【感想・ネタバレ】空飛ぶ納豆菌 黄砂に乗る微生物たちのレビュー

あらすじ

地球を半周して飛来する黄砂は、微生物たちの格好の乗り物だった! 中国奥地のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠から偏西風によって日本の上空に飛来してくる黄砂に、カビや細菌類が付着していることがわかってきた。黄砂が含む水分やミネラルが、長距離を移動する微生物たちにとってとても具合がよかったのである。黄砂からどのような微生物たちが見つかったか。微生物たちが長距離を移動する間に起きる化学的・生理学的変化とは何か。黄砂が落ちる場所で微生物たちがもたらす生態系、農業、人間や家畜の健康への影響とは何か。「黄砂に乗る微生物」をめぐり、科学者たちの探求が始まった。☆ 黄砂が飛んでくると、微生物の量が5倍にふえる☆敦煌の上空を飛ぶ黄砂の10%にカビや細菌が付着☆金沢や能登の上空の黄砂でも、微生物を採集☆標高3000mの立山の積雪から、黄砂と微生物を採集☆生態系、健康への影響はこれからの研究課題

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Posted by ブクログ

黄砂や微生物や菌など、大気の中に存在する浮遊する粒子をエアロゾルというらしい。
それらは地上を這うのみならず、成層圏にまで達しジェット気流に乗って世界を飛び回っているそうな。
大半は何をしているんだかわからないけれど、中には環境や健康に悪影響を及ぼしたり、逆に大気汚染を緩和したりするものもある。

漠然と抱いていたイメージよりずっと空気は有機的でアクティブだ。
酸素や窒素だけでなく、多様な「その他」があって空気らしい空気が作られている。
「海は生命のスープ」ってのを連想した。
学校で教わる「空気」からくるイメージが妙に無機的でクリーンで、それに慣れた身は浮遊するものどもを過剰に恐れてしまう。
その辺も、水道から出てくる清い水しか飲めない、海やプールや風呂に顔をつけるのもためらってしまう感覚と近いかもしれない。

黄砂は空に浮かぶ大地のかけら。(ロマンチックな表現だ)
ひとつひとつは小さいけれど表面積を合計すると陸地くらいになる。
黄砂の表面には微生物がくっついていることもある。紫外線よけにも餌にもなる便利な乗り物。
それでも高度上空の条件は過酷だから、軽くて強い微生物だけが生きて空を渡れる。


先端の研究はどんどん細分化していくし進化するから、興味のある人には当然のことも知らない人は驚くほど知らない。
私は知らない側だから単純に楽しい。このシリーズは知ることは面白いと思わせてくれる。
そのものの知識もさることながら研究風景や思い出話も面白い。
たまに横の方にある用語解説(?)は、たとえば「砂塵の長距離輸送」について(p51)なのに「長距離輸送っていうとバスやトラックを浮かべるよね」みたいなどうでもいいことが書いてある。
いやそれ関係ないだろって思うんだけど、こういう関係ないことも大事にできるから研究向きなんだろうな。

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2013年03月10日

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