対する思いとで葛藤しているような、複雑な思いに揺れるのが読み取れる。
(その割に訓練をサボったり芸術話しがわかる仲間を見つけて嬉しくなったり、という変わらないところも)
いわゆる戦争体験記とも違う、戦地へ行かねばならない普通の青年の思いと、戦争の辛さが分かる貴重な一冊。
「物事を、ありのまま書くことは、難しいどころか、できないことだ。書いてなお、そのものごとを読んだ人にそのまま伝えることになると、絶対できない。
戦争がある。その文学がある。それは、ロマンで、戦争ではない。感動し、憧れさえする。ありのまま写すというニュース映画でも、美しい。ところが戦争は美しくない。地獄である。地獄も絵に描くと美しい。描いてる本人も、美しいと思っている。人生も、その通り。」