【感想・ネタバレ】ふたり暮らしの「女性」史のレビュー

あらすじ


彼女たちの涙の意味が、ふとわかる瞬間がある。

明治・大正・昭和――およそ100年前、結婚ではないパートナーシップを選びとった女性たちがいた。
残された数少ない資料と貴重な証言を手がかりに、その知られざる歩みをたどる。

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脚本家・吉田恵里香さん推薦!

女が「普通」の道から外れると、なぜか事細かな理由や背景を求められる。
誰かが縛った「普通」ではなく、人生の選択肢や彩りは自分で決めるべきだ。
この本には自らの道を進んできた愛と傷の歴史が詰まっている。
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「「女性」を歴史に残すこと、歴史のなかの生活が軽視されがちなこの社会で、ふたり暮らしを実践した人たちの、消えそうな足跡をたどってみたい。」

【目次】
序章 ふたりだけの部屋で生きる
第1章 語られなかったふたり暮らし――人見絹枝と藤村蝶
第2章 帝国日本とふたり暮らし――飛行士たち
第3章 主従関係とふたり暮らし――五代藍子と徳本うめ
第4章 語り継がれるふたり暮らし――斎藤すみと"芳江"

【装画】
大塚文香

【装幀】
脇田あすか+關根彩

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Posted by ブクログ

ネタバレ

何十年も前に全く前例がないところに飛び込んでいく胆力と情熱があった女性たちの存在を知り、痛快に思う気持ちと、彼女たちの苦労や悔しさを思うと読んでいて苦しくもなった。パイロットと騎手の話がとくに驚いた。パイロット学校で、唯一の女子学生に、繕いや洗濯が押し付けられた、という一文には、憤りを超えて呆れ果ててしまった。こんなにも素晴らしい人達がいたのに、私は知らない人ばかりで、正当に彼女達の功績や物語が後世に伝わっていないのは、やはり女性の物語だならなのではないか。語るに足る偉業だと男社会が認識出来なかったのだろうなと思う。そんな話がきっとゴロゴロあるんだろうな。なにを物語るか、物語らないかもずっと男性目線の価値判断で決められてきたんだな。ナラティブのシェアを公正にするにはどうすればいいのだろう。

読みながら虎に翼のりょうこさまとたまのことを考えた。虎に翼があったあの6ヶ月が、自分たちの声が主流メディアに遠慮なく力強く楽しく流れたあの日々が恋しいな。

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2025年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

経緯も関係性はもちろんそれぞれ違う5組のふたり暮らしをした女性たち。
ふたり暮らしを選んだ人たちのことだけでなく、歴史も学べてすごく興味深かった。終始誰かしらから浴びせられていたセクシストな発言が気持ち悪かった。残念だけど、伊藤さんも書いてるように、実態は現代もそんなに変わらない気もしてつらい。
性愛的な親密な結びつきの要素もあれば、尊敬していたという要素もあったり、誰と暮らすかは自分で選んでいいし、それをどう呼ぶかも自分自身だ。だれと住むか絶讃ずっと悩み中のわたし、こう書くとまたうああと少しなる。

個人的には、人見絹枝さんと藤村蝶さんのお話が特に苦しくなった。短歌で残っている感情を想像すると苦しい。

最後の芳江さんが息子さんと一緒にすみさんのお墓に行けたという記述から考えることがたくさんあった。まず行けて良かった。芳江さんはすみさんにずっと会いたかったはずだから。息子さんには何と話したんだろう。わかってくれる息子さんだから一緒にお墓詣りに行ってくれたんだと信じる。

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「あるべき姿」から外れる他人を「異常」とみて排除するのは、雅英(きよ子)やてふ子のような人々を歴史の淵に押し込める。ふたりのような生活を見つめ直すことで、不合理を生み出す政治を暴き、「家族」の意味を少しでもずらしていくべきだろう。そして、それを体現したふたり暮らしはたしかにあった。それが事実で、歴史で、人が生きるということなのだから。

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セクシズムしんどいきもい。「やはり女だ」怒

「世の中が変わるのを待ってたら、間に合わないから」
競馬取材記者の吉永さん

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2025年05月01日

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