【感想・ネタバレ】中国名詩集 ――美の歳月のレビュー

あらすじ

詩歌の歴史は、人々の美感や美意識の歴史である。とりわけ、中国古典詩は、「抒情の器」として数多の名詩を生み出してきた。本書は、そうした歴史のなかから、「詠懐」「山水」「情愛」「飲酒」「自適」など12の章に分類し、主要作品を紹介。個々の作品の鑑賞を通して、それぞれの主題に関わる詩的時間の推移が追体験されることを目指している。詩の選択にあたっては、中国の詩歌史における源泉的作品、典型的な表現効果のある作品、独自の表現効果をもつ作品、という3つの観点からなされた。中国詩の広さと高さを伝える珠玉のアンソロジー。

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Posted by ブクログ

中国名詩集
美の歳月
ちくま学芸文庫 マ-56-1
著:松浦 友久
出版社:筑摩書房

名詩を、五言絶句のような詩形ではなく、内容でまとめたものです

酒、女、友、旅 古今東西、人間のやっていることはそうそうかわりがない

古代中国の中年の遊び男たちがやっていることもかわらない

その中でも、李白がいい、なんたって分かりやすい

<友人との酒>

山中にて幽人と対酌す

 両人対酌して 山花開く
 一杯 一杯 復た一杯
 我、酔うて眠らんと欲す 卿且く去れ
 明朝 意有らば 琴を抱いて来たれ

<一人酒>

月下独酌 其の三

 三月 咸陽城
 千花 昼 錦の如し
 誰か能く 春独り愁えん
 此に対して 径ちに須らく飲むべし

 窮通と修短とは
 造化の夙に稟する所なり
 一樽 死生を斉しくす
 万事 固より審らかにするにし難し

 酔後 天地を失い
 兀然として孤枕に就く
 知らず 吾が身有るを
 此の楽み 最も甚しと為す

<友との別れ>

黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る

 故人 西のかた黄鶴楼を辞し
 煙花 三月 揚州に下る
 孤帆の遠影 碧空に尽き
 唯だ見る 長江の 天際に流るるを

巻末にある詩人の一覧と、作品集の紹介が秀逸

目次

美の歳月-序に代えて

1 詠懐のうた―わが心わが思い
2 詠物のうた―実相を求めて
3 情愛のうた―愛の深層
4 友情のうた―思念と信頼
5 戦乱のうた―戦いの本質
6 飲酒のうた―日常性をこえて
7 山水のうた―風景の発見
8 懐古のうた―滅びしものへ
9 羈旅のうた―異郷に在って
10 離別のうた―去りゆくもの
11 経世のうた―人の世のために
12 自適のうた―執われぬ心を

詩人小伝
あとがき
解説(赤井益久)
中国名詩地図
詩題索引

ISBN:9784480512680
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:576ページ
定価:1800円(本体)
2024年11月10日 第1刷発行

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2025年04月13日

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