【感想・ネタバレ】呪念魂のレビュー

あらすじ

「呪物」と対話する田中と「魂」の声を聞く高田
奇才と鬼才のガチンコ怪談!

おぞましく、恐ろしく、時にほろり――
「呪」と「魂」を繋ぐ「念」の奇跡
心の毛穴がぶわっと開く珠玉の怪奇取材録28!

「黒石さん」田中俊行
原因不明の火事の理由。焼け跡に転がる丸い石の謎
「師匠の形見」田中俊行
持ち主の命が削られる?形見分けで貰った忌み筆
「枇杷の木」田中俊行
土地に染み付いた怨念を吸い取って家を守る木
「鬼」高田公太
旧家の祖母宅で見た鬼。母の服を着たそれの正体
「呪・念・魂」高田公太
父の呪殺を夢見た娘。実行せずとも父に異変が…
「家族」高田公太
貧困と孤独に泣いた夜。少年の背を叩いたモノは

ほか、呪物から家族の物語まで心を揺さぶりまくる怪異談28話収録。

土を捏ねるように、或いは鉄を打つように。
絶えず「魂」に圧を加え、渾身の力で想いを、「念」を練り込む。
するとそこに「呪」が生まれる。
人の根っこから、人ならざるものが生えてくる。

この世の怪の幾つかは、きっとそこからやって来た――。

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Posted by ブクログ

オカルトコレクター・田中俊行氏と、青森在住の怪談作家・高田公太氏の怪談集。2025年作品。

あとがきで高田氏が「共著作」と書いているけど、あとがきの内容から、「高田公太/編著、田中俊行/共著」という実態なのではと察せられます。

本の前半が田中氏の怪談で、後半が高田氏の怪談、という構成は往年の「ふたり怪談」スタイルですが、怪談文庫ではなく、単行本なのは、田中氏のメディアでの知名度からでしょうか。

田中氏は、文章の上手さに更に磨きがかかり、怪談作家として高田氏に迫るのではないかと前半思わせられましたが、後半になり高田氏の文章を読むと、怪談作家としてはまだまだ高田氏に遥かに及ばないと思わされます。

田中怪談は、オカルトコレクターらしく、曰わく付きの物に関する怪談が印象的で、特に冒頭に収録された火災現場に落ちている石に関する「黒石さん」がインパクト大。
高田怪談は、崩壊していく家族に関する怪談が印象的で、人間の強い念の恐ろしさを描いたタイトル作「呪・念・魂」が特に恐ろしい。
他にも、随所にショート怪談を織り交ぜたり、巻末には心暖まる怪談を配置したりと、後半は高田氏の作家としてのバランスの良さも感じさせられます。

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

今、東北に住んでいるから高田さんは今のうちにいつか怪談会に行きたいと思っている。確か田中さんもいらしていた春先にあった青森の怪談会(バーで開催)は、本当に行きたかった。そんな記憶も新しい。
とりあえず、どの話も気持ち悪くて良い。
田中さんのしゃべりも好きなんだけど、なぜか文章が好き。
タイトルに戻るが、【呪念魂】すべてモノに宿るなにかな気がする。
だからこその田中俊行なんだと思う。
良いタイトル、良い著者。

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2025年06月25日

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