【感想・ネタバレ】わたしが生きた「昭和」のレビュー

あらすじ

貧しさゆえに一家で「満州」に渡り過ごした少女時代,敗戦後の難民生活と家族の運命….つねに声なき民の側に立って歴史を見つめ続けてきたノンフィクション作家が,今初めて自身の今日までの人生と家族の歴史に焦点をあて,「昭和」という時代の検証に挑む.作家活動の原点を示す記念碑的作品.

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Posted by ブクログ

澤地久枝 「 わたしが生きた昭和 」

昭和前史(一次大戦後の金融恐慌から二次大戦の敗戦まで)における自伝。敗戦の姿や満州国の実態を市民目線で論述している。

昭和前史の軍人が作った時代 を映したノンフィクション。時代を受け入れざるえない市民の弱さも感じる。

永井荷風のように時代と無関係に生きることが どんなに凄いことなのか実感した。


著者の結論「縁あって一つの時代を地球で生きる仲間として、どうすれば共生と平等が可能か、知恵のかぎりをつくしたい。最大かつ絶対の条件が平和である」


「昭和を考えるとき、満州をぬきににして その歴史はない。満州を含めた中国との関係が 昭和前史の基調としてある」
*中国の民族主義を刺激したのは〜日本の対華21ケ条要求
*満州を傀儡国家の理念で片付ける事はアジアの歴史が許さない
*満州は中国華北への日本の野心、中国との戦争の道を開く
*満州を理想郷とする論を肯定できないのは 食糧配給の実態を知っていたから

「歴史とは大気のようであり、海のようでもある〜自分がどこにいるのか見定めている人は稀〜目の前で進行していることの本質が見えない」

「人間的なもの、いのちの尊厳を踏みにじる社会は〜したたかな報復を受ける」

「わたしたちの苦しさは〜戦争の被害を知っている一方〜異邦の人々への責任を同時に感じるところにある」

トルストイ「戦争は 人びとがいかなる暴力行為にも参加せず、そのために被る迫害を耐え忍ぶ覚悟をしたとき、初めてやむ。それが戦争絶滅の唯一の方法である」

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2019年11月01日

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