【感想・ネタバレ】ファスト化する日本建築のレビュー

あらすじ

早い工法、安い建材、簡単な計画──
最近の建物、 なにかがおかしい!?

・「木」を貼りたがる公共施設
・写真映えを優先する建築デザイン
・迫るタワマンの「大規模修繕」問題
・理念のない大阪・関西万博 ……etc.

建築エコノミストが現代日本の建築業界を蝕む「腐敗」を斬る!


いま、日本の建築業界の根底が揺らいでいます。
たとえば、有名建築家によって設計された施設が、オープン時には華々しい見た目から話題になったものの、本来なら何十年ともつはずなのに、数年で朽ちてしまい、何億円と補修費用がかかる……というニュースが世間を騒がせています。
また、住宅や商業施設では、石や無垢材といった自然木材を目にする機会は減り、化粧板や合成素材といった「フェイク建材」が巷に溢れ、本物の素材を扱える職人は姿を消しつつあります。
どうしてこのようなことが起こっているのでしょうか。
バブル崩壊以降、社会に余裕がなくなり、建設においても「早い・安い・簡単」、つまり「ファスト」を追い求めた結果、ますます建築業界も疲弊し、社会に悪循環をもたらしている……と説くのは、建築エコノミストの森山高至氏です。そんな建物の「ファスト化」は、わたしたちにもたらすのでしょうか。
そこで本書では、建築文化の成立を歴史から読み解き、ひるがえっていまの建築業界に山積する問題とその原因はなにかを、「住宅」「公共施設」といった身近なところから、オリンピックや大阪・関西万博のような「国家」レベルの大規模なものまで、さまざまなテーマから徹底的に解説します。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

1 隈研吾氏が設計した公共施設、馬頭広重美術館が腐った!
2 イオンモールは、中だけこだわり外見は建物の魅力ゼロ 
  一蘭も食のこだわりはあっても建物はなんも印象に残らぬ
3 オープンハウスが席巻している狭小地三階建は街並みもへったくれもない!
  ワンルームマンションも、テラスハウスも、、、
  狭小賃貸は驚いた!水回りだけであとは寝るだけ。銭湯がつぶれる必然。
4 建築人材は減るばかり 今や50代が若手
5 神宮外苑もじっくりプランを練ればいい案はできたはず。これもファスト化の弊害
6 無意味に同じ都市で行った東京オリンピック、大阪万博、、、

最初読み始めた時は隈研吾批判本かと思ったが、そんな狭い了見の新書ではなかった。
「ファスト化」の名のもとに、日本中の建物が良からぬ方向に進んでしまっていると。
文化が失われていく。
時代の流れ、やむを得ないと思う部分と、政治はもっと踏ん張れ、と思う部分と。
神宮外苑、、、確かに維持にお金は必要だが、それ以上に壊したり建てたりの費用の方がかさむんじゃないか。
確かに一等地の秩父宮ラグビー場は贅沢だが、屋根付き人工芝では選手が大丈夫なのか?
屋根付きは観客としては寒い冬、暑い夏、ありがたいかもしれないが、、
それにしても安易に取り壊して新しくできた国立競技場の酷さは許しがたい。
やはり隈研吾批判でもいいように思う。ちやほやされすぎた。

第一章 公共施設のファスト化
「腐る建築」とは/建築文化を作る気候条件と生活様式/人口減少時代の多目的公共施設/安易な建築思考がもたらす悲惨な結果 ……ほか

第二章 商業施設のファスト化
商業施設のはじまりは百貨店/バブル崩壊で衰退する百貨店建築/ファストデザインを支えるフェイク建材 ……ほか

第三章 住宅のファスト化
街並みと無関係な都市型狭小住宅の開発/下駄履きマンションの意味/玄関が家? 狭小賃貸住宅の登場/デザインをしなくなった家 ……ほか

第四章 建築人材のファスト化
枯れていく建築人材/建築業界を揺るがした耐震偽装事件/建設現場における進まぬIT化と進む後期高齢化/疲弊する林業と木材のファスト化 ……ほか

第五章 都市のファスト化
美しい国づくり政策/明治神宮外苑再開発問題/東京オリンピック誘致と新国立競技場問題/タワマンは大規模修繕ができるのか?……ほか

第六章 国際社会における国家のファスト化
2020年東京オリンピックメイン会場の迷走/再開発における解体工事の困難さ/テーマが見えない大阪・関西万博2025/軟弱地盤の夢洲会場と突如会場に現れた木造リング ……ほか

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

どれも似たような没個性的な建物が短期間に出来上がる理由が説明されている。読み進むうちにファスト化は建築・建設業界だけではなく様々な業種で進行していることに気付かされる。紙面の都合か説明が性急なところもあるが、世の中のファスト化について考えさせられる本。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

建築業界やそれを取り巻く建材、林業の業界の実態について、全体を通して批判的に述べているが、外観を理解できるという点では分かりやすかった。特に隈研吾氏に対して一貫して批判的だった。ただ、「ファスト化する日本建築」と題する以上、そうだろうなとは予想していた。彼が木材を積極的に使っていることは、まずその機能的な必要性や妥当性は置いておいたとして、話題になるという点では良いが、その使い方や考え方には疑問に感じていた。日本における建築のファスト化、ひいては都市や生活のファスト化はものすごいスピードで進んでいるし、生活者はそれに危機感を抱いていないのが事実だと思う。物質的には豊かになったし、量的だけではなく物を得る速さにおいても便利にはなったと思う。ただ、それは生活が豊かになったこととイコールではない。本来日本に存在していた生活の豊かさは、生活がファスト化していく過程で失われていった、あるいはもう求められなくなったのかもしれない。ファスト化した生活を求めた結果、都市部に人口が集中し、日本ではそれを改善するべく地方創生が叫ばれている。それはもちろん進めるべきだと思うが、昨今進む都市のファスト化の中で生み出されたような、タワマンに象徴される建築物たちは、数十年後どうなるんだろうか。今後数十年後に訪れる都市の修繕に耐えられるだけの産業は残っているのだろうか。将来、負債ともなってしまうような建築は残したくないと思う。
東京オリンピックの新旧国立競技場、大阪万博で話題に上がった建築関係の問題については、また調べてみようと思った。

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

書店で気になり、書評でも目にし、読むに至ったもの。教養もファスト、エンタメもファスト、何でもファスト。衣食住にまで及んだか…と思ったけど、考えてみりゃ衣食は既にファスト化して久しい訳だから、それが住に及んでないと考える方が不自然か。隈さんとか安藤さんとか、自分が無条件に信じてしまう名前へも厳しい評価がなされている訳だけど、見た目だけで中身が伴わないって、どの世界でも共通して認められる陥穽だな。ファスト建築の延長線上にある五輪・万博への批判も、論の展開として至極真っ当。

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2025年07月28日

Posted by ブクログ

最近の建物は安普請だという噂を聞いて読んでみた。噂は本当だった。本書は住宅から商業施設、大規模マンションからインフラまで、すべてにファスト化が進行していると警鐘を鳴らす。背景は材料のみならず設計や人材育成に至るまで経済的合理性が優先されていること。早く安くできるが本来長期の使用が想定されるべき建築がその性能を有していない。建築とは何か。新しい建物や街を見るたび色々と考えさせられる本。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

●建築業界で進むファスト化、その問題点を解説。
●将来性のない、または考えない都市開発や国際イベントの建築が将来の負債となるだけになりそうで恐ろしい。

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2025年09月13日

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