あらすじ
第23回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉作品
台風が過ぎ去った日のコインランドリー。無人のそこには、一本の傘が置き忘れられていた。持ち主は嵐の中、傘を持たずに店を後にしたというのか? 死者の署名がなされた創部届、アイスクリームを咥えた泥棒、学生寮に残されたタイムカプセル。好奇心旺盛でお人好しな同級生・二ノ瀬と共に、高校生の古川はさまざまな謎に遭遇する。そしてやがて、自身の過去と向き合うことに……。
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Posted by ブクログ
好奇心旺盛な二ノ瀬と冷静な古川の2人が学校内で起きる日常的なミステリーを解決していく物語。氷菓やハルチカシリーズを彷彿とさせる、青春と日常の謎と少し苦い結末がうまく組み合わさっていてとても読みやすかったです。二ノ瀬さんと古川さんの甘酸っぱいやり取りがまぶしくてこれで恋人同士じゃないのかとツッコミを入れたくなるような仲の良さだと思いました。そんな彼らの内面が物語と時系列が進むにつれて分かってきて、愛着がわいてきました。続編が作れそうな雰囲気なので、彼らの青春の続きを読んでみたいです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
二ノ瀬あかる:鬼頭明里
古川景夏:梅田修一郎
松原蓮:種崎敦美
丹波柚月:小林千晃
市原鳴海:市之瀬加那
朝霞佑人:浦和希
相馬伊織:伊藤彩沙
竹田教諭:平田広明
Posted by ブクログ
チャラい美男美女高校生カップルがイチャイチャしながら日常の謎を解いていくのか、ケッ、
…と思って読み進めたら、意外にも落ち着いた筆致で、なにより性格のよさにひかれていくことになって、学校が舞台のミステリーとしてはなかなか出色の出来なのでは。
このふたりにまた会いたい。
Posted by ブクログ
著者初読。パイセン本。
入夏紫音著『古川くんと二ノ瀬さん』は、派手な演出や過剰な感情表現とは一線を画した、静かで繊細な青春小説だ。不器用で言葉少なな古川くんと、どこか距離を保ちながらも確かな優しさを持つ二ノ瀬さん。2人の関係は、いわゆる「恋愛」という枠に収まりきらない、どこか曖昧で、それゆえにリアルな温度感をまとっている。物語は大きな出来事に頼らず、日常の中にあるわずかな心の揺れを丹念に描いており、その静けさが読者の心に深く染み渡る。互いに無理をせず、ただ隣にいるという関係の尊さを、改めて思い出させてくれる一冊だ。感情を説明しすぎず、行間に託された思いが余韻となって残る本作は、日々の喧騒に疲れた大人の心に、やさしく寄り添ってくれるような読後感をもたらしてくれる。