あらすじ
戦争の傷、読書の歓び、セルビアでの暮らし。日記文学の傑作、待望の増補文庫化。 セルビア語と日本語の詩を読み書く毎日、街角で語られるNATO空爆の悲惨な記憶、難民のこどもたちとの触れ合い、各地の戦争や東日本大震災へ寄せられる人びとの言葉、友人たちとの親密な時間、そして別れ……セルビアの首都ベオグラードで詩人が記した、歓びと哀しみの日々のかけら。読売文学賞受賞の日記文学の傑作に新たに最近6年間をまとめた日誌を増補。解説 小林エリカ
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Posted by ブクログ
内戦、NATOによる空爆の傷跡がなお残るベオグラードにおける日々を綴った日誌。
苦しい難民生活を送る子どもたちなどとのふれあい、親しい人たちとの温かなつながりがあれば、哀しい別れもある、年月が経ち、妹や恩師、親しく交わった同僚や詩人仲間、仕事関係者、さらには近隣の人たちとの永別。人の命を奪う悲しい事件も後を絶たない。
そんな中でも、素晴らしいセルビアの詩が著者を慰め、また力づけてくれる。著者自身も、自ら詩を書いていく、日本語で、セルビア語で。
著者はいくつかの場所や建造物を訪れ、歴史を思い、そこに込められた人々の思いを追体験する。それを記す著者の文章は美しい。