あらすじ
ビジネスシーンをはじめ、メールにブログ、フェイスブックと、個人が絶えず情報を発信できる今、相手に伝わる文章を書けずに悪戦苦闘している人も少なくない。そこで、一般から募集したエッセイをもとに、元・朝日新聞の名文記者が「伝わらない」「整理されない」65の問題点をすっきり解決する。小手先のテクニックではない、本当の文章力が身につく本――これぞ、文章本の決定版!!
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Posted by ブクログ
これは、ちょっと文章を書き慣れている、中級者向けの本だと思います。
今まで文章術の本を開くと、ごくごく初心者向けの内容ばかりだった気がします。
原稿用紙の使い方も、段落で改行することも知らない。そういった人向けの本が多いのです。
この本はそれとは対照的に「文章を書くことも本を読むことも慣れているが、それ故に陥るミス」に照準を当てているように感じました。
難しい言葉を使いたがったり、含みを持たせたくて回りくどい表現で書いてしまったり…どれも心当たりのあるミスです。
新聞編集者が書いているだけあって、キレのある説明が端的で理解しやすいです。
例文を読んでいると「えっ、こんなに綺麗な文章に直すところがあるの?!」と驚くことの連続でした。
Posted by ブクログ
文章術の本は、何十冊と読んできた。
それらはいくつかの視点で分類できる。
1.著者の職業(作家/学者・講師/新聞記者/ライター)
2.難易度(初級者向け/中級者向け/上級者向け)
3.例文の形式(添削型/正誤創作型/手本型)
ほかの視点でも分類できるが、煩雑になるのでここでは3つにしておく。
本書をこの分類に当てはめると、次のようになる。
1.著者の職業:元朝日新聞の新聞記者
2.難易度:初級者向け
3.例文の形式:添削型
少し補足しよう。
著者の職業は元朝日新聞の新聞記者である。現役OBを問わず、新聞記者が書いた文章術の本は多い。新聞社は朝日新聞が一番多く、読売新聞がそれに続く。朝日新聞の記者は例文に思想が強く出ていることが多い。本書もその傾向がある。
難易度は初級者向けに当たる。本書で紹介している「65のコツ」のうち、基礎編が全体の約7割を占めていることからもそれがわかる。具体的な数字は、基礎編が47。応用編が16。実践編が2となっている。
形式は、一般人から集めた400字のエッセイに、著者が添削して、ポイントを説明するというものである。著者が、ダメな見本と良い見本を創作する形式より実践的ではある。だが、直せるのは表現と順番に限られる。文章は、どう書くかより、何を書くかのほうが重要だ。投稿文に書かれていない部分は知りえないのが弱点である。
ここまで読めば、本書の概要は把握できている。このあとは、評者が気になった点を2つ挙げたい。
1.レイアウトや流れについて
レイアウトは、見出しがあり、投稿文、添削文、それからポイントの説明という配置になっている。この流れは、少し読みにくい。文章のどこに注目して読めばいいのか、手掛かりは見出ししかないからだ。見出しの後は、少し説明をしてから、例文と添削文を載せる。そして、詳しい説明をした方が改善ポイントが理解しやすくなる。
2.応用編は物足りない
基礎編に分量を割いているためもあるが、応用編は物足りなさを感じた。
一例として、応用編の「文章の結び方」と題した項の説明を下記に引用する。
「余韻が残る結び」を書くには、どうしたらよいのでしょう。(中略)「この発見」や「この感動」をストレートに書くのでは、他人には伝えられません。自分が体験したことを「場面」で描き、淡々と客観的に描写することで、はじめて人にも受け入れられる文章になります。(p212)
ポイントはこれだけである。広がりや深さが足りない。ほかの方法も見たかったし、もっと掘り下げても欲しいところである。
読者の向き不向きについては、すでに初級者向けと書いた。もう少しだけ具体的に書いておこう。
基礎ができていないと感じている人にはお勧めだ。文章は学んできたが、基礎がおろそかになっていないか確認したいという人にも合いそうである。一方、基礎は十分できているという人は、物足りなりなく感じる可能性は高い。
補足:バリエーションついて。
本書は、A5サイズの単行本、『「伝わる文章」が書ける作文の技術 名文記者が教える65のコツ』 (2012年、朝日新聞出版)である。
本書に加筆修正をした文庫版が出ている。タイトルは、『おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ』 (2018年、朝日文庫)。文庫本は、コツが一つ増えて「66」になっている。それは、実践編の最後に、「学生に学ぶ」が加わったからだ。
単行本、文庫本、どちらを選んでも内容はさほど違わない。投稿文と添削文を見比べやすいのは、A5サイズの単行本である。持ち運びやすいのは文庫本。お好きな方をどうぞ。