あらすじ
何度もその前にマリアが出現し、埋葬後56年経てなお生前の姿を保っていたカトリーヌ・ラブレー。硬直した体を暗闇のベッドに横たえ眠らずに神の声を聞き、毎週金曜日にはその聖痕から血を流す。神父が運んでくる小さな聖体パンのみが食事という超常的な50年を送ったマルト・ロバン。第2次大戦中にパリの修道院でレジスタンスを支援しながら同時に戦場にある若い兵士を訪問したイヴォンヌ=エメ。たった100年ほど前に起きた奇跡の主人公たちを紹介し、その魅力を探る魂の書。
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Posted by ブクログ
不思議のメダイと呼ばれるメダイのこと、又は、奇跡のことを『パリのマリア』という表題で取り扱っているのが本書です。
1830年、見習修道女カトリーヌ・ラブレーの前に聖母マリアが三度姿を現したという。
聖母出現の奇跡は、上記のファティマのほかにルルドなど複数ありますが、
カトリーヌの教会では、この奇跡を2年後には、メダイにして売り出し、今もキリスト教の行事に使ったり、一般向けにも販売しているらしい。
不思議のメダイを身につけると聖母の保護が得られるという。
本書では、聖母出現を目撃したカトリーヌ・ラブレーのことや、グッズとして不思議のメダイが成功をおさめた考察を行っている。
共有する共同幻想とは、すなわち、宗教哲学にも通じるものであると私は思う。
その他、絶飮食で聖痕から血を流し続けたマルト・ロバンと修道院を起点にしてレジスタンス闘士を助けたイヴォンヌ=エメをとりあげている。
竹下さんの文章はいささか論文風であるが、神秘的現象に好奇心を鼓舞させるには十分な内容である。