あらすじ
企業活動に「安全文化」をしっかり根づかせることが重要だ――。
こうした主張に異論をはさむ人は少ないのではないでしょうか。
近年、どの企業も積極的に取り組む課題の一つですが、安全文化という言葉の概念がやや抽象的でわかりにくいのも事実です。
何となくイメージはできるが、人によって受け取り方が違っている場合も多いのではないでしょうか。
本書は、原子力安全システム研究所 社会システム研究所が執筆した安全文化の解説書。安全や安全文化への理解を深めるとともに、安全と組織文化の関係、安全文化の醸成方法などを段階的に分かりやすく解説しています。
安全文化は「安全に対する組織文化そのもの」です。
どういった考え方で、どのように行動すれば、健全な安全文化が醸成され、企業に根づくのでしょう。
本書には全ての産業組織における安全文化をより高めるヒントが詰まっています。
経営者、管理者、現場の作業員、それぞれの立場から読むことができ、企業の安全推進担当の実務書や研修時の参考書などに最適です。
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Posted by ブクログ
一般向けに平易な言葉で書かれており、安全文化を学ぶ導入図書としてはとても良かった。
電気や交通など、インフラに関わる職業に多い話かと思われるが、一般企業においても用いることの出来る考え方がいろいろあるのでは、と思った。
Posted by ブクログ
安全文化を何も知らない状態で読んだが、わかりやすく読みやすかった。
・安全とは、許容できないリスクがないこと。リスクとセットで考える必要がある
・リスクは発生頻度と危険度で程度をはかることができる。許容可否と対応策を何度も見直することが必要
・IAEAによると、安全文化の定義は「安全に関する問題にまず最初に注意を向けること」
・文化は3段階ある。一番深い3段階を変えないと文化が変わったとは言えないが、そのためには表層(1段階)から変える必要がある
・安全文化を醸成する上で、「個人の役割」「経営・管理の役割」「経営・管理の仕組み」が必要
・個人がresponsibility&accountability(自分の行動にを明できる)を持つ必要がある
・リーダーは安全の重要性を発信したり、リソースを投入する
・継続的に学習できて、オープンな組織であることが必要
Posted by ブクログ
む図。「第四章健全な安全文化の姿とは > (4)問題提起できる環境 > 懸念を提起しやすいシステムを作る」の「協力会社の作業員が現場で作業しているときに緊急事態が起こり、すぐに工場のコントロール・ルームに連絡して、運転中の機器を止めてもらわないといけないという状況に陥りました。しかし~(p122)」の事例を読んで、最近のニュースと少々リンクさせてしまった。全ての仕事を大きな会社が自社で行うというのは難しいというのもわかる。だからこそ、トップにくる大きな会社が管理体制を作ることが大切で。でも、トップって?その上には管理体制の基準や判定を行う行政がある。責任の所在と、現場としての仕事の進めやすさと。バランスも大切で。でも、危険のリスクを下げるためにはどの程度のバランス感覚でいれば良いのか、また、そのバランス感覚とは何かを、人間個人が判断することはできるのだろうか。組織体制を築くことの難しさ。そして、それに挑戦しながら社会を支えてくださっている人がいることに思いをはせつつ、複雑な社会を把握して管理することへの矛盾も感じる。なんとも難しい…。