あらすじ
傲慢なエリートは私たち普通の人々の苦しみを分かっていない――中央政府の財政規律やマイノリティのアイデンティティなどをめぐって,既存の左右対立には収まりきらない様々な分断が世界中で生じている.この対立構図はどう生まれてきたのか.議院内閣制のモデルだったイギリスの混乱は,私たちにとって他人事ではない.
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2010年台からの英国政治を保守党の崩壊?を中心に書いている。理性に基づく政治が崩れ、2大政党が乱れ、小規模政党が乱立する姿は日本と共通するところがあり参考になる。
Posted by ブクログ
20250929-1015 本書は、近年のイギリス政治に表面化しつつある新たな対立図式に注目し、その表出に至る2010年代末(一つの帰結としてはEU離脱)までの過程を、ブレア労働党政権(1997〜2007)の成立前後の状況から分析している。本書冒頭にはイギリスの地図と主要都市が表になっている。正直に言うとイギリスについては、どうしてもロンドンを中心に考えてしまうし、あとはスコットランドとアイルランド・・というようなざっくりしたイメージしかなかった。本書ではイギリスの地域性についても、マンチェスター、リバプールなどの北東部地域の鉱工業地帯と、南東側の農牧業地域、というように丁寧に説明している。漠然としたイメージがはっきりしてきた。おそらく著者はEU離脱に批判的なのかと思われるが、そこは淡々とした筆致で、分析に徹している。今後のイギリス政治の行方が大いに気になる。もう二大政党制は時代に合わなくなってきているのかもしれない。。2025年現在、保守党は今や野党第一党ですらないし。
Posted by ブクログ
民主主義の政治とは本来多種多様な意見を調整し、熟議の末全会一致を目指すものであったはずだ。利益のために一方に偏った主張をし多数決で勝つことをよしとしている限り政治の意味は無い
Posted by ブクログ
シンプルな構成で淡々と読める。ただ、ファラージやリフォームUKへの言及の低さには強い違和感。この本が出版された2025年5月の頭にあったイギリス地方選挙では、議席の4割をリフォームUKが取るという大勝利に終わっている。そこまでの躍進を予見するのは酷とはいえ、イギリス現代政治の新書がほとんど全くファラージに触れないというのは流石に問題があるのでは。
Posted by ブクログ
2025.07.15
岩波新書に求めるのが間違いなのは承知で書くと、記述が平板でオモシロイとは感じない。
なんか大学のレポート用に読まされたような感じで深く自分に残る感じがしないのが残念
Posted by ブクログ
21世紀におけるイギリスの政治的分断が、コンパクトに論じられている。初めて知ることばかりだったが、コービン率いる労働党が2019年の総選挙で大敗した要因についての分析は、なかでも興味深かった。
労働党のなかでも左派として知られたコービンであったが、本書によると、その支持基盤は大都市の政治的に活発な市民層に限定され、大都市の中高所得層はおろか、鉱工業地帯の「取り残された人びと」には浸透しなかった。一方で、これらの人びとの支持を得たのが、EU離脱派だったのである。
Posted by ブクログ
イギリスの最近の政党政治の変遷から、地域や社会階層、エスニシティによる分断を論じだ本。
ブレクジットのごたごたの変遷や、アラブ系の投票行動などは知らなかったので良かったが、その他は私の興味の中心とはずれていた。
Posted by ブクログ
イギリス現代政治史から、イギリス社会の分断の要因を解き明かした一冊。
ブレア労働党政権以降の30年で、政治の対立軸に従来の経済軸に加え、保守/リベラルの社会文化軸、ロンドン/地方の地域軸が加わった。新たに加わった軸は個人のアイデンティティに根ざすものであり、価値観による感情的な対立を引き起こす故、分断が深刻化しているという内容であった。
また、「ロンドンのエリート」は大衆の為の政治をしないと見做され、支持を失っていく過程から、政治家自体への不信感が高まっているのだと感じた。政治家は高い学歴と家柄を持つ者が多いが、彼らに対する感情的な不信感は、政治そのものへの忌避感、嫌悪感を生み、ポピュリスト待望に繋がると考えられる。
最後に、本書ではブレクシットの詳細な過程についても記されており、そちらの説明も分かりやすかった。