【感想・ネタバレ】霧の出る森のレビュー

あらすじ

白霧に包まれた御山ば見たらいかんとじゃ。
贄になる……

シアライ――死洗
クギ――供犠
タイサン――泰山

福岡県の片田舎で、禁足地を集落とした者たちの信仰。
御山と骸石(むくろいし)。
底冷えの民俗ホラー!


福岡県の片田舎。
かつて信仰の対象とされてきた山の裾野を切り拓き、禁足地に集落を作った村人達がいた。
クギの者と呼ばれる彼らの子孫は村独自の信仰を嫌というほど教え込まれて育つ。
いつか死ねば山へ行く。御山に手を引かれ、贄となるのだと……。
土地の謂われを知らずに山を崩して造成された霊園では、霧が出るたびに失踪事件が相次ぐ。
山に山菜採りに入った移住者は妙な石を握りしめ呆けて帰ってきた。
また別の移住者は購入した中古住宅の二階に不気味な開かずの間があることを知る……。


◆「なもなきもの」
山菜採りに山に入った夫が、裾野の霊園で意識不明状態で発見された。その左手には石が握り込まれ…
◆「くべられるもの」
家庭訪問の時期を前に小学校の新任の先生に伝えられたのは昨年の薄気味悪い一家全員死亡の事件で…
◆「しらぬもの」
リフォーム前提で購入した山間の中古住宅。だが二階には開かずの間があり、中に石を祀った祭壇が…
◆「おかすもの」
都会の企業が土地を買い造成した霊園。背後に聳える霧深き山を恐れる従業員達。やがて失踪事件が…
◆「つながるもの」
保険の営業で訪れた集落の一軒家。家主の老人は営業マンに村の若い女性との見合いをすすめてきて…
◆「ひかれるもの」
父に虐待されて育ち、母とも確執のある男性。父が死に、妻の勧める山裾の霊園に墓を建てるのだが…
◆「ついでいくもの」
古代の祭祀場を探しに禁足地の山へ入った民俗学研究室の大学生。彼らはそこで恐ろしきものを見る…

結ばれる点と点。
忌まわしき土地の因果を辿る七つの土俗怪奇譚!

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Posted by ブクログ

民俗とか習俗のホラーは元々大好物なんだけれども、昔からその土地の人間に根付いて絡みつくような怪異とそれに侵されていく人の心の描き方が本当に上手。自然や死に対する畏怖の心を思い出させてくれる一冊。

0
2025年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

じめっとした怖さだった。「死んだら山に帰る」福岡の田舎の山岳信仰とそれに巻き込まれる人々の話。それぞれの話で信仰の一部が垣間見ることができますが、全貌ははっきりしない。まさに霧の中というやつです。じんわり近づいてくるが、結構アクティブな怪異です。

一周目はただただ気味の悪い話であったが、二周目からは細部を読むと少しずつルールが見えてくる。
前の話に出てきた人が別の話でメインで登場したりと、話が地続きになっているところも怖い。
村人には役割があるようだ。贄は次々に亡くなるから子供を多く産まねばならない。そのため、外部から相手を見つけて囲わねばならない。またくじ引きという役割分担もあるようだ。あと石のことも。

外に出ていった人には亡くなった人の名前で手紙を送ったり、時にはガワを使って迎えにきたり。複数話の話があるが、時系列がバラバラなのかもしれない。最終話で出てくる霊園の職員はかなり前の話で行方不明になった人かもしれん(最終話が時系列として先なのかも)。

もう少し読み込もうと思う。

0
2025年09月09日

Posted by ブクログ

土地にまつわる話なので、リアルに感じた
読んでいくうちに引き込まれて、
だんだん怖くなっていった
こういう話を読むと土地について
いろいろ調べたくなります

0
2025年11月29日

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