あらすじ
所得税がどのような計算で決められているか知っていますか?「103万円の壁」問題で報道などの注目を集めた「所得税」。会社員の場合は源泉徴収されるため、「払っているけれど、どんな仕組みか、いくらぐらい払っているかはよくわからない」人も多い税の一つです。じつは憲法における「生存権」とも深くかかわっている、「所得税」の仕組みから問題までがわかるようになる一冊。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトル通りの読後感を得られる一冊です。
「103万円の壁」など所得税制に関して関心はあるものの、どこから学べばいいのか分からず本書を手に取りましたが大当たりでした。所得税について解説するだけでなく、憲法から演繹してあるべき所得税制を説得力を持って何度も強調して説明されているので、自然と現在の所得税制への問題意識も高まりました。
また、「103万円の壁」問題に国民民主党が精力的に取り組んだ様子も克明に記述されています。
本書を読めば、あまり所得税制に興味がない人でも自分事として所得税制を捉えることができると思います。また、「政治家や政党も、「税制」の考え方を明確にし、これを国民に具体的に示していくことが重要になるでしょう。」という一文にも強く共感しました。
Posted by ブクログ
何にも知らなかった…103万関係ないと思ってたけど関係あるし。失われた30年で損してた世代、世帯だったし。もっとお金自体に、税金に興味を持って、選挙行かなきゃだな。
Posted by ブクログ
一般向けに税制を説明するという趣旨で、しつこすぎるくらいにわかりやすい表現が徹底されている。
直近で議論になっていた103万円の壁のほか所得税の問題点が理解でき、今後の税制改正に興味がもてた。
Posted by ブクログ
ゼロからわかる日本の所得税制
著者:木山泰嗣
発行:2025年6月30日初版1刷発行
所得税の角度から、個人に関わる税制全体の課題を議論している。直近で発行されているので、具体例が新しくて身近。読み終わると、自分が払っている税金の全体感を、できれば項目別に論点をそれぞれ見える化してほしくなる。そんなサービス、ネットで作ってもらえないかな。
所得税の仕組みについて冒頭で説明があるが、何度か論理が頭に入ってこない感覚があった。そこを越えると具体論に入る。後半に仕組みの振り返りがあり、そこはすんなり入ってきた。
収入-経費=理論所得
理論所得-所得控除=課税所得
課税所得×税率表=所得税額
所得税額-税額控除=最終的に支払う税額
日本の一般的なサラリーマンは源泉徴収で各種税金を給料から天引かれるから、税制についての知識がなくても生きていける。ただ、それでも税制への適切な関心は必要で、よりまっとうなものであるように選挙で権利行使が必要。103万円の壁から始まる直近の政局は、この文脈で捉えると妥当なものだと理解できる。
Posted by ブクログ
年末に多くの方が経験したことがあるであろう年末調整。企業が代わりに納税してくれるとはいえ、毎年慣れることもなく、複雑な数式と格闘し、修正を加えながら控除を申請する。そもそも控除対象がどれだけあるかもはっきりと分かっていないまま提出することが当たり前に続いていた。
本書は、ゼロから所得税の仕組みについて解説してくれる。一度通読すると、所得まつわる様々な周辺事項について腑に落ちる体験をすることができるだろう。例外のケースに疑問を感じたり、税に対する自分の意見をある程度の具体性を持って述べることができるようになると思われる。
著者の書籍を何冊か読んでいる自身の感想として本書の特筆すべき点としては、一般向けとはいえ、深く専門的な領域まで手を伸ばす冒険作であるということと、著者の思想がやや濃く出ているように思われる部分が垣間見える点だろうか。やや論文テイストなスタイルのように感じられたが、内容の分かりやすさは折り紙つきである。
何度も読み返したい一冊の仲間入りを果たすことに疑いはない。