あらすじ
藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を、深紅色に濡れ光る奇岩の連なりが覆っている。ここはどこなんだ? 傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。『黒い家』で圧倒的な評価を得た著者が、綿密な取材と斬新な着想で、日本ホラー界の新たな地平を切り拓く、傑作長編。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
リハビリ2冊目。
ばか面白かった…。
今まで読んだ本の中で1.2を争うくらい好きな本になった。
設定からもうワクワクさせられていたが、読み進めるほどそのワクワクは倍増させられていった。
特にグールが毒を食べた他の参加者だということ、その人たちがグールになっていく過程が気に入った。
藤木目線で、少しでも選択を間違えたら確実に死ぬという極限の状況の中、冷静にかつ迅速に行動を決定していく様が、自分に起こっているかのような臨場感で感じられた。
少しでも音を立てたらまずい場面ではこちらも息を呑みながらページをめくっていた。
プラティ君が必要な時に情報を提供しながらも、こちらを馬鹿にしているかのような煽りは実際に想像することができたし、不気味さを増幅させた。
時々登場するゲームブックも、物語を膨らませる上でとても重要なアイテムだった。
最後に明かされる(あくまで藤木の推察だが)藍の正体にも、あっと言わされた。
結局黒幕については明かされていないので、主催者に対する復讐編としてもう一度ゲームに参加するなど、続編があったら良いのにと思う。
しばらくは、読書によってこれを超えるワクワク感は経験できないだろう。
Posted by ブクログ
主人公と行動を共にした彼女が、実はゲームマスターのスパイだったのではないか――。その疑惑が晴れぬまま、真相が闇に溶け込んでいくような不可解な物語でした。
匿名
目覚めたら見知らぬ場所で、命をかけたサバイバルをすることになる。
誰が敵で誰が味方か、先の展開が読めず最後までドキドキでした。意外なオチみたいなのはなく、ゲームの運営への報いなどもなくちょっとモヤモヤしました。
Posted by ブクログ
貴志祐介さんの作品の中では特に好きだった。
冒険やアドベンチャー感もありつつ、サバイバル要素もあり、頭と身体を使いながら敵から逃げたりミッションをクリアしていくのが、読んでいて次の展開を早く追いたいと思えるくらい面白かった。
何も知らない8人が集められたかと思いきや、ゲームマスターやカメラマンも紛れたものだったこともスパイスとして面白かった。
一読者としては、このゲームを主催していた人たちや、参加者の選定基準についてもっと知りたいと思った
Posted by ブクログ
イッキ読み。展開が気になり過ぎ。
デスゲームものの源流と言われるだけある。
道中の描写も良かったことに加え最後ちょっと哀愁があるのが印象深い。
情報がいちばん必要だろとは最初にちょっと思った。
クリムゾンの迷宮
普段はサスペンス系を読むので、こういった物語は新鮮でした。現実離れした設定ではありますが、読み進めるごとに先が気になり、一気に読みきりました。
スリリングな展開が多く、ハラハラドキドキでしたが、結末があっさりし過ぎていたのが個人的には少しがっかりしました。
迷宮
タイトル通りの終わらせ方。
面白かったけど気になる点が解明せず満足は出来なかった。
私にはバッドエンディングでもなくグッドエンディングでもない。
コンティニューに思えた。
Posted by ブクログ
デスゲーム物としてはかなり前に書かれた作品だが、ゲーム設定が細かく作り込まれており、説明キャラクターのキャッチーさなど無邪気な狂気が描かれていて良かった。 主人公は割と感情移入しやすく好感も待てたが、ヒロインが最初から最後まで怪しさ満点すぎる。実際黒幕と繋がっていたが切ない結末と相まってか嫌いじゃない。それ以外の人間は後半になるまであまり登場しない為印象が薄かった。最後は名前じゃなくて食人鬼呼ばわりだし。これはデスゲームものが流行りすぎた弊害だが、殺し合いを期待をして読んでしまったせいで肩透かしを食らってしまった。
Posted by ブクログ
評価高かったので見ました。
インシテミルとかバトルロワイヤル感が。
オチは釈然とせず。
主人公だから情報ルートを取れましたが、じゃなかったら詰みなのがあんまりです
Posted by ブクログ
一気に読みすすめられた。
トゥルーマン・ショー的な事なのかなとは思ったが、藍がカメラマンの役割をしているとは思わなかった。
野呂田が途中亡くなったり、あれだけ嫌がっていた補聴器の電池を使ったのは、スナッフビデオを成立させる為にした行動なのか。
面白かったけど、理解しきれない部分もあった。
Posted by ブクログ
死ぬほどネタバレしてるので気をつけてください。ていうか、もはやネタ解剖しちゃってます。あくまで感想の域は超えませんが。↓↓
本書を読んで強く印象に残ったのは、極限状態での人間の恐ろしさ以上に、「人間は『善か悪か』だけでは決して割り切れない」ということだった。
その象徴が「藍」だと思う。
終盤、藍がゲームの主催者側にいることが明らかになる。藤木からすれば明らかな裏切りだが、彼女自身が自由な意思でその立場を選んだわけではなく、状況的にゲームに関わらざるを得なかった側面もある。そう考えると、藍もまたゲームに囚われた一人だったのではないか。ただし、だからといって彼女を善人として見ることもできない。藤木を助けることさえ、純粋な善意とは限らない。ゲームを盛り上げる「撮れ高」のためなら、藤木を生かしておくことには十分な意味がある。つまり藍は、藤木を助けながら、同時に藤木を利用している。ここが面白い。
「藤木を助けたのは情だったのか、それとも撮れ高のためだったのか」その境界が曖昧だからこそ、藍を単純な善人にも悪人にもできない。人間の行動には、情と打算、善意と自己都合が同時に存在する。人間は、純粋な動機だけでは動いていない。藍は、その矛盾を極端な形で見せている。そして、この「状況」と「意思」の問題は、藤木やグールとの対比でも浮かび上がる。藤木は、極限状態でも考えることをやめない。何を食べ、どこへ進み、誰を信じるかを、自分の頭で判断し続ける。一方、グールは生き残るために人間としての一線を越えていく。
藍はその間にいる。ゲームの側にいながら、完全には割り切れない。だから私は、藍を「人間性の最後の砦」のように感じた。怪物になってしまったわけでも、正しい人間であり続けたわけでもない。悪に関わりながらも、完全には人間であることを捨てきれない。その「なりきれなさ」こそ、むしろ最も人間らしいのではないかと思った。
そして、この作品で本当に恐ろしいのは、殺し合いそのものだけではない。藤木たちにとっては生死を懸けた現実が、主催者にとっては「撮れ高」のある娯楽でしかない。人間の苦痛や恐怖まで、誰かにとってはコンテンツになる。そう考えると、藤木が奪われていたのは命だけではなく、「自分の人生を自分だけのものとして生きる権利」だったのではないかと思う。そして、ここから自分自身にも問いが返ってくる。私たちも、仕事や組織、人間関係など、自分では選べない条件の中で「自分の意思で」選択していると思っている。しかし実際には、与えられたルールの中で選ばされていることもある。
だから、この作品から持ち帰りたいのは、「自分はいま、本当に自分で選んでいるのか。それとも、与えられた状況の中で選ばされているだけなのか」と、ときどき立ち止まることだ。同時に、他人を判断するときも、その人の行為だけを見て「善人」「悪人」と決めつけない。その人がどんな状況に置かれ、何を選ばざるを得なかったのかまで考える。ただし、それは行為の責任を免除することとは違う。
『クリムゾンの迷宮』は、極限状態で人間がどこまで残酷になれるのかを描いた作品だと思っていた。でも読み終えてみると、それ以上に、「人間は、与えられた状況の中で、どこまで自分自身でいられるのか」を描いた作品だったように思う。
藤木は「場所」から脱出しようとし、藍は「役割」から逃れきれない。そしてグールは、人間であることそのものから遠ざかっていく。そう考えると、三者がそれぞれ違う「迷宮」を歩いていたように見える。そして私たちもまた、自分では選べない状況の中で、それでも選択し続けている。
自由とは、何でも好きに選べることではなく、選べない状況の中で、それでも何を選ぶかということなのかもしれない。この作品を読み終えて、一番自分に残ったのは、そんな問いだった。