【感想・ネタバレ】アカシアの朝のレビュー

あらすじ

少女たちはソウルで夢を見た。

K-POPデビューを夢見る陽奈と、大学進学する幼なじみに思いを寄せるソユン。日韓のふたりの少女は、それぞれの理由から芸能事務所の練習生としてソウルで暮らし始めた。ブラジル、タイなど各国出身の練習生とのつながりは深まる一方、韓国芸能界の荒波に心と体をすり減らしていく――

K-POP、韓国ドラマ、ヘイトスピーチ、領土問題、南北朝鮮、戦争、植民地。全てを描き抜いた傑作――スケザネ氏(書評家)

現代女性の抱える悲哀を題材とした中編『コークスが燃えている』で熱狂的な支持を得た著者による、初の長編小説!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

わたしたちは、世の光。

陽奈は韓国に渡り研修生としてデビューを目指す。レイカ、チア、プロイ、そしてソユンとともに。厳しいレッスンの日々を支えてくれたのはオンニたち、特にクールだけどそっと優しさを示してくれるソユンの存在だった。

陽奈のダンスをソユンは光のようだと言う。両親が離婚して環境が変わって大変だったときに出会ったダンス。他の人の視点から陽奈は太陽の光のような、と形容される。マンネ(末っ子)として可愛がられるポジションにあるのも影響しているかもしれない。デビューが決まったソルトに大きな危機が訪れたとき、陽奈は大きなショックを受ける。そこからエネルギーを失ったように見える。でもずっと陽奈の視点を読んでいると、陽奈はずっと素直に吸収し続けていることがわかる。知らなかったことを怖がらず、腐さず、受け止めていく。3年後の陽奈の成長した姿にほっとする。

ソユンが死を選んだのは、信じていたものがそうではなかったからか。しかし陽奈は偽りの情報でも自分に課された姿をよい方向に引っ張っていくものであるならよしとする。アイドルは必要ないものかもしれない。歪なビジネスかもしれない。それでも陽奈はアイドルの道を続ける。理想化されたことで成長した自分を認め、さらに挑戦を続ける。そこに陽奈の強さがある。世を照らす光であるところの。

正直歴史的な関係の部分は消化しきれていない感じもあるが、アイドルを目指す少女と自己認識の物語として捉えると、高校生くらいに読んでほしいと思った。

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めた時はK-POPアイドルのサクセスストーリーかと思ったが、全く異なるものだった
アイドルの卵たちが、恋愛に悩み、死を選んだもの、アイドルを諦めたもの、人間の深い真理をついた作品だった
また日本、韓国、北朝鮮の結びつきについても描かれており、歴史観も織り交ぜられていた
様々な要素が描かれていながら、スッキリと読み進めることができ、作者の実力の高さを感じた
最終的に希望が持てる内容であり、爽やかな印象とともに読み終えることができた

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

青春時代に夢に向かって全てを犠牲にしてアイドルとなるがそこまでの過程に韓国と北朝鮮の社会問題、日本との関係を、そして恋愛と幅広く織り交ぜ半端ない感情が押し寄せる。韓国の人たちは日本に対してどのような感情を持っているのか知りたくなった。

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

K-POPアイドルを目指す日韓2人の少女をめぐる物語。
ソルトの5人のメンバーを実在のアイドルだったら誰だろう?と考えながら読むのが楽しかったです(ソユンはすぐにITZYのイェジが浮かび、チアも同じくITZYのリア、ほかはあんまりしっくりはこないまま陽奈はTWICEのサナ?レイカはRed Velvetのジョイとか?プロイはほかのタイ人メンバーを知らずBLACKPINKのリサか…?みたいな)。

K-POPのキラキラした側面はよく知っているので、そうでない部分、また日韓問題や在日コリアンにも触れていて、韓国ブームと言っても、韓国のことはあまり知らないなと思いました。
ソルトの練習生を脱落したメンバーが高級風俗で働いていると話す場面では、やはり…と思いつつショックだったので、レイカやチアがそうでない未来も示してくれていてよかったです(実家の財政状況にも大きく左右しそうですが…)。

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2025年06月27日

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