あらすじ
腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが? ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー! 故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた凄絶なドラマ。破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
暴力は嫌だ。
特に家庭内の暴力は。
誰も助けてくれない。
自分で何とかするしかない。
だから四郎はERの外科医になったのだろうしボクシングを習ったのだと思う。
ただ暴力の後始末が出来たり暴力を暴力で抑えられたりしても救われなかった。
相手を赦すことと自分の感情を外に出すことが必要だった。
煙か土か食い物ではないのだと知ることが必要だった。
初めて読んだ舞城王太郎さんの作品。
独特な文体の疾走感とか事件の気味悪さとか推理を進めていく過程の面白さとかそういうものだけではなく人間とは家族とは愛とはというような純文学的な深さというか分からなさがあった。
続編があるようなので読みたいし他の作品も読みたい。
色んな小説や映画や音楽の名前が出てくる度にそれらを知っていたらより深く読めるのだろうなと思った。
英語も苦手なのでちゃんと理解出来ていないとも思う。
それでも面白く読めた。
Posted by ブクログ
高校生の時 初めて読んで衝撃を受けました(笑) ノンストップで読ませる口語調の文章とバイオレンスかつアグレッシブな展開、一応ミステリのような形を取ってる独特なプロット。久々に再読したけどやっぱりいいですね。さてお次は『暗闇の中で子供』行ってみよう。
Posted by ブクログ
サンディエゴで医者をやっている四郎のもとに、母親が事件に巻き込まれたとの知らせが届く。故郷に帰り、事件を解決しようと奮闘する物語である。
しかし、そこに舞城王太郎先生の直接脳に意味が届くような文体と、四郎を始めとする登場人物の清々しいほどの暴力、暴言、天才的な比喩表現でスイスイと読めてしまう。
小説、音楽、映画の名前が多数登場するため調べながら読みすすめるのも楽しかった。
親、兄弟、友達への愛、恨み、怒りがダイレクトに伝わってくる本当にすごい作品でした。
Posted by ブクログ
最高。基本ユニークな表現とセリフで笑わせてくるのに、最後の四郎怒涛の緊急施術の嵐で涙ぐんでしまった。
ヘンテコミステリーを求めてこの作品を手に取ったのに、ド級の家族愛パンチを喰らってしまった。奈津川兄弟大好きだ!
Posted by ブクログ
まずは語り口がかなり独特。
舞城節ここに極まれり。
とにかく主人公奈津川四郎の意識の流れがとめどなく流れ込んでくる。
ミステリの形を取っているけれど、中枢に流れているテーマは家族。
仕掛けや言葉遊びなんかは本当に形だけ。どうでもいいんだ、と言わんばかり。
本質はそこじゃなくて、主人公四郎が父親を、兄弟を、母親を赦して、家族の愛を築き上げる作品だと思う。
父親が最後に斬りつけられたときに兄弟の名前全員の名前を呼んで、逃げろと言ったとき、
これまでのすべてをひっくり返すほどの、血のつながり、そして愛を確かめた四郎。
これがすべてだったんじゃないかと思う。
行動としては、一郎の妻と不倫したりと、純粋に番となるパートナーをまっすぐに愛することができずに、
ただただセックスを欲しがり、情欲のままに生きている主人公だけど、
最後アテナの下へと帰って、ぐっすりと眠るラストシーンはキレイだと思う。
レイモンド・チャンドラーやらなんやら、かなりぐちゃぐちゃと作品のなかで遊んでいる部分があるので
全部が全部を解釈しきることは時間の都合でやらないけれど、研究のし甲斐はある作品だなと思った。
Posted by ブクログ
ページにびっしりと文字が詰まっていて、圧迫感があって、翻訳本のような感じ。全体的にスピード感がありテンポが良いけれども、ほぼ回想なので本筋の話はほぼ進まず、不思議な感覚。
最後のセラピーを受け、「生きることは無駄ではない」ということを認識し始めた時からの主人公の心の動きがとても重く感じた。今までせき止めていた感情がようやく流れ出すのに、それもどこか第三者の目線。最後の「俺は~15時間経ったのにまだ起きない。よっぽど疲れていたんだね。」には、一体これは誰が言っているのだろうかと、ぞわっとした。
Posted by ブクログ
個性的な文体で、スピード感があった。あまり改行もなく、文量が多いが不思議と読みづらいということはなかった。主軸が傷害事件と家族の話。主人公の語りも含め好感を持った。タイトルが祖母のセリフというのも印象的だった。
Posted by ブクログ
お名前は見かけていましたが、その名前故に避けていたところがあります。だって、なんというか狙っている風のネーミングというのでしょうか、ちょっとふざけている?感を勝手に感じていたのです(作者名も作品名も)。読む前から「キャッチーな外面で内面をごまかしてはいないか?」という疑念がありました。
でも、やっぱり名前が、そしてタイトルが、気になるのです。そして、いくつかの機会をやり過ごしたのち、この度とうとう購入に至りました。
結論としては、自分の思い込みは大いに翻りました。
・・・
な、なんなの、この作風は?
感想をぎゅっと絞ると、これです。
主人公は米国で救急外科医として勤務する奈津川四郎。彼のキャラ設定がもうアクがあり過ぎます。数日間ぶっ通しでメスを握り、神業的外科手術を夜通し成功させつつ、ふとした合間にセ〇レ看護師の下半身をまさぐる。
そんな彼の母親が頭を殴打され日本へ緊急帰国するのですが、出身の福井に帰ってもこの破格のキャラが大暴れ。かつての級友を連れまわす(もう連れ去りに近い?)、義理の姉とよろしくしけこむ、気に入らないやつには暴力を振るう、友人を使って公権力に入り込む等々違法行為スレスレのもうやりたい放題。
そしてこのような横暴が主人公目線の独白調で方言?も交えて、改行なく語られるのです。さらに合間合間に横文字の禁忌ワードの数々。その文体はドライブ感・疾風感が強く感じられ、嫌みな感じの一歩手前くらいで絶妙に抑えられているようにも見えます。というより、あまりに常軌を逸しているため、つい笑ってしまう、ギャグマンガ的なシュールさすら感じてしまいました。
・・・
そんな物語ですが、実は犯罪予告を解くDetectiveものの展開であり、密室犯罪のトリックもあり、悲しい家系的暴力の因縁があり、それらを超克して最後はきれいに大団円を迎えるというものでありました。つまり一言でいうとぐいぐい読ませるし、面白い。
エンタメを標榜するメフィスト賞受賞は伊達ではありません。
登場人物の個々のキャラが強く、展開も早いので意識しづらかったのですが、物語のピークが分からず気づいたら終わってた、でもキレイに終わってた、という読後感です笑
・・・
ということで初舞城作品でありました。
アクの強い作品で読者によって好き嫌いが分かれそうな気がする作品でした。私はそうでうすね、結構好きです笑 なんか他の人からえー?って言われそうですが。
でも娘や息子に読ませるかっていると・・・、そうですね、たぶん黙っていると思います笑。
ダメと言われると余計に読んでみたくなる人、そもそもヒールとか露悪的なものが好きな人には楽しむことが出来るエンタメ作品だと思います。話の分かる大人にはお勧めの作品。
Posted by ブクログ
NINEまでは作者と主人公の癖の強さについていけず何度か断念しそうになったが、TENで奈津川家の過去が深く掘られていくとようやく四郎の全体像がなんとなく掴めたので、同じ気持ちの人たちはどうにか断念せずに読み進めてほしい。全体像を雰囲気だけでも掴めたら、あの躁状態に近い気持ちについても推し量ることができ、内容が前よりも噛み砕きやすくなると思う。
初めは主人公は実際には力もお金も女も無い男が心の内飲みで強い自分を演じているのかと思っていたが、話を読み進めていくとルックスも頭も良く、一般的に優れた人物であること、それでも四郎を始め兄弟も父も祖父も突飛な性格であることなど、想定外でかつこれまで読んだことのない展開が多く、夢中になってからはとてもおもしろく読むことができた。
今回舞城王太郎作品に初めて触れたので、また別の作品も読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
2001年。第19回。
覆面作家。タイトルの意味は「人間死んだら、火葬されて煙になるか、土葬されて土になるか、最悪動物に食べられるか」しかないじゃん。ってこと。
四郎が主人公。アメリカ外科医。母が殴られて埋められる猟奇事件の被害者になったということで、帰国。福井へ。
文字数がハンパない。改行
Posted by ブクログ
何とも形容しがたい作品。
文体に関しては好意的なレビューが多いが、個人的にはあまり好きな文体ではない。改行が少なく登場人物の会話も続けて表現されているので正直読みにくく何度か挫折しかけた。自分の読解力がないせいもあるが・・・
中盤~後半にかけて黒幕が判明したあたりもやや強引だった気がする。しかしテンポは良くなり最後はまずまず楽しめて読み終える事ができた。四郎の内面が想像以上に繊細であり、最期に救われたのは良かった。最初は★か★★であったが後半楽しめたことで★★★まで評価を上げた。
初読み作家さんであったが次作を読むかどうかは正直微妙である
Posted by ブクログ
初舞城王太郎でしたが、吹っ飛んだキャラクターメイクでガンガン押し切る小説かと思いきや、福井の土臭い田舎に舞台はさっさと移動し、血の因果というべきか、血生臭い暴力の連鎖で過去から現在へと紡いでいき、それでも将来へと希望を繋げていくというストーリー。
正直、間の過去編が長く、中だるみしてしまったし、ミステリー的な”ネタ”の部分も「ん?」という感じはしたのですが、純粋な読み物として不思議とドライブ感があって、楽しかったです。
実は四郎の医者という経歴自体嘘なのでは?というどんでん返しも想像してましたが、そんなことはなかったです笑
Posted by ブクログ
ドラえもんのくだり、いる?
とか
警察車両の細工は誰の何だったの?
とかの諸々に、
突っ込んだら負けなのだろう。
個人的にはやや苦手だがハマる人にはハマる独特の書き口にも、一つ一つに大した意味はないのだろう。
疾走するようにドバァーっとストーリーが展開していく中で、兄弟と父親に関する描写だけ丁寧に慈しみと悲しみを持って描かれていて、それが良かった。
兄弟全員が、自分のこと以上に兄弟のことに心を深く傷つけたたまま強がって生きてて、良かった。
ミステリー小説ではなく、もう何年も前に崩壊してしまった家族関係の再生と修復の物語。
テーマが明確な分、個人的には阿修羅ガールより面白かった。
ただ、主人公が明らかに厨二病なので、星三つです。