あらすじ
「う・ら・み・は・は・ら・し・た・よ」
ベテラン刑事が難事件に挑む本格ミステリー!
東京の高級マンションで起こった凄惨な殺人事件。
粘り強い捜査の結果、捜査本部は意外な人物が犯人であると突き止める。
しかし、事件の背後には、影法師のように見え隠れする“もうひとつの真実”があった――
都内のマンションの一室で有名デザイナーの国枝和子が無残な姿で発見された。
防犯カメラの映像から浮かび上がった容疑者は3人。
それぞれの身辺をくまなく調べ、捜査チームはついに犯人を特定するが、その人物の精神鑑定をめぐり、事件は思わぬ展開を見せる。
定年間近のベテラン刑事・田所は、被害者の過去の人間関係から徐々に事件の核心に近づいていくが……。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
好きな終わり方だったけど精神鑑定のあいまいさが刑事事件での難しさとしっくりこないもどかしさ。考えさせられる話と
精神科医と警察と患者の三様は2時間サスペンスに最適な内容だった。
Posted by ブクログ
都内のマンションの一室で無惨な姿で発見された有名デザイナーの女性。防犯カメラ映像から容疑者は絞られ逮捕にこぎつけるが、ベテラン刑事の違和感から被害者の過去が洗われ、次第に事件は別の様相を見せ始める…。
面白かった〜。
作者は現役の脳神経外科医ということで、論理性と医学的な知見に基づく描写がクール。
精神医学の曖昧さや、それを事件捜査で客観的に立証していくことの難しさを示したエンディングは、ミステリとしては有体な終わり方ではないが、それも無理矢理解決に持ち込まない誠実さも感じられて好感が持てる。
ミステリとしては、主人公が宇佐見かと思っていたら最後には田所だったのねという感じで、モブキャラの刑事の登場が多すぎてストーリーを邪魔する。キャラ設定を活かせないなら、もっと登場人物を絞っても良かったのではと感じた。
この作品は後半三分の一が肝なので、前半(犯人でなかった容疑者の捜査のいちいち)をやけに詳細に描いた結果作品としてのまとまりが薄れた感があって残念。まあ、専業作家ではないので仕方ないし、精神医学の部分がそれを補うほどの面白さがあったので全体としては面白い作品でした。