【感想・ネタバレ】となりの陰謀論のレビュー

あらすじ

トランプは「闇の政府」と戦っている!?
オバマもバイデンもすでに処刑された!?

陰謀論はどこで生まれるのか。
そして、なぜ信じてしまうのか。

現代世界を蝕む病の正体を、気鋭のメディア研究者が明かす!


「陰謀論を生み出し増殖させるのは、人間の中にある「この世界をシンプルに把握したい」という欲望と、何か大事なものが「奪われる」という感覚です。これらの欲望や感覚は一部特定の人間だけが持つというよりは、社会状況に応じて誰の中にも芽生えてくるものだからです。
本書を通じて、陰謀論が誰にでも関わりのある身近な問題であり、それゆえ現代社会の抱える根源的な諸課題と深いところでつながっていることへと思いを馳せてもらえるのであれば、筆者としては望外の喜びです。
陰謀論は非常識な「彼ら/彼女ら」の問題ではなく、現代を生きる「われわれ」自身の問題であることに気づくことが、「陰謀論が支配する社会」という最悪のシナリオを回避するための肝心な一歩だと思います。」 ――「はじめに」より


【本書の構成】

はじめに
第一章 陰謀論とは何か
第二章 陰謀論が生む「パラレルワールド」
第三章 「陰謀論政治」はなぜ生まれるのか
第四章 陰謀論を過小評価してはならない
おわりに


【本書の内容】

・「パラレルワールド化」する世界
・陰謀論は「誰もが持っている」
・トランプとヒトラーの手法の共通点
・陰謀論を拡散する「意外な犯人」
・秘密結社「フリーメイソン」と陰謀論
・アメリカの「不正選挙陰謀論」はなぜ拡散したか?
・自尊心を支える「陰謀論的思考」
・トランプが惨敗した「屈辱の夜」
・アメリカの病を映し出す「あるベストセラー」
・日本に忍び寄る「陰謀論政治」のあやうさ
・「陰謀論による支配」を回避するために
・馬鹿げた陰謀論ほど恐ろしい効果を生む ……ほか

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

江川紹子氏の陰謀論がかつて人々を楽しませるものだったという指摘は、この陰謀論が現代に影響力をもってきてる本質なのだろうと思う。
それがSNSや動画を通じてもっともらしく伝わる事で、信憑性を帯びてくる。
いずれにしても受けて側のリテラシーが問われる。

0
2025年12月12日

Posted by ブクログ

政治界隈で根拠不明だけど支持されるポピュリズム的な事象を多く見かけて、不安に思ったため、手に取ってみました。
陰謀論は、複雑な事象を理解したい→単純化で理解しやすくなる→単純化されれば事実でなくても受け入られやすい、という構図があることを学んだ。
本書はアメリカのトランプ政権を題材に描かれているが、日本の政治状況にも絡めているため読みやすい。
陰謀論は、はじめは雑音として放置されがちだが、感情論とのかけ算で暴走していく、そんな成長過程があることも留意して、今後情報に接していきたい。

0
2025年11月21日

Posted by ブクログ

リアル本にて。
「となりの」とあるように、想像以上に身近なものとなっている、「陰謀論」について、その定義と「陰謀論」が世界に与える影響について考察している。
まず「陰謀」は実際に存在する(実例としては北朝鮮による拉致など)前提として、「陰謀論」は充分な根拠無く信奉されている(つまり信憑性の低い)「陰謀」としている。
その上で、SNS及びネットサービスのリコメンドによるエコーチェンバーによって、「陰謀論」の生成・発展がより簡単に、「陰謀論」を知ること・何度も触れ続ける確率がより高くなっている。
さらに、ドナルド・トランプのように、「陰謀論」を利用して政治活動を行う人物も現れ、これまでは一部の人々の趣味的な側面の強い仮想的なパラレルワールドだった「陰謀論」が、議事堂襲撃事件やリベラルと保守の強い分断のように現実世界に大きな影響を及ぼすようになっている。
ではどうすればいいのだろうか?実際、今の世界でエコーチェンバーを避け、ファクトチェックを都度行うことはとても難しい。自分に対して行うことも難しいのに、自分以外の大切な人が取り込まれそうになっている場合、なにかできることはあるのだろうか?
この本では対策についてはほとんど論じていないが、「陰謀論からの救出法」という書籍を紹介している。こちらも読んでみたい。

0
2025年11月02日

Posted by ブクログ

陰謀論が
『どこで生まれるのか?』
『なぜ信じてしまうのか?』

帯にある内容が、社会学的・政治的な知見を以ってわかりやすく書かれている本だった。

陰謀論が過去どのように表出し社会・政治へ影響を与えてきたのか。
現在起きている問題の整理、反省と未来への警鐘。

親しい人が陰謀論にハマった時の対処法は記載されていないが、その場合の参考になるであろう本も紹介されている。

0
2025年10月14日

Posted by ブクログ

これはとても面白かった。「陰謀」ではなく「陰謀論」の本というのが興味深かった。人は信じたいものを信じるし、見たいものを見るという心理に基づくもので、自分はできるだけニュートラルだと思っていても知らないうちに固定観念といった「陰謀論」に陥っているかもしれない。

ある国の強烈なインパクトを持った政治家がこの「陰謀論」を巧みに利用し、民衆の感情に訴えかけ、支持を伸ばしていくという流れができている。現実に起こっていることだからこそ、恐ろしい。きちんとした知識を持ち、警戒を持っていないとアッっという間に騙されてしまう。

古くはナチスの台頭にもつながったユダヤ人陰謀論が世界を揺るがす大きな戦争にもつながっていったという。その影響力は、ネットやSNSが普及した現代では、想像もできないほどのスピードと拡散力を持って広がり、甚大な効果をもたらす懸念がある。
しかも、陰謀論は正しいか、正しくないかはあまり関係がない。途方もない陰謀論ほど早く拡散し、正しい情報を伝えても間に合わないことも多い。一般人ならまだしも、政治家がこれに囚われてしまえば、不幸なことになるかもしれない。
ただし、現代では政治家がこの陰謀論自体をコントロールしようとする風潮があり、それに踊らされないようにするにはこちらもリテラシーを高くするしかない。

アルゴリズムによって自分の欲しい情報ばかりが表示されるネットの世界。自分の意見に近い考えの人たちとのSNSの付き合いによって、偏った意見の醸成がなされる。違う意見のものは「間違っている」と決めつけ、メディアは真実を報道しない「マスゴミ」と断罪する。そこに寛容さは存在せず、分断は深くなるばかり。なんだかそこかしこに争いの種が埋まってそうで怖くなる。

情報が溢れまくっている現代だからこそ、自らの偏った考えを自覚しつつ、異なる考えに触れること。いろんな世界を自分の目で見て感じること。そうやって視野を広くしていき、陰謀論には踊らされない自分を作っていくしかないな、と思った。情報はすぐ手に入るけど、視野が狭くなりがちな現代に警鐘を鳴らす良書。

0
2025年09月28日

Posted by ブクログ

わかりやすい!高校生でもスラスラ読めそうな新書。Qアノンが特殊集団とは言えないことも、AI情報が取得情報の基盤になった世界における人間の思考力の危うさも理解できたように思う。ためになった。

0
2025年09月23日

Posted by ブクログ

最近、陰謀論や過激な主張が身の回りにあふれ不安感が増している。外国人問題や中国による不動産取得の問題も真実と不安を煽る陰謀論が混じっているように思う。

本書は陰謀論なぜ生み出されるのか?という問いに対して二つの仮説を提示する。ひとつめは世界をシンプルに解釈したいという人間の欲求。ふたつめは大事なものが奪われる剥奪感。このふたつの仮説をもとにアメリカのトランプ現象をケースにしながら論を進める。

最も印象的だったのは、政治的な不満を抱えるのは必ずしも貧しい人ではなく、財産や地位、誇りなど失われるものをもつミドルクラスであるという点だ。彼らの剥奪感がニヒリズムを生み、陰謀論を生む。本書ではアメリカをケースにしているが、この点に着目すると一億総中流と謳われた日本こそ陰謀論によって政治が翻弄されるリスクが高いように思う。今のSNSの殺伐とした投稿をみても符号があう。

我々のような庶民が陰謀論とは何か知ることは大事だが、政治家にこそ読んでほしい。ホームタウン制度の炎上を単にデマとして流していいいのだろうか?クルド人問題や財務省解体デモ、中国人の不動産取得問題はどうだろうか?失われた30年のうちにたまった歪の一端が可視化されているのではないか?などと思う。

自分は就職氷河期最後の世代で未来や政治に期待を持ちようがなかった。ぜいたくは言わないからせめて国民の方を向いた政治をしてほしい。アメリカのような分断された国で人生の後半を過ごしたくない。

0
2025年09月15日

Posted by ブクログ

“陰謀論を生み出し増殖させるのは、人間の中にある「この世界をシンプルに把握したい」という欲望と、何か大事なものが「奪われる」という感覚です” “人間は子どもも大人も、「あたかも」自分の本物の欲望が満たされるかのような世界をつくり出して、その世界の住人となって疑似的な希望や欲望が満たされる経験を通してそれなりの幸福感を得るのです”

0
2025年09月13日

Posted by ブクログ

近年、陰謀論が世界のあちらこちらで蔓延しているが、著名な陰謀論を取り上げて平易に解説している本。
比較的古い話でいうと、ナチスも取り上げられており、ヒトラーの演説能力を過大評価すべきではなく、「ホロコーストは、全体主義的な恐怖政治と陰謀論が一体化する中で生まれたもの」ではないかという考察が示されている。
また、「グレート・リプレイスメント」という陰謀論(何者かの計画によって移民が欧米社会に大量に送り込まれているという内容)が、欧米で異教徒・移民に対する銃乱射事件を惹き起こしていることも語られている。
これは日本でも他人事ではないだろう。

本書と直接関係はないが、昔、「陰謀のセオリー」という映画があった。
タイトルの意味が今ひとつ掴みづらいと思っていたのだが、あれは陰謀論のことだったのだなと今さら気が付く。

0
2025年09月06日

Posted by ブクログ

陰謀論入門書。読みやすい!

この本の前に「トランプ信者潜入一年」を読んでいたので、かなり入って行きやすかった。

十数年前、知人と飛行機雲の成り立ちについて話していた。「トモダチに『標準空間というのがあって、それに合わせて雲の量を調整するために飛行機雲は発生している』って言う人がいた」という話を聞いて、当時はそんな変わったこと言う人がいるのか〜程度にしか思っていなかったけど、あれは古の陰謀論のひとつだったとかも、とこの本を読んで答え合わせできた感覚。

「日本の幸福な衰退」がパワーワードすぎる。格差の苦しみをバーチャルなものに求めているのか…?もし本当にそうならなんか気持ち悪い。
私も、ストレス感じた時に小説を読んで没入することはあるから似たようなものなのかもしれない。
でも、常日頃、みんながみんな格差の苦しみを感じているのか?あまりよく分からないものかも。

「陰謀論の主張が間違っている点は厳しく批判しつつも、陰謀論的なデモを生み出している参加者たちの奪感を放置しておくべきではない」
結局、分断を止めるには粘り強く対話することが必要。

0
2025年09月01日

Posted by ブクログ

陰謀論なんて、トンデモ理論は常識のない人が信じるものだと思っていたが、自分の身近にもあること、自分自身も知らず知らずのうちに信じているかもしれないということを初めて自覚した。陰謀論がただ悪いと否定するのではなく、そのような考えが生まれる背景まで目を向けることが、広く社会を捉えるために必要だと感じた。

0
2025年08月19日

Posted by ブクログ

「ファクトファースト・ピラミッド」の考え方は良いと思った。日本でも既に取り入れられているのだろうが、もっと大きな活動にしていけたらと思う。

0
2025年12月10日

Posted by ブクログ

陰謀論ってほんとに一部の人達が信じている、何処か遠いものだと思っていたし、しかしそういう無関心が無意識的に間違った方向に向かってしまうことが自分にも有り得るという危機感もあり、この本を手に取った。
内容としては、アメリカにおける政治においての陰謀論が主で、他には世界大戦におけるユダヤ陰謀論なども取り扱われていた。陰謀論の入門書としてとても最適だと思う。筆者が繰り返し、「陰謀論が一部の人から生まれるのではなくSNSが普及し誰でもどのような考えにも触れることが出来るこの社会で、誰しもがその発信者になり得る」と強調していたのがすごく印象的で、根本的な陰謀論に対する考え方として絶対に忘れては行けないなと思った。これからの陰謀論研究への期待も述べていたが、日本におけるより身近な例や調査研究がより進んだり、メディアに関わる人の陰謀論への関心が高まればいいなと思う。そしてなによりSNSに日常で触れる私たちがこの陰謀論に対する危機感を忘れてはならないなと思う。

0
2025年11月18日

Posted by ブクログ

アメリカの議会襲撃から考える陰謀論。自分の周りにある情報が限定的であれば、その情報の中でしか判断できない。当たり前ではあるが、自分の都合の良い風にしか考えられないのも良く分かる。しかし、現実が辛いのであれば、時には陰謀に身を委ねるのも仕方がないかもしれない。

0
2025年11月09日

Posted by ブクログ

タイトルから、陰謀論のことをおもしろおかしく書いているものかと思いきや、ここ近年、トランプさんが陰謀論を政治に利用していることなどから、真面目な内容の良い本だった。
なぜ人は陰謀論を信じるのか、分かりやすい世界の解釈を求めている。宗教にしても陰謀論にしても、なにか分かりやすいものを信じたい。
もう少し深掘りした内容であれば、より面白かった。

0
2025年11月05日

Posted by ブクログ

陰謀論と陰謀は違うと分かったけど、見分けるのは難しい。昔、都市伝説的に思っていた北朝鮮の拉致問題。実際に被害者の方々が帰国されたのを驚きをもって見ているので、陰謀論が100%嘘とはとは思えないんだよな。とはいえ、後半部分の陰謀論を見逃してはいけないとの主張には、なるほどと思った。とりあえず、Xを見る時間を減らさないとな

0
2025年10月16日

Posted by ブクログ

どこかでこのタイトルを見て
「あっ、読んでみなきゃ」と思い手に取ってみました。

最近はSNSのおかげか、
これは陰謀論では?と思うようなことも多々あり、
そういった環境の中、どう考えて接していけばいいのかヒントがあればと考えていた自分がいました。

陰謀論ってなんでこんなに人々に受け入れられるんだろう?
と疑問だったのですが
なにかを奪われるということや
簡単に物事を考えたい心理から
陰謀論にハマりやすいということを分かっただけでも読んで良かったと思えました。

これからどうしても色んな情報と一緒に生きていかなければならない中で、自分のすぐとなりに陰謀論がたくさん語られていることは心にとめておく方がいいなと思いました。もうすでに自分が信じている話の中には陰謀論もあるかもしれませんが・笑

0
2025年10月14日

Posted by ブクログ

私が思う陰謀論と筆者が思う陰謀論。
それぞれ線引が異なり、陰謀論がいかに身近な話かを理解できる新書です。
また、政治と陰謀論の深い関係についても触れられており、現在の厳しい世界情勢だからこそ読む必要があると思いました。

0
2025年09月29日

Posted by ブクログ

『隣のボノボ』の続いて『となりの陰謀論』を読みました
どうやら我々のとなりには色々いる(ある)らしい

それにしてもだよ
もうほんとあれね「陰謀論」が楽しいジョークだった時代は終わりを告げたってことみたいよ
ファクトチェックって何よもう
そんなんしてたら『ムー』なんて2秒で発禁やないか!

だいたい「不正選挙」とかないっての!
あんなんで議会とか襲っちゃうとか、マジ無理
陰謀なんてないってほんと
なんでこんな世の中になっちゃったかな〜

全部トランプが悪い
全部トランプの陰謀
わいのお小遣いが少ないのもトランプの陰謀(お前が一番毒されてるやないか)

0
2025年09月27日

Posted by ブクログ

陰謀論とか甘くみて面白おかしく捉えがち。有名なトンデモ陰謀論もあるけど実は今SNSとかにふわっと出てくる出所不明の話題の正体も…
そうだそうだとか言ってるうちにきっと自分の不満とかがMIXされて何かの間違いが心に根付いて人間をとんでもない方向に向かわせていくんだろうな〜とか思わされるしそんなあれこれを丁寧に紐解いてくれるような1冊。面白いわ〜

0
2025年09月23日

Posted by ブクログ

タイトルが秀逸だなというのが第一印象。内容としてはズバズバ切り込む快作というよりかは、着実に議論を重ねていく形で、新書の紙幅でまとまっていると思うが、筆者のより専門的な著作も触れてみたいと思える。

0
2025年09月21日

Posted by ブクログ

たかが陰謀論と侮るなかれ!
既に私たちは、陰謀論に突き動かされた世界を生きている。
政治と陰謀論の章は、恐ろしい内容であり、他人事ではない。

0
2025年12月20日

Posted by ブクログ

近代を「呪術からの解放」の時代と捉えることは誤りだという歴史観がなるほどなと。
形が変わっただけで根本は中世の魔女狩りとかの類と変わらないのかも。

結局のところ格差や分断が消えない以上、誰かは剥奪感みたいなものを抱き、陰謀論は生まれ、誰かが不幸になるという構図は変わらないだろう。

あと陰謀論では無くても、余裕がない時とか劣等感を感じる時とか、誰かを敵視してしまうような感情は陰謀論に通ずる気がした。

0
2025年12月13日

Posted by ブクログ

大統領選挙に敗れたトランプが語った不正選挙、コロナワクチンによる権力者の市民コントロールなど、「陰謀」は大流行で、みんな大好き。しかし、最近の陰謀はもはや笑い飛ばせないレベルのものが多い。陰謀という根拠のないこじつけに社会が振り回される時代になってしまった。

もはや陰謀論は非合理なトンデモ問題として排斥せず、現代社会を生きるための問題として定義すべきだ。世界を単純化して、自分に都合のいい結論を導きたいというのは誰もが望む。そんな大衆の心理に、陰謀はピッタリとハマってしまうのだ。

さらに恐ろしい問題は、その陰謀を作った側ですら、本当に信じてしまうというところ。

0
2025年12月04日

Posted by ブクログ

現代政治や公共性を考える上でとても参考になる。
とはいえ、じゃあどうすればいいのか、が弱い。この怖いパラレルワールドを、どうしたらよりましにできるのか。簡単に答えの出ない難問なのかもしれない。

0
2025年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

陰謀論とは:世の中で起きている問題の起因について、不確かな根拠をもとに誰かの陰謀のせいであると決めつける考え方を指すもの
主張:人間は誰しも陰謀論者になり得る素質を持っている。

理由①世界をシンプルに解釈したいという欲望を人間が持っているから
→人間の精神は現実の不確実性や複雑性を耐えるには脆弱で、意味という緩衝材を必要として物語を求める
理由②なにか大事なものを「奪われる」感覚が陰謀論を誘発する
→暗殺やテロ、災害や事故、戦争など多くの人命が奪われる出来事が起こると、陰謀論は生まれる。かけがえのない命が不条理に奪われる経験が多くの人に精神的ダメージを与える

・境界確定
陰謀論にも種類があり、また一つの事柄(9.11など)でも信じられる陰謀論はたくさんある。
常識的な考え方と非常識的な考え方を分ける境界線はどこなのか。

・陰謀論の道具性
陰謀論がビジネスや政治に利用されるようになっている。
ユダヤ陰謀論、トランプの選挙陰謀論

・陰謀と陰謀論の違いには注意。(北朝鮮による拉致被害など)
→違いは、認識的権威によるしかない。歴史であれば歴史学者、科学であれば科学者など。ただ今はマスコミや議員などの信頼度が落ちている。

・陰謀論が実世界に影響を出している。グレートリプレイスメント陰謀論(=移民が欧米社会に送り込まれることで白人の優先的地位が奪い取られることを訴える)により、白人至上主義者がユダヤ人など多くの銃乱射事件などが発生。

0
2025年11月05日

Posted by ブクログ

 オーディブルで紀伊tのですが、少し胡散臭い話かと思ったら陰謀論が現代社会にとっていかに大きな影響を及ぼしているのかということをとても真面目に研究している書でした。ともすれば、陰謀論を信じてしまいそうになりますが、気をつけなければ。特に現代はトランプ大統領のように陰謀論をとてもうまく利用する人が出現しているので要注意

0
2025年10月23日

Posted by ブクログ

陰謀論が社会の中で猛威を振るうメカニズムがよく分かる。特に人間が剥奪感を感じるとき、今不幸であるとき、あいつのせいだ!と叫び、戦うものに熱狂するというのは、そうなのだろう。ナチス台頭の仕組み、トランプがなぜ支持されるのかなど、面白い事例はわかりやすい。
それは事実なのか?だれかが思いつきで行っているのではないか?自分が求めている意見にとびついているだけなのではないか?いつも疑問をもつようにしよう。

0
2025年09月20日

Posted by ブクログ

陰謀論の荒唐無稽さは非難する必要があるが、陰謀論を生み出す背景には目を向けないといけない。

本書は主にアメリカにおける陰謀論と、それを政治に利用するものに焦点を当てた内容となっている。本書内では、日本はそこまでと言ってるが、最近の情勢見てると、ちょっと危惧してしまう。 そういう意味で、本書に出てくる冒頭のニュアンスは、抑えていく必要あると感じた。

なお主な話ではないと理解しつつ、文中で何度か“戦隊ヒーロー”という言い回しを使っているのが気になった。あまりにテンプレ的な使い方をしてる一方で、陰謀論に絡めて使うのは適切かと気になってしまった。

0
2025年09月05日

Posted by ブクログ

著者はアメリカの一・六襲撃事件から陰謀論を研究し始めた

仮説1. 世界をシンプルに解釈したいという欲望を人間が持っているから

仮説2. 何か大事なものを「奪われる」感覚が陰謀論を誘発する

陰謀論は「烙印を押された知識」

陰謀論にのめり込むことは、マルチ・ビジネスや、信仰宗教などと同様
『陰謀論からの救出法』という文献は参考になる

フリーメイソンの実態はただの友愛団体
今でいうロータリー・クラブ、大学のボランティアサークルなどと変わらない

フリーメイソン陰謀論は、今日のディープステート陰謀論の源流

自分の存在を丸ごと否定するような他者が存在し、その他者の脅威が人を陰謀論へと駆り立てる

アメリカの保守派のフォックスニュースへの信頼度が怖い

「あたかも」の世界

純度の高いポピュリズム

陰謀論の内容が馬鹿げていることは、かえって恐ろしい効果を生み出す

陰謀論は失笑したり無視しない方が良い時代に入った
気持ちを汲み上げながら粘り強い議論につなげていく必要がある

0
2025年08月22日

「社会・政治」ランキング