あらすじ
戦国時代が終わりを告げ、江戸時代に入ると徳川幕府の大名統制もあり、全国の大名は「慢性的な財政難」「藩政の乱れ」という新たな難敵を相手に悪戦苦闘していた。元来、大名家の経済政策の柱は、きわめて単純で粗っぽい方法が採られた。「年貢増税」と「借金踏み倒し」である。しかし、「貨幣経済」が進み、商人が力をつけてくる江戸中期以降になると、大名家の力と権威の“無理強い”だけでは財政の立て直しはできなくなった。財政再建・藩政改革に失敗すれば、たちまち改易、取り潰しなど幕府からの厳しい処置も待っている……。高松藩、長州藩、大野藩、姫路藩、備中松山藩、庄内藩、府内藩、相馬藩、会津藩、高田藩。水戸徳川家の分家から外様の大大名まで、各藩はいかにして危機を乗り越えたのか?藩自ら商社を運営し商いで再建した藩から農民出身の学者や豪農・大商人を改革のキーマンとして登用して再建した藩まで、10藩の財政再建への取り組みを紹介。赤字を黒字に変えた藩主たちの覚悟と知恵は、リーダー論として現代に生きる事例も多い。
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Posted by ブクログ
これまで喜連川藩や松前藩など「一風変わった」藩について書かれてきた山下昌也さんの本。
財政改革にあたっては、民衆の反感を買わないこと、また、商品経済が発達する中で、「脱米政策」と年貢中心という当たり前と考えてきた江戸時代の姿から転換することがポイントとする視点は勉強になった。
Posted by ブクログ
江戸時代に財政難の藩は数あれど、赤字から黒字へとなった成功例はめずらしい。そんな成功例をまとめた本。会津、長州、姫路などよく知っている藩が多いので分かりやすかった。
商人に改革をさせたり、若手登用したり、殿様自ら頑張ったり。改革にはやはり発想の転換が必要なんだなと深く思った。