あらすじ
受援力(じゅえんりょく)とは、困ったときに誰かに助けを求めることができる力のこと。介護に直面したときに大切なのは、この「受援力」を発揮することです。
ある日突然、介護に直面すると、生活が一変してしまい、どうしていいかわからない状況に追い込まれ、精神的に追い詰められてしまう人も少なくありません。
介護はプロの力を借りることができますし、利用できるサービスもいろいろあります。すべてを自分で抱え込む必要はないのですが、「人に助けてもらう力」が弱いと、自分で何とかしようとしてしまいます。一時的なことなら、それでもいいかもしれませんが、介護は終わりが見えません。潰れてしまうことなく、「仕事や学業や家事」と「介護」を両立させながら乗り切っていくためには、周りにある資源を有効に活用し、頼っていくことが必要なのです。
本書は元日本テレビのアナウンサーであり、 “元祖ヤングケアラー”とも呼ばれる著者・町亞聖さんが、介護に追い詰められてしまわないために、すべてのケアラーに伝えたいことを詰め込んだ渾身の書き下ろしです。
自身の介護経験を述べつつ、大変な状況に置かれているケアラーを慮りながら、「突然直面する介護への心構え」や「介護と仕事・学業との両立」など様々な切り口から介護生活を乗り切るためのヒントを熱く語ります。
著者自身が大変な介護を乗り越えたからこそ発せられる言葉には、抜群の説得力があり、心に響きます。すべてのケアラーの心にしっかりと寄り添ってくれるに違いない1冊です。
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Posted by ブクログ
介護を少しでも意識した方には知識を得るために、介護当事者の方には心に寄り添う一冊として手に取ってほしい。
少し情報量過多なところはあるが、町さんが様々なフェーズで経験したこと、報道記者として得られた情報を余すことなく詰め込んでくれている。
私自身、遠距離介護当事者だからこそ頷くことも多かった。
・「出来ないことではなく出来ることを数える」
・「何に困っているか?をきちんと本人が言語化できるか」
・「誰に言われると素直に聴き入れてもらえるか」
・「『実は…』の輪をもっともっと広げたい」
・「誰かに助けてもらった時は『すみません』ではなく『ありがとう』」
介護だけではなく、育児されてる方や教育福祉の専門職の方にもこれらのメッセージを届けたい。
また、学習支援やフードパンドリーが孤立している世帯や人が誰かと〈繋がる〉機会や場所となりうる話については、活動意義は大いにあると感じているが、そうした場に参加することでラベリングされることへの抵抗をお持ちの方が私の周りにも少なからずいらっしゃる。
こども食堂から「地域食堂」や「みんなの食堂」という活動が出てきたように、本質的な〈繋がりづくり〉の在り方について、これから私も自分事として考えていきたい。