あらすじ
県民生活・地元振興そっちのけで普天間飛行場の辺野古移設反対運動と法廷闘争に奔走。
違法性が指摘されるワシントン事務所を拠点に日本政府を裏切る二重外交。
尖閣諸島を狙う中国政府には一切抗議せず、むしろ日米同盟の弱体化を企図――。
オール沖縄――。それは、米軍普天間飛行場の辺野古移設という日本政府の外交・安全保障政策に反対することを県政運営の主目的に据えた、極めて特異な地方権力である。
その本質は、「反基地イデオロギー県政」に他ならない。
本書は翁長雄志・沖縄県知事にはじまり、現在の玉城デニー知事に引き継がれた暗黒の沖縄現代史である。
その壮絶な内幕を10年にわたり追及した「生粋の沖縄人記者」がついに告発するに至った。
日本の国防最前線で繰り広げられた沖縄と日米同盟の「失われた10年」、その封印が今解かれる!
(目次)
第1章 法治国家を崩壊させる沖縄県政
第2章 ごり押しの「民意」
第3章 日本の抑止力に穴を開ける
第4章 緊迫化する尖閣・台湾
第5章 「地域外交」の危うさ
第6章 沖縄は差別されているのか
第7章 「オール沖縄」はなぜ生まれたのか
エピローグ 民意が離れた「反基地」権力の落日
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Posted by ブクログ
沖縄唯一の保守系新聞社である八重山日報の記者によるオール沖縄の分析。沖縄本島とは異なる最前線の八重山からオール沖縄の10年間の軌跡を追い、その政治姿勢を断罪する。特に翁長雄志氏の変節(政治権力を掌握したいがため)については、翁長政俊氏の著書とも通じるところがある。
著書から見たオール沖縄とは、「沖縄を日本から分断し、非武装中立化することで平和を実現することを究極の目標とする、一つの確固とした思想であると言える」であり、その行動原理は、「軍事的な抑止力を否定すること、その帰結として沖縄と日本の分断を志向すること)と指摘。また、辺野古移設反対は、「オール沖縄を集票マシーンとして機能させるため、選挙用ツールとして開発された公約」としている。そして、沖縄二紙(琉球新報、沖縄タイムス)は、「オール沖縄県政をアシストし、事実上の宣伝戦を担う・・・県政と沖縄メディアが二人三脚で世論形成に影響を及ぼし、選挙結果を左右するという構図が、沖縄ではすっかり定着している」と分析している。
そのための言論ツールとして、沖縄ヘイト、知事バッシング、新基地建設(既にキャンプシュワブという基地は存在)という神話的なナラティブを活用。盛んに言う県民投票で示された民意も選択肢を反対に寄せる形で保守の意見を遮って、沖縄メディアが保守の正論を攻撃する形で実施(そして保守の先島や辺野古がある名護市の久辺三区始め投票率は低い)。そして、外交による解決を言うが、国益に反する演説を国連等でするだけで、肝心の尖閣問題では中国に会っても何も言わない。
こうした行動の背景にあるのは抑止力の否定ないしは軽視である。このため、自衛隊の南西配備や米軍の活動のみならず、特定利用空港・港湾を含む政府や米国の取組に反対し、結果として中国を利する形となっている。著書は、これを)県の方針はむしろ、有事の際の宮古、八重山住民を危険にさらす」と批判。また、辺野古を国際問題化し、尖閣に何も言わない地域外交についても、「下手をすると中国の駒として利用され、日本弱体化の先兵にさせられる危険性だってある」と指摘する。
そして辺野古移設決定以来、淡々進んでいた流れを止めオール沖縄を作る潮流を形成した張本人を鳩山の最低でも県外の発言に起因するとしている。
結果としてオール沖縄のメリットを受けたのは看板架け替えに成功した共産党や社民党であり、県の前向きな歩みが10年ストップしただけ。コロナ禍による観光・経済への打撃で利用されていた中道・保守が覚醒して昨年六月の県議選の結果につながる。
著書は、沖縄の他道府県と比べた最大のアドバンテージは、万国津梁という言葉に象徴されるアジアの玄関口ということ。また、宜野湾市長の佐喜真氏の「好むと好まざるとに関わらず、沖縄は現在、安全保障に重要な地域となっている。琉球王国以来、今ほど日本にとって沖縄の重要性が高まった時期はない。これをチャンスととらえ、沖縄から本土に向けた新たな発信や提案があっても良いのではないか」という言葉も紹介されている。このような発想の元、抑止力を維持しつつ沖縄が発展して行くことを願いたい。
上記のほか、本島の離島に対する差別意識(琉球政府は搾取をした張本人)の議論や米軍基地は国際交流や英語力強化の観点から一つの資産となるといった主張も目からうろこで面白かった。
偏る傾向にある沖縄の議論について貴重な視座を提供してくれた筆者に感謝したい。
Posted by ブクログ
◎反基地イデオロギー県政の終焉
沖縄県で発行してる保守系新聞社・八重山日報の論説主幹・仲新城誠氏の著書。
翁長前知事から始まり玉城デニー現知事に引き継がれた反基地イデオロギーを掲げた「オール沖縄」という保革合わさった団体が実際やっている事の矛盾、奇妙さ、無駄さについて言及。
次いで、沖縄タイムス、琉球日報のオール沖縄寄りの偏向報道についても書かれていた。
「オール沖縄」が沖縄県政を10年停滞させたとも。
本州在住の自分は、辺野古に基地を新しく建てるというニュースを見聞きして、綺麗な海を埋め立ててまで新しい基地を作るなんて国と米軍は残酷なことをするもんだ。なんて思っていたわけですが、そんな感想が出る事こそオール沖縄の思う壺だった訳ですね。
基地がある事のリスクと基地があることによって得られているベネフィットのバランス。
国防の最前線として見る八重山諸島。
離島と本島の国防に対するの意識の違い。
10年にも及ぶオール沖縄県政により翻弄された沖縄県民達の選挙から読み取る本当の民意とは。
様々に考えさせられました。
奇しくも、この本を読んでる最中に石垣市長選があり、現職の中山義隆氏が再選を果たしました。
これも一つの民意なのでしょうね。