あらすじ
DVから逃れた女性が迷い込んだのは、高齢者だけが身を寄せ合って生きる山奥の村だった──現役医師作家のメディカル・サスペンス!
夫のDVに耐えかねて札幌の自宅を飛び出した明日香は、道北の見知らぬ村にたどり着いた。7歳になる娘のリサといっしょに。村で匿ってくれたのは修造という高齢男性と、床に臥すハツの夫妻だった。修造は認知症なのか、明日香のことを孫娘と勘違いして「なっちゃん」と呼ぶ。近隣の住民からも温かく迎えられた明日香親子であったが、この村は何かがおかしい。住民は皆高齢で、しかもほぼ全員が認知症を患っているように思われるし、そもそも自立した生活が成り立っていないようなのだ。村まるごとが高齢者用施設ということなのか。老老介護、ヤングケアラー、介護破綻……日本における「認知症のいま」を問う問題作。そして衝撃のラスト!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
認知症の色々な問題が書かれそこに社会問題も入れられている物語。更にゾッとさせられたりドキドキしたり映画になりそうなお話しだった。
伏線もありすごい発想力!
本を書く人って本当にすごい!!
Posted by ブクログ
実際にアルツハイマーの親を持つ私は、この本が現実の事のように思えた。親族の同意さえ取り付ければ問題はないのかも知れないとも思った。これから先、認知症の老人が増えると言われるこの社会で、その治療法が本当に早く見つかることを願うばかりである。
Posted by ブクログ
途中、何度もスパイアクション映画を見ている気分にもさせられました。
たくさん盛り込まれた社会問題や認知症そのもの、医学研究に対する倫理。
もっとのんびりした作品を想像してたら、満腹なのに一気読み作品でした。
Posted by ブクログ
架空のほぼ全員が認知症の村を舞台にしているが、リアリティーのある細かい設定が盛りだくさんで本当にアルツ村は存在するのではないかと思ってしまった。
参考文献を見ると、外国にはありそうな気がするが…。
主人公の明日香は夫からのDVを受けていたため、気が動転しているのもあり意識がおかしなところがあるのかとも思われた。
しかし、初めから娘のリサの言動に気づく村人が全くおらず、明日香の妄想あるいは幻覚の類だろうと気付いた。
認知症の種類を説明する場面で、これはレビー小体型認知症だとほぼ断定して読むことができた。
表紙のデザインの車いすを見て、悲しい気持ちになってしまう。
主人公の視点から語られる物語なので、側からみたらきっとおかしい点が多々あるのだろう。
認知症患者やその家族、患者を収容する村運営側のどれも悪ではなくて、私にも認知症を患いホームにいる祖母がいるためなんとも言い切れない悲しみがある。
皆が幸せになる方法は未来に賭けるしかないのか。
そのためにはアルツ村は未来に託すために必要なものなのかもしれない。
Posted by ブクログ
いゃ〜、ものすごく考えさせられた小説だった。
現実味を帯びて来た話だと思う。途中の違和感をラストで納得の展開にも、唸ってしまった。是非お勧めしたい本だ。
Posted by ブクログ
本当にどこかにありそう…
途中でなんとなく、いろんなことに気がついたけど、
そんなことよりも、大きい話が展開されていった。
でも私はこういうところがあってもいいと思った。
ちゃんと家族や本人の了承を得られれば、
今後の医療のため、脳を提供するのもアリかも。
とか言って実際自分がその立場になったらわからないけど。
Posted by ブクログ
そう言うことか…
読み終わって思わず声に出してしまった
帯に「衝撃のラスト」と書いてあったけれど
確かに「衝撃」だった
認知症の問題は誰にでも起こりうること
だからこそ、余計に衝撃とショックな内容だった
Posted by ブクログ
「もし認知症になったらどうする?」
自分の祖父母だったり、親、はたまた自分や配偶者。
明確な答えを持っている人は少ないのではないでしょうか。
作者の絶妙な切り口が素晴らしかった。
途中だれた感じはありましたが一冊通してまとまっていて良かったです。
Posted by ブクログ
アルツ村は楽園かと思いきや、だんだん出てくる得体の知れない違和感。薄気味の悪さ。世にも奇妙な物語感。
最後に明日香のことがわかった時、物語はひっくり返る──
もし親が認知症になって自分が介護する立場になったら。もし自分が認知症患者になったら。色々考えさせられた。
Posted by ブクログ
副題は『閉ざされた楽園』だ。
舞台は北海道、DVの夫から逃れるため、主人公の明日香は7才の娘・リサを連れて当てもなく車で走り出す。途中で煽り運転の車に襲われ、車を降り迷い込んだ森の中で気を失う。気がつくとある場所に寝かせらていた…その場所は認知症患者だけが集められた理想郷『アルツ村』だった。
『アルツ村』は北海道のとある場所(住所は世間的には不詳)にあり、アルツハイマー、認知症患者の介護に限界を迎えた家族が安い費用で送り込む…患者はここで死ぬまで暮らし、村からは出られない。亡くなったら、脳などを検体にされ、医療機関の発展に資するものとされる…もちろん設定はフィクションだが、実際に存在するかもしれないようなリアリティがちょっと恐ろしくもある。
最後の章で大どんでん返しがあり、『え?どういうこと?』となる。
なかなかの問題作だった。
Posted by ブクログ
夫のDVで明日香は娘を連れ自宅から家出。車で迷いたどり着いた村は認知症の人だけが集まり住む桃源郷のような場所。アルツハイマーの親を抱え悩む人々の救済になり、しかも年金程度の金額で預けることができる。外国資本の企業絡みサスペンスだが、介護のリアルが描かれている。患者本人、その家族、受け入れ可能施設、金銭面、と考えなければいけないことが山積み。この施設が仮にあったとして、違法でもなく預けることができるなら私なら選択肢の一つとして考える。賛否両論あると思うが一つの方法だと思う。
最後に明日香がこの村に滞在できる理由がわかり…
Posted by ブクログ
分かっているようなことを記述する場面が多く、それなりにぼーっと読んでいたら最後の最後でなんだかすごいことを言われ、イチから振り返るはめに......。たまらない体験だった。
お医者さんだから症状の記述が詳細、とかいうこともあるが小説として一文一文の表現に説得力があった(と二周目でわかった)。これが全くのフィクションだとも思えなくなってくる。