あらすじ
第二次世界大戦中1万人のユダヤ人を救った「いのちの電車」に乗って、お父さんと別れた少年とお父さんの家族愛を描いたおはなし。
1939年2月、ベルリンに住む6歳のヘンリーは、ヒットラー政権のユダヤ人迫害から逃れるため、お父さんと離れてイギリスと暮らすことになりました。
ベルリンではユダヤ人と差別され、イギリスではドイツ人と差別されて傷つくヘンリー。
心の支えになったのは、ベルリンから届く、おとうさんのポストカードでした。
おとうさんが、ヘンリーを思いやって選んだポストカードは、とてもかわいらしくヘンリーの心をなぐさめてくれます。
お父さんが息子を思いやる気持ちが伝わる……愛にあふれた物語。
本当にあったお話にもとづいた戦後80周年記念企画。
巻末に、第二次世界大戦中にドイツからイタリアに子どもたちをおくった「キンダートランスポート」の解説、年表を掲載しています。
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Posted by ブクログ
ポストカードがコラージュされた、素敵な装丁の本。ユダヤ人迫害の辛さを肌身で感じたヘンリー少年が、語りかける物語です。ヘンリーくんの実体験をもとにまとめられています。
キンダートランスポート(いのちの列車)
約1万人のユダヤ人の子供たち(17歳まで)が、ユダヤ人差別から逃れるため、イギリスに送られた事実(1938.11.30〜1939.9.1)を私は知りませんでした。
ヘンリーくんのお父さんは、息子をイギリスに送る決断をします。お父さんのカードは数日おきに届き、ヘンリーくんとのやりとりが始まります。そのポストカードの絵柄が素敵で、たくさん掲載されています。お父さんの愛がこもった文面でした。
第二次世界大戦が始まると、ドイツのお父さんからの手紙は届かなくなり・・・お父さんの最後の手紙、とても辛かったです。
小学生から読むことができます。大人もぜひ!
『アンネの日記』と共に、読み継がれてほしい良書だと思いました。
Posted by ブクログ
息子が図書室の先生からすすめられた本で、一緒に読みました。
世界史専攻ではない私が読んでも、当時のドイツの様子が少し理解できました。いのちの列車の存在も初めて知りました。ユダヤ人への差別ほどではないですが、日本でも多かれ少なかれ同じようなものは残されているんではないかと感じさせられました。
当時、自分が同じ立場に置かれたとして、私が親として、息子の命を救うために外国に避難させ離れ離れになるという選択肢を選べることができるだろうか、息子も私と離れて生活できるかどうか…と思うと、身が引き裂かれる思いです。それほどまでに父親の愛情は深いのだと思いました。
息子がイギリスの生活に順応するに従い、コミュニケーションがとれなくなるなんて…涙が出てしまいます。
死の列車についても息子と一緒に調べたいと思いました。
Posted by ブクログ
せまりくる恐怖からせめて子どもだけでも助けたい。切ない親心、愛のこもったたくさんのポストカード。名前が変わっても君は大事なパパの息子だよ…
悲しい戦争の歴史。それでもあの時代になんとか子どもだけでも助けたいと奮闘した人たちがいて、救われた子どもたちがいた。キンダートランスポート。いのちの列車と死の列車。何が生死を分けたのだろう。とても読みやすい。ぜひ多くの子どもたちにも読んでほしい一冊です。