【感想・ネタバレ】1945年、14歳の僕が考えていたこと。【下・戦後編】 戦争を知らないキミへのレビュー

あらすじ

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福岡県久留米市の中学生が激動の日々を綴った日記。下巻は、敗戦後の1945年8月16日以降。価値観が180度変わったこと、戦後の混乱、米兵との初めての会話したこと等。自分もこの時代にいるような感覚で当時を追体験。日記に出てくる事柄を理解するための資料や用語解説も巻末に収録。太平洋戦争関連の年表や地図、戦争について知るための読書案内、国内の戦跡ガイド等、調べ学習にもつながる充実の内容。

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Posted by ブクログ

敗戦の時には「悔しい」と戦争継続を強く望んでいた14歳の少年が、空襲がない平和な生活に、短い期間で慣れ、進駐軍にも敵愾心を持つことなく馴染み、日常生活を送るようになってゆく様子は、人間のたくましさを感じさせます。
1945年12月31日の日記には、「苦しい悲しい一年であった。B29の巨体をいやというほど見せつけられた空襲……。防空壕。空襲警報。つらかった工場動員。久留米焼爆。はては降伏。闇市場……全くかぞえれば無限の苦しいことばかりだった。しかし、我々は、よくそれにたえて来たものだった。自分の一生にも又とこんな苦しい時代は来ないであろう。しかし、でも自分のような不忠者にとって、嬉しいこともあった。それは米軍進駐、武道教練全廃、英語熱激化等である。しかし一括してみると、苦難の年だった。さあ、新しき明日より新生日本のために、平和日本の為に一生懸命勉強しよう!」とあり、戦時中の生活や戦後の苦労に対するネガティブな感情はあるものの、「戦争に負けた」ということを悔しがっている様子は見受けられませんし、日本を(あるいは自分の生活を)復興させようという強い意志を感じます。

改めて、現代の日本の礎を築き上げたのは、焼け野原の中から必死に立ち上がった戦争罹災者たちの不断の努力によるものだったのだ、と敬意を抱くとともに、戦後80年の節目の年に「戦争は繰り返してはならない」という思いを強くする読書体験でした。


巻末の「戦争を知るための資料館・戦跡」「戦争を知るための読書案内」など参考資料も豊富ですが、持ち運ぶにはやや大きいサイズであり、ルビが多く小学生高学年でも読めるように配慮がなされているからこそ、中高生には少し幼く感じられるかもしれません。

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2025年08月05日

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