【感想・ネタバレ】ユーモアの鎖国のレビュー

あらすじ

戦争中には、戦死にまつわる多くの「美談」がつくられた。ある日、焼跡で死んだ男の話を耳にした。その死に「いのちがけのこっけいさ」を感じた時、数々の「美談」に影がさすのを覚えた。そして自分の内の「ユーモアの鎖国」が解け始めたのだ。戦中から今日までに出会った大小の出来事の意味を読みとり、時代と人間のかかわりを骨太にとらえた、エピソードでつづる自分史。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

津村記久子が自著の中で勧めていた本。
詩人のエッセイやってんな、もっと評論的な本かと思った。

戦前中後を銀行で働く職業女性として独身のまま勤め上げた詩人でもある著者のみた日本。軍国主義、敗戦、左翼の台頭、高度成長…と昭和史にずっぽりはまった生涯を通して、石垣りんという一個人の目線と心で感じ取った描写が興味深かった。

結婚せず母となれなかったが、定年まで銀行勤めをまっとうした女性の立場というと、キャリアウーマンの先駆け、ジェンダーフリーの元祖…みたいな切り口もあっただろうし、そういう書き方の方が興味もひかれて銭にもなったろうに、そういう部分は過度に露出させず、普通に構えず、詩人としての目線を第一に立てているところがよい。

ただ、その詩人の視線ってのが、詩心のない俺には少々難しかったなぁ。感嘆のため息が多いのよ。「あぁ」「おぉ」って…こんなん連発するのはアン・シャーリーだけかと思ってた。

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2020年08月13日

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