あらすじ
この本は、AIエージェントという、ビジネスとテクノロジーの未来を左右する重要なコンセプトに関心を持つ、すべての方に向けて書かれている。AIエージェントという複雑で広範なテーマについて、ビジネスとテクノロジーの両面から、その全体像を体系的に理解し、未来へのアクションにつなげるための「羅針盤」となることを目指した。
特に、次の2つの視点から読み進める読者を想定しつつ、それ以外の立場の方にも手がかりとなるよう配慮した。一方は、企業の経営層、企画部門、あるいは現場のリーダーである。「AIエージェントとは、結局のところ何なのか?」「これまでのAIやRPAと何が根本的に違うのか?」「自社のビジネスに、具体的にどのような影響があり、どんな新しいチャンスが生まれるのか? あるいは、どのようなリスクに備えるべきなのか?」―こうした切実な問いを持っているのではないだろうか。必ずしもAIの技術に精通している必要はなく、重要なのは、この技術革新がもたらすビジネス上の本質的な変化を捉え、未来に向けた戦略を描くことである。
もう一方は、企業のIT部門、エンジニア、データサイエンティスト、そしてAI技術の導入・開発に携わる人々である。これらの人々は、「AIエージェントを自社のシステムやサービスに組み込むには、どのような技術が必要なのか?」「そのアーキテクチャーはどうなっているのか?」「開発プラットフォームは何を選べばよいのか?」「具体的な開発プロセスや、導入・運用における注意点は何か?」―より実践的で、技術的な深い理解を求めていると想像した。
(「はじめに」より)
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Posted by ブクログ
AIエージェント革命 「知能」を雇う時代へ
書籍
著:シグマクシス
出版社:日経BP
AIエージェントとは、与えられた目標に基づき自ら計画を立案し、必要な情報を収集・分析し、外部ツールや他のシステムと連携しながら、自律的にタスクを遂行していく
単なる指示されたタスクを処理をしていくだけのプログラムではない
AIが、コンピュータを操作する機能である まさに革命なのだ
AIエージェントの特徴
①大規模言語モデル(LLM)を使う
②与えられたゴールを達成する計画を立てる
③与えられたツールを使って外部とやり取りをする
④立てた計画に沿って臨機応変に実行する
⑤自律的に行動する
言語以外の画像、音声、動画などを扱うのは、LMM:大規模マルチモーダルモデルという
急拡大するAIエージェント市場
2023年に、 9.6兆円
2030年には 128.8兆円
2032年には 187.2兆円
に達する巨大市場
生成AIの進化には、強力な計算リソースが不可欠であり、AIサーバをはじめとする高度なITインフラが必要
最新のGPUを搭載するAIサーバのインフラ需要の急拡大している
AIエージェントの適用範囲
個人向け
①PC操作の自動化
②調査の自動化
③申請の自動化
企業向け
①データ分析の自動化
②顧客対応の自動化
③研究開発の支援 タンパク質の立体構造の推定・決定
ReAct 推論・行動・観察のサイクルを繰り返していくこと
反省 出力を内容の正確さや一貫性の観点から評価し、必要があれば書き換える手法
AIエージェントの技術的要素
①ペルソナ
②考える
③行動する
④メモリー
複数のAIエージェントを組み合わせて使う ⇒ マルチエージェントシステム
マルチエージェントシステムは、全体を統制する「オーケストレーション」と、「特化型エージェント」からなる
③の行動
・出力については、自由形式の文章ではなく、JSON形式などプログラムで扱いやすい形で出力できる
・RAG データベースから関連文書を検索してプロンプトへ含める技術
・ナレッジグラフ検索 情報間の関連性をグラフ構造に整理したデータベース
AIエージェンドの価値
①文章、映像、音声による柔軟な入出力を持つ
②入力された依頼を臨機応変に実行する
③複数同時かつ長時間稼働が可能
AIエージェントに向いている業務
①入出力が柔軟な非定型業務
②入出力が柔軟な定型業務
③入出力が厳密な非定型業務
AIエージェントに向いていない業務
①常に厳密な解が求められる業務
②規定に基づく厳密な判断を伴う業務
③短期間で大量のデータ加工を要する業務
AIエージェントの導入
①要件定義、②設計、③構築、④テスト
AIエージェントの開発プラットフォーム
①フレームワーク型
・LangGraph
・AutoGen
・Agents SDK
②ノーコード型
・Dify
③RPA型
・Operator
AIエージェントの導入 LangGraphを例に
①アプリケーションの目的と入出力の定義
②タスクの分割と処理フローの設計
③LangGraphによる設計
④RAG用のデータの整備
⑤大規模言語モデルの選択
⑥外部ソースの要否
⑦稼働環境の設計
目次
はじめに ようこそ、「知能」を雇う時代へ
第1章 AIエージェントがビジネスに与える影響
AIエージェントとは何か
米IT大手による特徴づけ
AIエージェントの特徴づけ5点
オープンAIはAIの発展段階でレベル分け
世界的なレポートにみる生成AIのビジネスインパクト
生成AI市場は年平均48%で急成長
生成AIが影響を与える産業
生成AIが影響を与える領域
生成AIが影響を与えるタスク
実企業における経営インパクト
国内メガバンクの全従業員数及び部門別内訳
第2章 AIエージェント活用サービス事例
一般ユーザー向け活用サービス
PC操作の自動化(Computer Use / Operator)
調査の自動化(Deep Research)
申請の自動化(DoNotPay / 補助金Express)
企業向けサービス事例
データ分析の自動化(Data Science Agent)
顧客対応の自動化(Pactum / 自動交渉AI / Rexera)
研究活動の支援/実行(The AI Scientist / AI co-scientist)
第3章 AIエージェントの技術基盤
AIエージェントの背景となる技術
深層学習の発明と言語モデルへの応用
スケーリング則で言語モデルの大規模化が加速
大規模言語モデルの能力や適用範囲が拡張
推論能力の強化
AIエージェントの技術的構成
AIエージェントを構築する共通アーキテクチャー4要素
マルチエージェントシステムの動作例
マルチエージェントシステム構築のステップ
AIエージェントを構成する要素技術
米ハギングフェイスのDeep Researchの動作例
オープンソースDeep Researchとは
オープンソースDeep Researchの構造
マルチエージェントシステムによる性能向上の今後
コラム 「AIエージェント」の歴史と2つのタイプ
タスクをこなすエージェントの原点
シミュレーションで動くもう一つのエージェント
重なり合う2つのAIエージェント
第4章 AIエージェントの導入と運用
AIエージェントの導入準備
AIエージェントが「向いている」業務
AIエージェントが「向いていない」業務
候補とする業務の収集と目的の設定
主要な開発プラットフォームと選び方
フレームワーク型「LangGraph」
フレームワーク型「AutoGen」
フレームワーク型「Agents SDK」
ノーコード型「Dify」
RPA型「Operator」
LangGraphを用いたAIエージェントの導入
アプリケーションの目的と入出力の定義
タスクの分割と処理フローの設計
LangGraphによる設計
RAG用データの整備
大規模言語モデルの選択
外部ソースの要否
稼働環境の設計
AIエージェントの評価と運用
第5章 AIエージェントが拓く未来
未来予測
エキスパートインタビュー
「欲しい、好きという気持ちが最大の価値になっていく」
清水 亮 氏
ギリア ファウンダー・顧問
Free AI 共同創業者
「魚や蜂のエージェントが実装される世界」
爪長 美菜子 氏
NTT 執行役員 研究開発マーケティング本部
アライアンス部門長
おわりに AIとの協調と価値の再構築
ISBN:9784296208166
出版社:日経BP
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:2100円(本体)
2025年06月16日第1版第1刷発行
2025年08月06日第1版第3刷発行
Posted by ブクログ
AIエージェントに関する本質的な考え方がまとまっている良い内容だった。全てがAIに置き換わるわけではなく、AIが得意な領域や苦手な領域、業務にAIを落とし込むために必要なことなど、実践的な内容もあって良かった。
Posted by ブクログ
AIエージェントの歴史や得意なこと、適用しやすい業務など、AIをビジネス適用するための概要が分かりやすく解説されています。
もはや仕事も私生活も、AI無しでは成り立たない時代になってきたなぁという実感です。
将来はどうなるのだろうか?
従来のITシステムが不得意だった非定型業務をAIエージェントが代行・自動化できるようになり、人間は肉体労働や心のケアにフォーカスした業務に専念するのだろうか?
Posted by ブクログ
RPAとAIエージェントは、自律的に判断・状況を判断した対応が可能な点で異なる。
特徴は以下
・LLMを利用
・ゴールを達成する計画を立てる
・外部とやり取りする
・計画に沿って臨機応変に実行
・自律的に行動
■実企業インパクト事例
・国内メガバン
労働時間削減24% ⇒ 516億円=経常利益の6%相当
■サービス事例
・データ分析の自動化 Google Golab
ブラウザ上・開発環境無しでデータ読み込み、前処理、可視化、MLモデル構築、結果評価可能
・研究活動支援
・・AlphaFold タンパク質の立体構造を数分~数時間で推定。
・・サカナAI アイデア生成、実験プラン、実験作成、論文執筆、論文レビュー
■AIエージェントの導入
・フレームワーク型 LangGraph
・ノーコード Dify
・RPA Operator
Posted by ブクログ
AIエージェントの特徴 ・・・行動できるシステム
大規模言語モデルを使う
与えられたゴールを達成する計画を立てる (推論)
与えられたツールを使って外部とやり取りする
立てた計画に沿って臨機応変に実行する (適応的)
自律的に行動する (ヒューマン イン ザ ループ)
PC操作の自動化:パスワードは人間が入れる
調査の自動化 :公開情報に限るため身体制を伴う調査の価値が上がる
申請の自動化 :法や規律のバランスが課題に
データ分析の自動化:
構成要素
①ペルソナ:役割定義 →モジュール性
②考える :状況認識 →反省手法
③行動する:ツールによるセンシング →構造化されたJSON形式
④メモリー:過去の記憶からの抽出と活用 プロンプト大型化でノイズ
→ RAG データベース検索:ベクトル検索、ナレッジグラフ検索
マルチエージェントシステム
オーケストレーター(分析プランとタスク割当て)と特化型エージェント(遂行)
全部コード化タスク→一部AI→定義ステップ内でAI判断→ステップも自立AIで
AIエージェント向き:入出力が柔軟な定常/非定型業務 入出力が厳密な非定型業務
向いてない :厳密な解が求められる業務 短期で大量のデータ加工業務
こういったものが欲しい、好きという気持ちの価値が重要に(Free AI 清水氏)
デジタルで表現できる世界を生成AIが飛躍的に拡大させる
大企業のメリット(内部に専任プロ 多数の部下のパフォーマンス)が限定的に
サービスの信頼性は企業規模ではなく第三者評価で
データやナラティブな体験の提供サービス
AIエージェントが期待される領域(NTT 爪長氏)
ワールドモデル(AIに創造力を持たせる技術)+外部のセンサー 客観的
1次産業←過程のデータ蓄積 ヘルスケア領域←データがつながっていない
目的別の 例えば 魚や蜂の能力からのAIエージェント
Posted by ブクログ
この予測が将来実現すれば、AIは企画、実行、承認といった業務プロセスを担い、人間は経営層およびリアルな実行層に専念することが求められる。
これにより、企業はより効率的で迅速な経営判断が可能となり、新たなビジネスチャンスを捉えることができるだろう。究極的には社長1人だけの企業が生まれ、社長のアイデアのみでAIがソフトウェアを開発するような、エンジニアがまったくいないソフトウェア企業が出現する。このような未来において、ビジネスパーソンはAIとの共存を前提とした新たなスキルセットを求められることになる。AIが得意とするデータ処理や分析に依存するのではなく、創造性や人間関係の構築といった、人間ならではの強みを生かすことが重要である。
Posted by ブクログ
AI エージェントの導入部について少し理解できたように感じます。
AI 技術がmust skillとされている昨今のIT業界ですが、ビジネス上個人で利用するという技術がいよいよ組織で利用するというステージになっている事を痛感させられました。
Posted by ブクログ
勉強になりました!
■ 私のポイント
・AIの5段階。①チャットボット→②推論者(問題解決)→③エージェント(自発行動)→④発明者(簡易意思決定)→⑤組織運営(重要意思決定)
・今は推論者あたり。しかしあと10年もすると⑤組織運営フェーズまで行く
・マルチエージェント:オーケストラのようなA I群。その設計は組織運営に通じる
・AI向いている:ブレが許される対応。人の代わりに分析、会話など
・AI向いていない:ブレが許されない仕事。会計周りや表計算など
■ メモ
・選ばれるAIづくりが大事
・SAASにおけるエージェント利用とは
■ アクション
・仕事におけるAIに関するR&Dの取り組みの動き
・プライベートプロジェクトでのAIエージェント利用の模索
・組織運営の時代でも最重要意思決定ができるような人間性を磨く