あらすじ
現代人に必要な「正しい質問」と「深い会話」を哲学者ソクラテスの対話術から学ぶ本。オランダで21万部を超えたベストセラーの翻訳書。
・質問で相手の意見を聞くのではなく、実は「自分の考え」を相手に押し付けている
・ただ質問しているつもりでも、相手に「批判された」と思わせてしまう
・相手を尊重しすぎて質問を遠慮する
など、「質問」をするのは実は難しく、スキルが必要となる。
2500年も前に「正しい質問」を実践していたのが、哲学者のソクラテスだ。
「無知の知」を自覚し、あらゆる前提を取り払って物事の奥にひそむ真実を探究したソクラテスの態度こそ、現代の私たちが必要とするものである。
本書では、実践哲学の視点からソクラテスに学ぶ「質問の技法」と、相手とコミュニケーションをとるうえで重要な哲学的態度について詳しく紹介する。
会話で思考を深め、互いに知性を育むことで、広い視野で考えることができる。
そして他人と深く意見を交わすことより、より豊かな人生を送ることが可能になる。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
良い対話のため、ソクラテス哲学に基づいた、質問how to本。
上向き/下向きの質問で、物事の真実を捉えていく。
質問時は自分の考えからは、距離をおく。
自身の考えの深化のために、使えそう。
Posted by ブクログ
・ソクラテス式な態度
・ワンダー
・産婆術
・自分の話をしているとき、人は脳内化学物質のドーパミンが出て、セックスやコカイン、美味しい食べ物などの刺激と結びつく報酬反応や快楽、高揚感を得る
・映画『十二人の怒れる男』
同調圧力に負けず、ソクラテス的反応を鍛える
・エレンコス(反論)、ギリシア語の「恥をかかせる」「精査してみる」
・アポリア(行き詰まり)
・「素朴な疑問より緊急の疑問はない」(ヴィスワヴァ・シンボルスカ ポーランドの詩人)
・「上向きの質問」と「下向きの質問」(哲学者のハンス・ボルテン)
上が抽象、下が具体
下から上へ
・「教えて」
・意見を質問のように言わない
意見は意見として言う
・概念を特定して、概念について質問する
・「わたしにも考えがあるので、述べてもいいですか?」切り替えの言葉
_____
往々にして、芯を食った質問は
相手に居心地の悪さを与えるリスクがあり
避けてしまいがち。
実際に失敗もしやすい。
けれど、それがあるからこそ
深い話ができることもある。
大事なのはワンダー、純粋な好奇心と
without judgementで相手と一緒に
合意点を探しに行くということ。
素直になれる空間づくりの方が大事。
しかし、それができる間柄があるということは
とても幸せなこと。
いい質問は本来の目的地に
連れて行ってくれるもの。
しっかりと自分も相手も余裕を持つこと。
そしてまずは、自分で自分を探求することも大事。
相手に質問するときも、自分の話をする前も
質問していいか?
話をしてもいいか?
をきくことは
とても誠実な態度だと思う。
それがあって、受け入れ合える間柄なら
実践していきたい。
Posted by ブクログ
訳者あとがきにあったこの言葉に反省。
「著者によれば、自分が想定しているような答えを引き出そうとする質問や、質問の皮を被った単なる自分の意見の表明、当たり障りのない会話しか引き出さない質問が多いのが現実です。」
著者が実践する「質問の哲学」「良い質問の方法」について、様々な事例が書かれていて、ひとつひとつには納得するところもあるものの、自分の態度に取り入れていくには情報量が多いのと、ソクラテス式問答法を現代において実践するには相手への配慮と「覚悟」が必要だなと壁の高さを感じてしまいました。。
そういえば、自分の近くにファシリテートの上手な方がいて、この本を読んで、その方は、「上向き」(抽象的)の質問と「下向き」(具体的)の質問をうまく組み合わせて進めていらっしゃるな、と気づけたので、まずはここのところだけでも取り込んで実践していきたいです。
Posted by ブクログ
哲学はより良い追求をする学問なので、日本社会で実践するには些かやり過ぎに思えたが、本としてはかなり興味深く読めました。著者自身も質問的な態度をやりすぎると人を怒らせるって書いててウケました。
・なぜ良い質問ができないか、全部あてはまったな。自分の話をしたがる、波風立てたくない、嫌われたくない(良い印象を持たれたい)、客観性がない…
・共感的中立性→ただ観察する立場で、共感を棚上げして質問することで相手の思考の深掘りを助ける。ムズすぎるが、カウンセラーや教職のような人を育てる職業は特にこれ大事よな〜〜。
・教えて(Tell me)というフレーズはシンプルかつかなり使えると思ったので取り入れていきたい。
Posted by ブクログ
非常に興味深いのではあるが、さてこれを日常的に誰にでも実践しようとすると、かなり煙たがれる人になってしまうのではなかろうか、と思う。己の思考を整理して、相手への理解を深めるための訓練で、それを実際に言葉にして、質問をしていいものかは、相手との関係性、親密度によりかなり変わってくるように思う。己を知り、無知の知を自覚することで自分を高めてくということには深く共感した。