あらすじ
社会はひとりでに変わっていくわけではない。そこには必ず「変えた」人たちがいる。
デモにストライキ、不買運動…社会運動はどのようにして起きるのか。
気鋭の社会学者による、日本初となる社会運動論の入門書!
【目次】
第一章 社会運動とはなにか
第二章 集合行動論
人々は怒り・不平・不満から立ち上がる?
第三章 フリーライダー問題から資源動員論へ
資源と組織が運動を制する
第四章 政治過程論/動員構造論
既存のつながり、政治側の動向、「成功しそう」と思えるかどうか
第五章 政治的機会構造論
政治の側の「聞く耳」を計測する
第六章 フレーム分析
社会運動の「伝え方」と「受け取り方」
第七章 新しい社会運動論
マイノリティによる私的な領域を通じた運動
第八章 社会運動と文化論
資源でも組織でも政治的機会でもなく
第九章 2000年代の社会運動論
MTTの理論と経験運動論
第十章 社会は社会運動であふれている
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Posted by ブクログ
社会行動論について学べる。
高齢者と若い人では持っている資源がちがうので、目標や戦略が異なる。
不平不満や緊張が共有される集団の構造が大切。
大切なのは政治的な連携、組織化、運動が成功するという認識の3つ。
Posted by ブクログ
社会運動論を知ることで社会を見る目、人を見る目が少し変わったような感覚がある。社会運動への参加/不参加、賛同/否定を超えた、そもそも社会が変わるとはどういうことなのかを知ること。
それは社会という網の目で生きる自分自身の肯定にもつながっていくような、そんな温かい読書体験であった。
Posted by ブクログ
「世の中はひとりでに変わっていく訳ではない 必ず変えた人々がいる」という帯のフレーズに引き込まれました。去年読んだ『「ビックリハウス」と政治関心の戦後史 サブカルチャー雑誌がつくった若者共同体』で出会った著者です。前著ではテキスト分析を駆使してその当時の気分を抽出した手法に驚いて、極めて冷静な研究者というイメージを抱きましたが、とんでもない。激アツの人でした。冒頭のアンセム『この本は「社会を変えよう」と呼びかけるものでも、「社会の変え方」を伝えるものでもありません。日本社会に生きる私たちは、そもそもそれ以前の問題として「社会を変える」ということをよく知らないのです。だからこそ、私たちの社会は確かに変わっていること、また社会を変えた主体として私たちのような市井の人々がいることにも気づかないのです。だからこそ、私たちがやるべきことは、まず「社会を変える」とは何なのかを、 過去の研究や事例に照らして明らかにすることです。』という問題提起に心が動きました。「社会運動論」という分野はまったく触れたことがないので第二章以降で触れられる集合運動論、フリーライダー問題、資源動員論、政治過程論、動員構造論、政治的機会構造論、フレーム分析、新しい社会運動論、「社会運動と文化」論、MTTの理論、経験運動論、もう翻弄されるばかりでいっぱいいっぱいになりますが、それでも事例によって引き寄せて考えることが出来ます。そして辿り着く、あとがき。ここでなされるこの問題への著者自身への個人化によって、また激アツモードになります。理解できていないところも多々だけど、読んでよかった新書です。