【感想・ネタバレ】事故がなくならない理由 安全対策の落とし穴のレビュー

あらすじ

高い防波堤が津波の被害を大きくした?! 低タール・低ニコチンの「軽い」たばここそ、危険である。鉄道やバスの事故、医療事故、原発事故、津波と地震、温泉施設での火事など……事故が起きるたびに、関係者の責任が問われ、規制が強まり、対策がとられる。だが、果たして安全対策によって「安全・安心」は高まったと言えるのだろうか。事故や病気や失敗のリスクを減らすはずの対策や訓練が、往々にしてリスクを増やすことになるのはなぜなのか、考える。著者は、道路幅が広がればスピードを出す運転手がいるように、立派な防波堤を信頼したがために津波警報でも逃げなかった例をあげ、人間の心理を考えない安全対策では心もとないことに警鐘を発する。内外の豊富な実例をあげながら、人間の心理とリスク行動の謎に光を当て、いかにしてリスクと向き合うべきか、リスク・マネジメントの課題にまで踏みこんでいく。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

*目的
事故が亡くならない原因を理解する。
対策を立てる際の注意点に着いてわかる。

*芳賀繁 専門:産業心理学、交通心理学、人間工学

子守唄効果(ララバイイフェクト):安全対策がまるで子守唄のように人を安心させ、まどろみに誘う、そのことが危険を大きくすることを指す。

リスク補償行動とは、低下したリスクを埋め合わせるように行動が変化し、元のリスク水準に戻してしまうことをいう。
ジェラルドワイドが提唱したリスクホメオスタシス理論。リスクの目標水準を変えるような対策でなければ、長期的には元に戻る。私の考えとしては、自信がつけばスピードがあがり間違え安くなり、システムが揃えば、攻めても大丈夫というのに繋がる。
安全装置は、安全性向上ではなく、自分たちの行いたい行動の目的に利用できる便利な装置にすぎないのである。
NO.645,687,

ルール違反を起こしやすくなる要因
ルールを知らない、ルールを理解していない(違反のハードルを勝手に下げる)、ルールに納得していない、みんなも守っていない、守らなくても注意を受けたり罰せられたりしない。

ヒューマンエラー
ヒューマンエラーによる事故は、設備ではなく人間の意識や注意力を高める必要があると考えがちだが、
ヒューマンエラーの概念は、システムの中で働く人間が、システムの要求に応えられない時に起きるものなのだから、対策は設備を含めたシステム全体で考えなければ行けない。
ヒューマンエラーは、失敗やうっかりミスと同義語ではない。システムの中で起きる、人間の判断や行動の失敗なのだ。
とりまくシステム
m-SHELモデル。システムの構成要素を分類して、Lのパフォーマンスが他のシステム要素との関係の良し悪しに依存するのを示した図。ホーキンスによって提唱。絵NO.1005

リスクへの理解
過小評価する傾向のことを正常性バイアスという。
死者が少ないハザードについてはリスクが過大評価され、多いハザードについてはリスクが過少評価される。
ダニエルカーネマン(ノーベル賞)プロスペクト理論
リスク判断には主観的要素が大きく作用し、心理学的な原因や法則がある。フレームを利益側にするか、損失側に設定するかで大きな影響がある。利益側であれば、確実性効果が現れ、損失側であれば、ギャンブル的認知バイアスがでる。

腐ったりんご理論
エラーや事故を起こすのは一握りの頼りない、出来の悪い従業員であり、彼らを職場から追放すれば、システムの安全性は確保できる

ハインリッヒの使用方法
事故の結果にこだわるのではなく、過程(転倒するという事象)に注目して対策を取る。

リスクアセスメントの理解
結果として許容しうるリスク(対策不要)という判定がありうる点が、リスク・マネジメントの考え方の新しい点。限られたリソースを効率的に配分して、重大なリスクから先に手を打とうという、極めて合理的かつ冷徹な発想である。

大谷・旁賀 文献8 産業・組織心理学会 28回大会発表論文集 248-251 2012
職業的自尊心と安産行動意図の関系
自尊心が高い人は、仕事の技量を高めたいというタイプであるため、主観的規範が高い。一方結果がすべてである工程厳守型の業務意欲は、ルールを破ってでも工程を守るというリスキーな、行動をする。
自尊心は、誇り高く生きること、将来に希望を持つことで高められる。

広瀬弘忠(防災心理学)

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2013年07月20日

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