あらすじ
神戸の街で40歳から子育てを始めた作者の、平凡だけどかけがえのない日常。
集団登校を見守り、50歳を前にラーメン漬け生活を捨て肉体改造に励む。
カレーうどんの汁を捨てる妻と大喧嘩、公園に恐竜がやって来る?
朝日新聞の人気連載を書籍化。帯文は岸政彦氏、柴崎友香氏。
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Posted by ブクログ
まずタイトルがめちゃめちゃ良い。
そしてその表現が出てくる回もまたもちろん良かった。
「知らんけど」という表現の無限の可能性を感じる。
自分からは何もしない、いや、できないが、それが起こることを否定しているわけではない、むしろ願っている。だから、誰かなんとかしてくれたらええかもしれんし別にどうでもいい気もする、みたいな。あらゆる意味を含んだ5文字。とても良いですね。みんなどんどん使っていけばええんちゃうかな。知らんけど。
「ごろごろ、神戸。」のときはものすごく、よい意味でどうでもよい内容、スズキナオに近いものを感じてた気がしたが、今作は結構エモさが多い。こんなんだっけ。こんなんだった気もする。読んでる途中はこんなんだっけ、だったけど読後感をペロペロと味わってみると、だいぶ似ていた。そしてそのエモさもこれはこれで良い。
エモさとは他に、まえがきでも買いているがコロナに関する回が多い。というのもこの本の元になった連載は朝日新聞で2020年からやっていたものらしく、まさにコロナ禍直撃。そして小学生成り立ての子供を育ててればまあ、そうなるわな。
朝からずっと一緒にいる子供が、アメを手渡してくれたときに一瞬躊躇してしまう自分が嫌だというのが、非常に、リアル。
6年前というのがもう、なのかまだ、なのかは人によって異なるだろうけど、自分にとっては若干まだ、だった。まだ6年しか経ってないのか。もっと昔のように感じていた。
更にまえがきには、この本全体を表した文章がある。実際は第三章前半の、子供と二人で石垣島に行った話についてなのだが… 「名所を訪ねているわけでもなく、教訓めいたものが書かれているわけでもなく、外に出ず部屋で映画を見て、毎日同じスーパーで買い物をし、キャベツの千切りと揚げ物を食べ、出没するアリと戦っているだけの記録で、場所が変わればもう少し目新しい何かをすると思ったけれど想像以上に何もしていません。」
これは旅行だけじゃなく、全体のトーンがこんな感じだった。
読み終わってからこのまえがきを読むとなかなかしみじみとおもしろい。ほんとに冒険とかしてない。日々。ふつーの。でもそれがいいんだ。自分はもっとほかの人達の、なんでもない日々を見たいんだ。
しかし、帯に「私は、47歳にして気づいたのである。朝はラーメンなどの重たいものは食べない方がよい。」という、サラダを食べ始めたエピソードの引用から吹き出しが出て、「わかる、きらきらしてるんよな!」とある。帯の推薦文と同様の、誰かからのコメントかと思ったが、きらきらって何?ラーメンの脂?と首を傾げる。
読み始めると、このきらきらは序文にある、小学生のお子さんが毎日通学路で拾った小さなものを大切に箱をしまっているときに思った言葉なので、全く関係がない。なんなんだ。なぜこれを関連付けちゃったんだ。第2刷でなんとかならんか。