あらすじ
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本書は、気候変動とコーヒーをテーマにしています。
執筆のきっかけとなったのは、2015年にクリスチャン・バン(以下、Bunn)らが発表したある論文です。
「一杯の苦いコーヒー(A bitter cup:Climate change profile of global production of Arabica and Robusta coffee)」
と題されたその論文は、地球温暖化によって、将来、コーヒーの産地でどのような影響が出るのかを予測した論文でした。
ビッグデータの分析によって導き出された結論は、
「2050年までに、現在のコーヒーの産地で適作地域が半減する」
というものでした。
その後、Bunnらの研究を受けて、ほかの研究者も最新データを用いて検証を重ねていますが、
残念ながら結果は変わっていません。
このシミュレーションは、日本のコーヒー業界に大きな衝撃を与え、
「コーヒー2050年問題」と呼ばれるようになりました。
気候変動を前提とする時代に、コーヒーの生産現場では今何が起きているのか、
消費者である私たちに何ができるのか、これらの問題を一緒に考えていきましょう。
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Posted by ブクログ
参考文献にある『珈琲の世界史』に近しい内容をビジュアル要素を加えつつ前半部で概説し、コーヒー価格の高騰が身近な現象として感じられる昨今において、より根本的な潮流としてのコーヒー2050年問題について初学者にも優しく説いている。温暖化やそれに伴う異常気象の影響は、大なり小なり様々な農作物で顕在化しつつあるが、コーヒー生産の特質上、温暖化による海面上昇で土地が侵食されうる南太平洋の島国などと同様、遠く隔たった国の人々にとっても可視化しやすい事象といえるのかもしれない。
今後の生産事情の予測や、生業としてコーヒー生産に従事する人々へのサポートや取り組みなど、コーヒー関連の書籍において歴史的経緯などの深堀りも当然面白い内容であったが、おそらく切っても切れない人類と珈琲の関係上、注視し続けねばならない問題に思われる。
Posted by ブクログ
気候変動により、2050年にはコーヒーの生産量が半減するという危惧がされている。本書ではコーヒーの品種や歴史と現在の生産地の状況などから、産地をバックアップすることの大切さを説いている。
「フェアトレード」の制度があるくらい、現在でもコーヒーの産地は天候による収入の不安定リスクにさらされながら、増え続ける需要を支えている構図。歴史的に見ても植民地支配と切っても切れない関係にあり、それが現代でもどこか地続きになっている。
コーヒーの豆だけでなく果肉や葉も食用として活用している地域があり、それを広げることでも産地を支援することができる。しかし、コーヒーだけに限った話ではなく様々な産業(食品以外も含め)で根底の問題は共通しており、「どこを優先して支援すべきか」が悩ましい。