あらすじ
一九八五年八月十二日、羽田から大阪へ向かうはずの日航ジャンボ機が消息を絶った。三十二分間の迷走の果て、御巣鷹の急峻な山中に散った五百二十名の生命。あのとき、機内で何が起きていたのか──。
安全神話に魅せられた現場と隘路にはまった事故調査の迷宮。
空前の事故が起きてから四十年にあたっての補遺を付す。
〈目次〉
1 真夏のダッチロール
2 三十二分間の真実
3 ビジネス・シャトルの影
4 遺 体
5 命の値段
6 巨大システムの遺言
あとがき
事故から四十年にあたっての補遺
〈解説〉神里達博
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Posted by ブクログ
日光123便墜落、事故については以前から大変興味を持っており、青山さんの本は全て読み、その他いろいろな人の多くの解説を読んできたが、今回の吉岡さんの墜落の夏はちょっと視点を変えた、事故直後の様々な問題を、冷静に、多くの人々に取材をし、丁寧に記述されていた。
以前から感じていた、相模湾に沈んでいると思われる垂直尾翼は、100数十メートルの深さであり、なぜ引き上げ作業が行われず、そこを飛ばしてボーイングのシュリミスと言う政府発表を事細かに解説している点については、やや物足りない気もしたが、事故の翌年の出版であり、わからないことばかりの中でどこまで、自衛隊、米軍の訓練機による事故と探偵する事はできなかったのだろうと思う。
Posted by ブクログ
あれから40年。
1985年8月12日日航ジャンボ機墜落事故。520名の犠牲者と奇跡的な4名の生存者。
突然コントロールできなくなり牙を剥く巨大システム。事故に偶然に遭遇する乗員乗客とその家族。
事故の状況から検視、遺族の人生、補償から原因まで。
事故から1.年ほどでの出版であるが、この事故について本作を超える作品は出てきていないように思う。
ノンフィクションとして屈指の出来。
Posted by ブクログ
吉岡忍『墜落の夏 日航123便事故全記録』中公文庫。
1989年刊行の新潮文庫『墜落の夏──日航123便事故全記録』に『四十年後の補論──実感と言葉をめぐる危機の時代』を増補した上で、神里達博による解説を追加し、復刊。
青山透子の日航123便墜落事故をめぐる疑惑についてまとめられた一連の著作を読み、この事故に大いなる興味を抱いたのだが、1989年に新潮文庫から刊行された本作の親本は未読であったことから読んでみることにした。
墜落事故の発生から、墜落事故現場の発見、轢断され、黒焦げになった遺体の検視と身元の特定、遺族への補償問題、事故原因と綿密な取材により非常に詳しくまとめられたノンフィクションであり、読み応えがあった。
本作の著者も事故原因については疑問を呈しており、米軍や自衛隊の演習の過程で標的や模擬ミサイルなどがぶつかり垂直尾翼を破壊した、或いは隕石やUFOなどの外部圧力による垂直尾翼の破壊を疑っている。
日本国内最大の惨事となった航空事故は1985年8月12日の夕方に発生した。羽田から大阪へ向かう日航ジャンボ機が消息を絶つ。その後、ジャンボ機は32分間の迷走の果て、御巣鷹の急峻な山中に墜落し、乗員乗客520名の生命を奪ったのだ。
生存者は僅か4名でいずれも女性であった。その中でも、プライベートで搭乗していた日航のスチュワーデス、落合由美さんの証言は事故原因を解明する上でも大変貴重なものだった。
事故原因は、7年前に同機が起こしたしりもち事故によって破損した後部圧力隔壁の下半分の交換修理が不適切で、飛行を繰り返したことで金属疲労を起こし、その部分が飛行中の与圧により損壊、客室側から吹き出した空気が機体の尾部と垂直尾翼を吹き飛ばし、同時に4系統あった油圧パイプが断裂したことで、操縦不能に陥り、墜落したというものだ。
これは、物的証拠が無いのにも関わらず、ボーイング社が認めたという推測の一つに過ぎないのだ。相模湾に沈んだとされる垂直尾翼を引き揚げれば証拠が掴めるかも知れないのだが、近年、某テレビ局がその垂直尾翼を発見したにも関わらず、日航側も運輸省も引き揚げようとしないのは何故なのだろうか。
本体価格1,100円
★★★★★