あらすじ
累計2700万本超『ぷよぷよ』、累計120万部超『はぁって言うゲーム』日本ボードゲーム大賞2024・投票部門大賞『あいうえバトル』……。 「面白さ」で日本中を動かしてきたゲーム作家が、初めて語りつくす「頭の中×全人生」。
「いいアイデアが出ない」で諦めていませんか?
創作は、「アイデア一発」で生まれない。1000の駄案を抱え、捨てずに育てていく。
誰かに褒められたかった。ちょっと寂しかった。演技が下手すぎた。
そんな“くだらない感情”から、名作は生まれる。
全人生をかけてつくる。
「大切なものづくりに対する態度」というのは、「アイデアの閃き方」といったハウツー本に並べられた卑近なコツだけでは伝わらない。
アイデアがひらめいた直前の出来事、卑近なきっかけ、初期衝動、根源的な動機など、なにが、ぼくを突き動かして作品をつくったのかを多層的に書き尽くしていく。
遠回りにも見えるかもしれないが、ゆっくりと旋回していく軌道の中心にみえる「見えにくい、その生きる土台」を手渡せるといいなと思いながら、この本は始まる。(本文より)
【 目 次 】
<Chapter1 アイデアの誤解>
そんな状況が生まれるゲームって、できないか?
いいアイデアなんてくそくらえ
1000個考えて、1個が残る
ヒットさせるぞ!と考えていない
箱に入っているだけがゲームじゃない
宣伝のカギは金でもSNSでもない
<Chapter2 アイデアの実践>
売れない商品にしないために
こうやってコラボする
ぼくがゲームを作らないと世界が滅びてしまうから
44歳、初めての演技で考えたこと
もっとシンプルで、プリミティブに
<Chapter3 アイデアの育成> すべてが種になる
人生を変えたアルバイト
作品が終わるとき、その方法も終わる
『テトリス』の衝撃
『ぷよぷよ』誕生
『ぷよぷよ』の世界観をつくる
制作期間をえんえんと延ばせたワケ
アンチ大作という方法論
これ、本当におもしろいのか?
<Chapter4 アイデアの先にあるもの>
35年後に世界観監督をやる
ゲーム作家の部屋
タイトルは「バカの見方」でつくる
口は気持ちいいか?
外に開かれているか?
Tシャツ作家になってもよかった?
チート防止とおもしろさアップを両立する
往復6時間の仕事を7年間も続けられたワケ
娯楽は不要不急じゃない
勝ち負けではなく、世界認識を変えるゲーム
21世紀のクロスワードパズル
言葉の力を信じるゲーム
商品をつくる楽しさ、難しさ
<Chapter5 アイデアの再定義>
これはゲームではない
これはゲームなのか?
儀式との違いで考える
虚無ではなく、無心
「器」としてのゲーム
勝敗がなくても「ゲーム」と思えるのはなぜ?
発想って、なに?
ガラクタが、宝だ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「アイデア」に関する書籍で、自分自身の腑に落ちた中の1つ。
アイデア本、他には
『アイデア アイデアはどこからやってくるのか(考具初級編)』(加藤昌治)
『アイデアのヒント』(ジャック・フォスター)
『藤子・F・不二雄の発想術』(ナントカカントカ)(藤子・F・不二雄)
をおすすめする。
末光氏の書籍はここでも1冊紹介しているが、読んでいると「ああ、楽しい」と思うのです。
自分自身は「ぷよぷよ」の作者だとしか知らなかった。
よくよく読んでいくと、「はぁって言うゲーム」をはじめとした数々のユニークなカードゲームを制作している作家さんだと知る。
それらのゲームがどのようにして商品化されていったのかが、余すことなく書かれている。
「湧き出てくる」ものではなく、「アイデアの『森を育てる』」という感覚が「ああなるほどなあ」と思うのです。
Posted by ブクログ
## 感想
「アイデアの森」という言葉は共感できる。
というのも、私は本を読むことは、「頭の中の森を育てるイメージ」をしていたからだ。
何も知らなかった自分にアイデアの種を蒔き、たくさんの言葉の水を与えて育て、植物を育てていく。
そうすると、自分でも思いもよらないことに興味が湧いたり、思い浮かんだりする。
それが楽しい。
考え方は生き方と同じとも言える。
「どう考えるか」は、「どう世界を見るか」になって、それは人生で起こるあらゆることに対する受け止め方が変わるからだ。
米光さんが作った『ぷよぷよ』は、私が大好きなゲームの一つだ。
シンプルで、可愛くて、いつ遊んでも楽しい。
昔の64のぷよぷよがまだ家にあって、たまに小学生の息子と遊んでいる。
そんな息子でさえ面白いと思えるぷよぷよは本当にすごい。
私は仕事の種類は違うが、考え、新しい価値を生むという点では同じだ。
これからも米光さんを見習ってアイデアの種を集め続けて、いつか大きな花を咲かせたい。
## メモ
### 人生のあれこれが創作に流れ込む
やはりみんな、原因があって結果がある、というふうに単純化して考えたいらしいんですが、僕としでは、むしろ自分のこれまでの人生のあれもこれるが、うまくこの映画に流れこんでいるという感じが強いので・・・
『「お葬式」日記」(伊丹十三・文藝春秋)
### 「いいアイデア」は「いい創作」にはならない
革新的なアイデアは偶然性がきっかけになって生まれるので、「どうすれば良いアイデアが浮かぶのか」と単純化して考えて再現しようとするのは無理がある。
### きっかけはあらゆるところにある
人との会話、空に浮かぶ雲、国家予算のニュース。
『はぁって言うゲーム』のアイデアのきっかけは、米光さんが下がり眉のせいで誤解されて困っているからだった。
あらゆるものが、アイデアのきっかけになる。
きっかけは「種」であり、それを「いいアイデアだ」と思わないことだ。そんなことは他の人も思いついている。
それらを集めて育てていくことを「イメージビルディング」と呼ぶ。
アイデアは閃くものでなく、育てるものだ。
### アイデアの森
「1000個考えて、100個メモして、10個作ってみて、1個が残る」と米光さんは言う。
良いアイデアを求めずに、とにかく種を集めていく。
くだらないものでもとにかく集めて、「森」のようにして他のアイデアと共に育てていくイメージを持つ。
一つのアイデアが芽を出し花を咲かせ、種を落とし、次のアイデアを育てる。
### 『テトリス』の衝撃と『ぷよぷよ』の誕生
『どーみのす』という落ちモノパズルゲームを製作中だった米光さんの会社に飛び込んできた『テトリス』の衝撃的な面白さ。
その『テトリス』の面白さを分解し、一番重要なポイントである「ソリッド」さを抜いて「ソフト」さをだそうと考え出されたのが『ぷよぷよ』だった。
『ぷよぷよ』の原案をもとに米光さんたちは会社でひたすら作っては試しを繰り返す。
繰り返した結果辿り着いたのは、「2個のぷよを回転させる」というシンプルで削ぎ落としたものだった。