あらすじ
『銭湯図解』で話題の画家・塩谷歩波が建築の図法で描く、唯一無二の空間。
都内近郊の“純喫茶図解”18軒をオールカラーで収録!眺めて、読んで楽しいイラストエッセイ集
アンティークの調度品にシェードランプの薄明り、個性あふれる床タイル、妖しく微笑むトーテムポール……。都心には、建築やインテリア、メニューの隅々にまで店主のこだわりが詰まった魅力あふれる純喫茶がひしめき合っています。
そんな純喫茶の魅力を、画家・塩谷歩波さんが建築の図法で描き、実際に足を運んで食べたメニューや店主へのインタビューなど、イラストと写真、文章でお届けします。著者の緻密で温かい絵に思いを巡らせながら、純喫茶に足を運んでみませんか?
第1章 ノスタルジックな純喫茶
西荻窪 それいゆ/蔵前 らい/渋谷 茶亭羽當/神保町 ラドリオ/津田沼 珈琲屋からす/高円寺 珈琲亭七つ森
第2章 豪華絢爛な純喫茶
上野 Coffee Shopギャラン/銀座 トリコロール 本店/上野 喫茶 古城
第3章 音を楽しむ純喫茶
渋谷 名曲喫茶ライオン/阿佐ヶ谷 ヴィオロン/吉祥寺 バロック/新宿 らんぶる
第4章 ひとクセ光る純喫茶
神保町 さぼうる/阿佐ヶ谷 gion/吉祥寺 くぐつ草/御茶ノ水 穂高/都立家政 Coffee&Lunch つるや
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『銭湯図解』の著者による喫茶店18軒の魅力満載の図解。
・はじめに
第1章 ノスタルジックな純喫茶
第2章 豪華絢爛な純喫茶
第3章 音を楽しむ純喫茶
第4章 ひとクセ光る純喫茶
Column1~4
・おわりに
行ったことのある店がある。
古書店街で疲れた足の癒しの場所。
行ってみたい店がある。
入りにくいイメージを消す図解が誘ってくれる場所。
描いて欲しかった店がある。
かつて足しげく通った思い出は
今でも心の片隅にある場所だから。
アイソメトリックという建築図法で描いた純喫茶の
個性的な店内の様子が詳細で、更に、描き込まれた人たちの
姿が生き生きとしています。その雰囲気が温かい。
そして、店主から得た店の成り立ちや拘りが文や写真、
絵にこめられていて、これらの純喫茶でお勧めのメニューを
味わいながら過ごしたくなってしまいます。
楽しい図解シリーズの続編、お願いします。
Posted by ブクログ
有名な喫茶店を図解した本。作者の方が建築学部を出て建築関係のお仕事をされていたからこそ、上から見た喫茶店を覗き見ることが出来る。細かい、とにかく細かく丁寧にお店の図解が描かれている。ここが入口か、この棚にはこんなものが飾られているのか、ここがこだわりなんだなとじっくり見ていると本の中に迷い込むよう。お茶をしている人たちも丁寧に描かれていて架空の人や、店主から話を聞いた特徴的な人や作者本人などがこれまた細かく描いてあって、ウォーリーを探せみたい。
こんなに丁寧な本がたったの1500円、感謝しかない。上から描くなんて間取りとか家具の大きさとかバランスが難しく普通の人なら出来ないけど、建築学科の方だから出来るんだろうな。それでも本当に大変な作業だったと思う。ありがたい。大切に何度も読もうと思う。
喫茶店の歴史やエピソードも丁寧にまとめられていて、読み応えがあるし、より身近に感じることができる。写真もあるので絵のイメージを実際に確認できたりするのも良い。訪れたことのある喫茶店も何軒かあり、またこの本を持って訪れたくなる。重厚な扉の向こうがどんなものか想像できずに躊躇してしまいそうな名店も、この本のおかげで思い切って扉を開くことができると思う。素晴らしい本だった。
Posted by ブクログ
『銭湯図解』の著者による図解第二弾のテーマは都内の純喫茶。
前作に続いて、アイソメトリックという建築図法で描かれています。斜め上方からの離れた視点で、天井を透過して建物の内部がこと細かに描かれているわけです。そこには架空のお客さん、著者の身近な人、実際にいるお客さんなどの人物がやわらかく水彩で描きこまれもしていて、絵のタッチといい、とてもやさしくて落ち着くような、安らげる空間として感じられるのでした。
図(絵)という形で純喫茶店に触れているのに、空疎さがなくて豊かな気分になれるんですよね。親しみが持ててしまう。
この図解のなかに、どんな音がしていてどんな匂いがしているか。それが知りたくなります。渇望するみたいにつよく。もしもなんらかの魔法によって、音も匂いも揃って感じることができたとしたなら、もうこの仮想の絵世界には錯覚しきってしまい、身を置いている現実のほうが負けてしまいそう。それほどに、魅力を感じる世界ができあがっています。ばりばりのリアリティーがそこにあるわけではないんです。それに、もしも実際に図解の喫茶店へと足を運んでみたとして、そのときの印象やその体験とはまた別種だったとしても、この図解の世界はおそらく、本物からうまく大切な部分が抽出されて描かれていて、読者は端的にその場所を知れるようなつくりになっているのではないか、という気がしました。ただの案内図ではないですからね。
また、考現学(考古学ではなく考現学。現在を考える学問)という学問的見地から、現在の世界の色合いを残す意味合いがあるそうです。
本書のコラムで、「ケの日のハレ」という項があり、それを最後に紹介して終わります。
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民俗学で日常をケ、非日常をハレという。私は家風呂よりは非日常でスーパー銭湯よりは日常的な銭湯のことを“ケの日のハレ”と表現していた。それは純喫茶も同じ。(p92)
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→本書に掲載されている純喫茶の店構え、そして内装にはお店それぞれにつよい独自性がありました。調度品、小物、柱の造り、シャンデリアなどなど、工夫を凝らし、それぞれの店主による趣味やセンスが堂々とあらわれています。そうやって作られた雰囲気・空気感のなかにお客さんはくつろぎにいく。店側も全力でつくりあげた店内(世界)であるでしょうし、出すコーヒーにもこだわりがあったり、当たり前なのだろうけれど食事にも手を抜いていなかったり。そのような場所で時間を使うことは、やっぱり非日常に近い日常なのだろうな、という感覚は、本書を興味深く眺めていても感じられました。銭湯に続いて純喫茶は、愛着や親しみを感じられた上に、「ケの日のハレ」を体験できる場所のようだなあ、とあんまり喫茶店に入ったことの無い僕は、夜空の星座を見上げたような気分になって本書を閉じました。
Posted by ブクログ
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雨の日に届いてくれるの、行った気になってね、と云われてるみたいで佳き。知った店も、気付いてなかった部分があったりしてもう行きたくなっている。
届く前から☆5に決めてたけど素敵過ぎる…シリーズ化して欲しい…!
Posted by ブクログ
細かく描かれた店内の絵や猫写に感動。自分の生活圏にあったあの店が、純喫茶だった!ここに描かれてたなんて。読まなかったら知らなかった。それを知れたから、読んで良かった。