あらすじ
誰もが何かの「ファン」であるこの時代に、よりよい生と社会はいかにして実現できるのか? 資本主義社会が作り出す欲望や快楽とうまく付き合う視座を見つけるための、「ファン研究」入門。
武道でも料理でも、「ファン」を軸に切り込める!
——北村紗衣推薦!
私たちが抱く欲望や快楽の「悪さ」とは何か?
私たちの生活を取り囲む資本主義とどう向き合えばよいのか?
アイドル、トランプ現象、萌え絵、武道、自炊……
より良い生と市民社会を実現するためのヒントは「真面目」な政治的領域だけでなく、「不真面目」な「ファン」に目を向けることで見えてくる!
【目次】
はじめに なぜファンの欲望と快楽を考えるのか?
「私」を守るためにファンになる/ファンダムの欲望と快楽の「悪さ」…
〈第Ⅰ部 欲望と快楽を育てよう〉
第一章 あなたの欲望を大切にしよう
アイドル文化を見下してはいけない/男に媚びたマドンナ?…
第二章 感じたことを誰かに話してみよう
ヤフコメとツイッターを見るジョーカー/社会運動の出発点としての怒り…
第三章 欲望に形を与えよう
資本主義の中で自分の欲望を練り上げるDIY文化/レイス・ベンディングとコスプレ…
第四章 人に教えたり教えてもらったりしよう
セーフキャストの非現場主義/遊びと社会運動…
第五章 「キモい」自分を生きよう
主体化とレイシズム/「キモい」欲望とどう折り合いをつけるか?…
〈第Ⅱ部 現実を二次創作しよう〉
第六章 システムにゲリラ戦をしかけよう
「この商品を買うとあなたは幸せになりますよ」と資本主義は囁く/性的欲望を共有するコミュニティー…
第七章 支配欲を変形させよう
異世界転生とコンテンツ・ツーリズムと観光の悪さ/公共の場で萌え絵を見せたいとしたらそれはなぜなのか?…
第八章 英雄のいない世界を作ろう
安倍首相によるポピュラー文化の利用/インターネット時代における感情の政治とポピュラー文化の動員…
第九章 自炊して盗み、盗まれよう
自炊は文化の盗用か?/盗まれる実践としての自炊…
第一〇章 楽しい殺し合いができる相手を育てよう
在野の研究者としての武道家/記号的コミュニケーションとしての殺し合い…
おわりに 楽しい推し活をしよう
「現実」というフィクションを通して生きる/悪さを引き受けることと成熟…
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「推し活」の文化や生じる感情、起こっていることに興味があり、読んでよかった本。
資本主義を生きる中で、自分の欲求とその暴力性を自覚し、知性化し、「好き」や「推し」がもたらす「豊かな人生」の背景に目を向ける。
そのことで、より人生は豊かになるかもしれない。ひとまず、定期的にこの本を読みたい。
入門書だけあり、とてもわかりやすい。
Posted by ブクログ
すごく深い本なのに、終わりの方になるまで、全然的を絞れず読み続けていた。
タイトルの「ファン」、さらに はじめに で出てくる「推し」という言葉、
さらにAKB48の「ヘビーローテーション」、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」
ときて、完全に混乱。
はやり言葉の「推し」の研究本なのかと、、、
そのせいでぼやーっと読んでいたのだが、ふと気づく。
欲望、快楽がテーマなのでは?と。
あ、サブタイトルに書いてある。
資本主義のもと「これを買えば幸せになれますよ」と、欲望、快楽を押し付ける。
どうやってこの魔の手を逃れ、自身の欲望に素直になれるか、生きていけるか、
それを問うている本だった。
そのために、現実もフィクションである、と著者は言う。
男女、人種、国籍、、、一見わかりやすいようで、
実はそんな単純ではない。スペクトラムに分かれている。
・・・これを単純化する連中が、今や政治を動かす。トランプがその最たる例だ。
結果少なからぬ人が傷つけられることになる。
主張する人は自分は安全な場所にいると思っているが、いつどうなるともわからんのに。
これは哲学本なのか?
幅が広すぎて、、、
消化しきれなかったが、すごい本、いい本だとはわかった。
はじめに なぜファンの欲望と快楽を考えるのか?
「私」を守るためにファンになる/ファンダムの欲望と快楽の「悪さ」…
〈第Ⅰ部 欲望と快楽を育てよう〉
第一章 あなたの欲望を大切にしよう
アイドル文化を見下してはいけない/男に媚びたマドンナ?…
第二章 感じたことを誰かに話してみよう
ヤフコメとツイッターを見るジョーカー/社会運動の出発点としての怒り…
第三章 欲望に形を与えよう
資本主義の中で自分の欲望を練り上げるDIY文化/レイス・ベンディングとコスプレ…
第四章 人に教えたり教えてもらったりしよう
セーフキャストの非現場主義/遊びと社会運動…
第五章 「キモい」自分を生きよう
主体化とレイシズム/「キモい」欲望とどう折り合いをつけるか?…
〈第Ⅱ部 現実を二次創作しよう〉
第六章 システムにゲリラ戦をしかけよう
「この商品を買うとあなたは幸せになりますよ」と資本主義は囁く/性的欲望を共有するコミュニティー…
第七章 支配欲を変形させよう
異世界転生とコンテンツ・ツーリズムと観光の悪さ/公共の場で萌え絵を見せたいとしたらそれはなぜなのか?…
第八章 英雄のいない世界を作ろう
安倍首相によるポピュラー文化の利用/インターネット時代における感情の政治とポピュラー文化の動員…
第九章 自炊して盗み、盗まれよう
自炊は文化の盗用か?/盗まれる実践としての自炊…
第一〇章 楽しい殺し合いができる相手を育てよう
在野の研究者としての武道家/記号的コミュニケーションとしての殺し合い…
おわりに 楽しい推し活をしよう
「現実」というフィクションを通して生きる/悪さを引き受けることと成熟…
Posted by ブクログ
悪さを自覚しながらの推し活を。
ファン研究の入門書。その行動に資本主義的な欲望の問題、そして政治活動に利用されること、そもそもすべての源にある欲望と、なぜファンになるのか、なぜ推し活をするのか、など広く話題を提供している。アイドルとファンの関係、当事者と非当事者の活動、観光地化と聖地巡礼、二次創作の権利、自炊と文化の盗用など、興味深い視点がたくさんあった。文献紹介にも気になるものがたくさん。
自分の欲望を否定することはできない。欲望を表現するのは構わない。しかしそこにある非対称性から生まれる暴力を認識すること。社会的には認められない欲望の源に、自分が本当に求めているものを見出すこと。二次創作もするし読むし、アイドルや宝塚を追いかけるし、それでいてジェンダーに関しては苛立つこともあるし、の自分が腑に落ちた。まず記号的なものから入り、そこから深く入り込んで学ぶこと。フィクションから現実の問題に気付いて、自分のできることに繋げること。良いことをしようとしても、誰かを踏みにじる悪さを自覚すること。
世の中は移り変わるから、今隠れている問題が後世で取り上げられて、自分の悪事が指摘される時が来るだろう。その日を楽しみに待てるように、今日も自分の好きなことを探していこう。